毎年冬にフランスのアングレームで開催される国際漫画フェスティバル(Festival International de la Bande Dessinee)は、世界でも最も知られている国際的なバンドデシネ、マンガ、コミックスの巨大イベントだ。2016年は1月28日から31日まで4日間、開催される。 アングレームにはヨーロッパをはじめ世界各地から専門家が現地を訪れる。なかでも2016年は、日本から招かれる公式ゲストの大友克洋が話題だ。大友克洋は2015年に第42回アングレーム国際漫画祭フェスティバルで最優秀賞を受賞したばかり、今回は現地で講演するほか、期間中は大友克洋をテーマにした展覧会や上映会も開催される。こうした厚遇は、フランスと世界での大友克洋の評価の高さの表れと言っていいだろう。また大友克洋は、2016年第43回の公式ポスターのイラストも手掛けている。
さらに若者世代向けの作品を集めたユースセレクションには、大今良時の『聲の形』が10作品のひとつになった。日本でも劇場アニメ化決定した話題作だが、敢えて若者向けとしてセレクトしたアングレームの評価は気になるところだ。 遺産部門も見逃せない。歴史の残すべき名作を広い時代から選ぶこの賞は、7作品のうち2作品が日本の作家である。2015年に逝去した辰巳ヨシヒロのフランス語版アンソロジー『Cette vill e te tuera』、楳図かずおのフランス語版アンソロジー『La Maison aux insects』が並んでいる。いずれも国境を越えるパワーを持った作家だけに結果にも期待がかかる。 スリラー部門には、『クロコーチ』(漫画:コウノコウジ 原作:長崎尚志)が5作品の1作品に選ばれている。こちらはフランスの国鉄SNCFがスパンサードする賞で、ミステリー・サスペンス作品を選考する。