あにめたまご2016「風の又三郎」山田裕城監督に聞く “子ども目線で、子供だましではない作品” | アニメ!アニメ!

あにめたまご2016「風の又三郎」山田裕城監督に聞く “子ども目線で、子供だましではない作品”

次世代アニメーター育成事業「あにめたまご2016」の成果について監督やプロデューサーに訊く連続インタビュー第2回は武右ェ門制作の『風の又三郎』山田裕城監督編。

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若手アニメーター等人材育成事業「あにめたまご2016」。次世代のアニメーターを育成すべく行われる文化庁委託の事業だ。ひとつのアニメーションを作り上げて行く現場の中で教育するというコンセプトは、若手育成に大きな力を発揮してきた。
2016年の「あにめたまご」はいったいどのような作品を生み出したのだろうか。アニメ!アニメ!では、「あにめたまご2016」の4作品の監督、プロデューサーらに、作品づくりとそのなかでの実際についてお話を聞いた。これを4回にわたりこれを紹介している。第2回はCGアニメの新鋭スタジオとして注目される武右ェ門である。スタジオが制作する『風の又三郎』は、手描きのスタイルのCGアニメ。一体その育成はどう行ったのか?山田裕城監督に話を聞いた。
[取材・構成=細川洋平]

あにめたまご2016 アニメ!アニメ!特集ページ
http://animeanime.jp/special/424/recent/


『風の又三郎』
父の仕事の都合で山の学校に転校して来た女の子・高田さん。彼女はクラスで“風の子”だと勘違いされ遠巻きにされている。クラスメイトの孝一は彼女のことが気になるが周りの空気も手伝ってうまく近づくことができない。しかしある日、高田さんは偶然本物の風神さまに出会ってしまう。そのことが彼女の周囲に微かな変化をもたらしていく―‐。
サンライズCG部門から生まれ、映画『スチームボーイ』やOVA『FREEDOM』、TVアニメ『GOD EATER』、『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』のCGアニメーション等を担当してきたアニメーション制作スタジオ・武右ェ門と、同スタジオでTVアニメ『クロスアンジュ』、『ノラゲキ!』、劇場作品『いばらの王 -King of Thorn-』でCGモデリングチーフを担当してきた山田裕城監督が贈るCGアニメ作品。


――武右ェ門が「あにめたまご2016」に参加するようになった経緯を教えていただけますか?

山田裕城監督(以下、山田) 
サンライズの荻窪スタジオにいた現代表/プロデューサーの高山(清彦)が独立する際に力を貸して欲しいと言われ、武右ェ門に誘っていただきました。スタジオとして、自社発信の企画も作っていかなければという思いがある中で「アニメミライ」プロジェクトを知ったんです。当初はCGアニメーションは対象になっていませんでした。しかし、CGであってもアニメの作品を制作できるという思いをぶつけようと、応募しました。

――企画にはどういった思いがあるのでしょうか?CGと作画の役割についてもう少し教えてください。

山田 
CGアニメ、セルアニメ、等といった線引きをして作るのでなく、まずは「映画」として
さまざまな手段や手法の一つとしてアニメーションがあってほしいです。
そんな中で「こんな作品もあるんだ」ということで楽しんでもらえたらと思います。

――『風の又三郎』はCGで描かれているんですね。

山田 はい、キャラクターは全てCGで描いています。

――作画とCGで作業の組み立ての違いを感じられますか?

山田 
基本的には同じです。CGモデルが用意されることでクレイアニメのような人形を動かしていくイメージを持たれる方もいるかも知れませんが、仕上がりは2Dなので構図やレイアウト、シルエットを作るという事は、絵で行われてきた事と変わらないと思います。
かつて私の先輩から言われた言葉ですが、「CGっぽい」と言われる表現には、
技術の拙さや、機械的に感じる部分をキチンと処理出来ていないと
気づかれてしまっている場合が多くあります。
そういうことが気にならない様に、見ている邪魔をしない様にしたいです。

――「あにめたまご」は若手アニメーター等の育成という観点もあります。指導の手応えはいかがでしたか?

山田
むしろこちらが非常に学ばせていただきました。つい「フワッと」「やわらかく」「自然に」といった、ニュアンスで話してしまう事が多く、一つ一つを違う言葉で何度も説明することに苦労しました。
イメージを手法に落として言葉にしていく作業は技術の明文化になりますのでとてもいい機会になりました。


――若手アニメーターたちの成長は実感できましたか?

山田 
はい、皆非常に粘り強く、何度も修正していく中で変わっていくのが見えました。
指導したと言うより、本人たちが気づいて自ら獲得して行った結果だと思います。

――『風の又三郎』の見どころをうかがえますか?

山田 
あえて「見どころ」は考えていなかったです。技術やCG、作画といったことは気にせず、構えずに見てもらいたいです。派手さはないけどさりげなく存在していて、それを楽しんでいただけたらいいなと思います。何気ない動きを自然に出来ればいいなと思っていました。

――絵のタッチやタイトルからは視聴者のターゲットの年齢層は低めに考えていらっしゃるのでしょうか。

山田 
作品として丁寧にできたらと考えています。そのうえで、誰が見ても楽しめるものになっていればいいなと。
私も絵本が好きで集めているのですが、きちんと読むようになったのはむしろ大人になってからでした。今手元にあるものは子ども目線であっても子供だましではないものだと感じます。同様のことをアニメーションでやれたら、と思って作りました。

――そういった思いが本作には反映されている。

山田 
そうですね。できるだけ丁寧さをもって作れていたら、それが一番いいなと思います。



『風の又三郎』
(C) 武右ェ門/文化庁 あにめたまご2016
《細川洋平》
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