スタジオコメットの意欲作「ちゃらんぽ島の冒険」で三沢伸監督が残そうとするもの | アニメ!アニメ!

スタジオコメットの意欲作「ちゃらんぽ島の冒険」で三沢伸監督が残そうとするもの

「あにめたまご2017」よりスタジオコメットが出品する『ちゃらんぽ島の冒険』について、作品を手掛けた三沢伸監督にインタビューを行った。

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若手アニメーター等人材育成事業「あにめたまご」。平成22年より「プロジェクトA」「アニメミライ」と名称を変え続いてきた本事業は、2016年より「あにめたまご」と名称を変更。引き続き今年も「あにめたまご2017」として4スタジオを選出、若手アニメータを起用した短編アニメ4作品が発表される。
参加スタジオの1つ、スタジオコメットはTVアニメ『ジュエルペット』シリーズや『capeta(カペタ)』、近年では『美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!』などを手がけており、昨年創立30周年を迎えた老舗スタジオだ。

南の果てにあり、さまざまな動物たちが生活する島・ちゃらんぽランドの中心には巨大なバオバブの樹が生えている。毎日生活必需品の詰まった卵を生み出すバオバブの樹だが、このごろ中身がカラの卵が増えてきた様子。住民たちに広がる不安から巻き起こる騒動を、島の子どものコメトラ、ぴょん、ぐんまたちが解決へと乗り出す。

スタジオコメットが出品する作品は『ちゃらんぽ島(ランド)の冒険』。かわいらしい姿の動物たちが巻き起こすドタバタ冒険物語だ。この作品を手がけた三沢伸監督に「あにめたまご2017」に参加した感想や本作の見どころをうかがった。同席いただいた小竿俊一プロデューサーにも補足していただきながらであるが、話の中で、三沢監督の作品の完成とは別の視点で、若手アニメーターにこの経験をどう活かしてほしいのか、という思いも浮かび上がった。ぜひ鑑賞を楽しみにしてもらいたい。
【取材・構成/細川洋平】

あにめたたまご2017 アニメ!アニメ!特集ページ
http://animeanime.jp/special/441/recent/


――なぜこの企画を「あにめたまご」で作ろうと思ったのでしょうか。

小竿プロデューサー(以下、小竿P)
最初に下地(なるみ)の普段から考えているキャラがあったんです。今回のあにめたまごの応募に際しては、社内にも作画人材の育成とオリジナル作品制作という思いがあって、下地のキャラに合わせたファンタジーの世界を会社と下地で練り上げて行ったんです。

三沢伸監督(以下、三沢監督)
僕が最初に参加したときには登場キャラクターたちはほとんど揃っていました。しかし数が多い。何しろ20分の物語ですから、みんなをどのように登場させようかとずいぶん悩みました。

――三沢監督が参加された時にはコンセプトや物語も決まっていたのでしょうか。

三沢監督
僕が参加したのは割りと遅かったのですが、話をいただいたときに自分が最初に考えたものは主人公・コメトラが今よりずっと大人な“青年”という設定でした。でもシナリオの素案を読んでいると、キャラクターと物語がかけ離れている印象を受けたので、一度アイデアを練り直して、かわいいビジュアルに則した年齢感と物語に仕上げていきました。

――バランスを整えていく、という作業をされたのですね。

三沢監督
そうですね。最初にあったものはシナリオの叩き台やイメージ絵といったもので、それらをまとめていくという作業でした。それから、「あにめたまご」として3ヶ月の間に若手原画さんには毎日出社してもらって30カットを担当してもらう、という規定があったので、そこからの逆算も含めつつ作っていきました。


――キャラクターデザインを見るとずいぶんかわいいキャラクターが揃っています。コメットさんは『ジュエルペット』シリーズなども手がけられていますので、デフォルメキャラというのは得意とするものだったりするのでしょうか。

三沢監督
今回は偶然この形に着地したということだと思いますが、頭身の低いキャラクターは8頭身のキャラクターに比べて難しいですね。

――具体的に苦労するポイントはどういったところでしょうか。

三沢監督
一例を挙げれば、頭を抱える、という動作ができないとか。頭の後ろに手を回せないし頭に手が乗らない(笑)。なのに動きの中でできてしまったりするのがおもしろいところでもあるんですよね。何にしても8頭身なら自分で鏡を見ながら動きを付けられるところが、どうしても想像力や単純化、アイコン化という作業が必要になる。そこは大変だったと思います。
《細川洋平》
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