アニプレックスの新デジタル視聴サービス「Viewcast」はどうやって誕生したか 開発者インタビュー 2ページ目 | アニメ!アニメ!

アニプレックスの新デジタル視聴サービス「Viewcast」はどうやって誕生したか 開発者インタビュー

アニプレックスが、2016年3月、新たな映像サービス「Viewcast」を発表した。今回その中の二人、高橋祐馬氏と中山智之氏に、「Viewcast」の誕生とそのコンセプトについて伺った。

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左)高橋祐馬氏、右)中山智之氏
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■ 配信プラットホームでなく、ベスト・オブ・ベストのビデオパッケージ商品

AA
今回の「Viewcast(ビューキャスト)」は、今まであるビデオパッケージにプラスアルファで配信サービスもという考え方で、昨今の配信サービスとはやや違うイメージがあります。

高橋
そうですね。シンプルに言うと、「Viewcast」は「配信サービスではなく視聴サービス」ですので、買う方法(配信を含む一次購入)ではなく、観る方法(買ったものをどう観るか)へのアプローチです。そもそも我々は配信サービスを作る気は全くありません。あくまでアニプレックスはプロデュースカンパニーであり、ビデオメーカーです。ビデオパッケージという作品にとってのベスト・オブ・ベストの商品形態を追求していくことが使命です。インフラを作ってそこに作品を乗せるという意図はありません。

AA
話を聞いて納得がいきました。発表された時にいわゆる配信サービスではなくアプリを使うのが面白いなと思っていたからです。そのアプリという選択はどこから出てきたのですか?既存の配信事業者と連携も選択できたはずです。

中山
その選択理由は「いかに自宅以外で便利に観られるかの追求」です。「Viewcast」はパッケージ購入が前提、つまり、ご自宅では商品収録のディスクで、再生機やPCを通じて楽しめる環境があるという前提の元、それ以外の部分での付加価値を追求する事に決めました。特化する事で、インターフェースや仕様の精度を上げて、より良いベストな形で届けられるからです。外出先を補完し、移動中の電車、あるいは旅先、24時間、いつでもどこでもパッケージを楽しんでいただくという考え方ですね。その為には、スマートフォンやタブレットが一番利便性が高くて、やれることが多いんです。

高橋
それと「Viewcast」のサービスの特徴である、本編だけではなくて特典のCDやブックレットや特典映像や、あるいは副音声までもといった、パッケージ商品の魅力全てを楽しめるという事を実現するためにも、アプリという、いわば「特化型ソフト」が最適でした。ただ、全てをデジタル上で再現するサービスはこれまでどこにもなかったので、結果、既存の配信事業者との連携ではなく、自社で独自に開発をするしかなかったんです。

abesanAA
特典を全て盛り込むアイデアも最初からあったのですか?

高橋
かなり最初からありました。本編の面白さはもちろん、例えば副音声や特典CDやブックレット等々も全て含めてが、ビデオパッケージという商品の魅力だと思っているので、単純に「全部スマホやタブレットでも楽しめたら最高だよね」という発想です。

AA
本編だけでしたらおそらく既存の配信サービスもあるわけですよね。

中山
そうですね。映像配信サービスはたくさんありますし、音楽配信のサービスもたくさんあります。書籍ももちろんそうです。ですがそれらが複合して、一緒にまとめて使えるサービスはほぼないんです。映像だけでなく、音楽だけでなく、書籍だけでなく、「Viewcast」はそれら全てを統合して楽しめる形にしないといけない。ただ、その中でどこまで本当に必要なのか、例えば、他の機能を削ってでも書籍アプリの利便性を全部内包すべきかというと、意図的にそこまでは必要ないかと思っていました。作品全体を楽しんでいただく中では、全てを一定水準に保つ今のインターフェースが十全の土台になるのではと。

AA
むしろ、作品としての一体感を選ぶかたちですね。

中山
作品を楽しむ時にアプリを開いて、公式サイトも見つつパッケージコンテンツも楽しめる、みたいに捉えていただけたら嬉しいですね。
「Viewcast」の制作に際しては、最初にまず何がどこにあるのか分るように並べるところから入ったんです。どれが映像で、どれが音楽で、乱雑に並んでいると絶対に分からないので、それをどう整理するかです。ただ、整理するだけではなく、映像、音楽、ブックレット、それぞれ楽しむオペレーションが異なるので、ある程度インターフェースを統一しなければいけない。例えばダウンロードのボタンは統一した方がユーザーには分かりやすいですよね。一方でブックレットを見ているところに再生ボタンがあってもしょうがない。全く同じインターフェースにしても、それはそれで意味が分かりません。システム面、インターフェース面、どちらも最適なバランスを考慮するのはかなり苦労しました。

AA
結果として、今は、映像も音楽、音声もテキストも全部同一のボタン仕様ですね。直感的に分かり使いやすいです。

中山
はい。色々考えた結果、これが最適だと考えています。
《animeanime》
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