BD/DVDが映像配信とつながる アニプレックスがデジタル視聴の新サービス開始
アニプレックスはBlu‐rayやDVDと連動する新たなサービスを開始する。3月27日、デジタル視聴サービスの新企画「Viewcast(ビューキャスト)」の記者発表を行った。
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そんな新たな時代に対応すべく、アニメ製作の大手アニプレックスはBlu‐rayやDVDと連動する新たなサービスを開始する。3月27日、東京ビッグサイトで開催された総合アニメイベントAnimeJapan 2016にて、デジタル視聴サービスの新企画「Viewcast(ビューキャスト)」の記者発表を行った。2016年3月30日発売の『心が叫びたがっているんだ。』を第1弾商品とし、さらに6月29日発売の『暦物語』でも実施する。
「Viewcast(ビューキャスト)」は、これまでBlu‐rayやDVDといったディスクに閉ざされていた映像体験をスマートフォンやタブレットなどのデバイスに広げるサービスである。Blu‐rayやDVDを購入することで、作品をスマートフォン、タブレットで楽しめる。
記者会見で、サービスの概要を説明したアニプレックスの宣伝部兼企画制作部1課プロデューサーの高橋祐馬氏は、サービスの導入の目的としてユーザーのニーズを挙げる。つまり、Blu‐rayやDVDを購入したものの、それを観て楽しむ場は家などに限らないのではないかと指摘だ。街中でも、電車の中でも、作品を楽しめる仕組みづくりである。
映像パッケージとデジタル配信を組み合わせる映像サービスは、アニプレックスのViewcastが初めてでない。ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンのMovieNEXやバンダイビジュアルのBANDAI VISUAL+なども、Blu‐rayやDVDを購入することで作品を配信で楽しめる。
しかし、Viewcastがこれらと大きく異なるのは、映像ソフトに同梱される特典も全てデジタルで提供することだ。数々の特典映像は勿論、特典CDなどの音楽、さらにブックレットやパンフレットなどの印刷によるものもデジタルで配信される。例えば第1弾作品の『心が叫びたがっているんだ。』では、目玉となる特典CDの数々の楽曲がダウンロード可能だ。さらに劇場パンフレットも再現される。今後の展開では設定資料集や絵コンテ、アフレコ台本、ビジュアルブックなども期待できそうだ。
こうしたやりかたからはViewcastが映像ソフトからデジタル配信への移行ではなく、映像ソフトにプラスアルファしたパッケージ商品のデジタル上での再現であることが窺える。デジタル時代とは言えども、特別なBOXやケースに収納された映像ソフトや特典を手元に置きたいというファンは多い。
一方で、いつでもどこでも手軽にこれらを楽しみたい。ふたつのニーズを同時に満たすのがViewcastと言うわけだ。
Viewcastの利用には、まずスマートフォンやタブレットでViewcast公式サイトにアクセスする。ANIPLEX+アカウントでログイン後、Blu‐rayやDVDに同封されたシリアルコードを入力することで、対象作品のアプリがダウンロード出来る。このアプリを通じて、本編映像や特典を楽しむ。
アニプレックスは「Viewcast」の仕組みを活用し、これまでにないサービスの提供も目指す。ディスク化や印刷が難しかった特典を、デジタルならではの方法で、アプリ経由でファンに届けることも視野に入れているという。
映像配信ビジネスが急速に普及するなかで、映像ソフト販売ビジネスに対する危機感は大きい。しかし、書籍がそうであるように、リアルな商品の市場は依然大きく、それを求めるユーザーは今後も多いだろう。そうしたファンに対してプラスαを敢えてデジタルで提供する。新時代の取り組みとして、Viewcastに大きな注目が集まりそうだ。
[数土直志]