11月21日に、アニメーション映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』が全国公開される。1943年にサン=テグジュペリにより書かれた名作『星の王子さま』に基づいて、その後の物語を世界最高のスタッフがアニメーション映画として描く。『星の王子さま』が長編アニメーションになるのはこれが初めて。また、新たなストーリーは、作品を管理するサン=テグジュペリ・エステートの許諾を受けたものでもある。かつて『星の王子さま』に心を奪われたことのある人であればきっと楽しめるはずだ。作品が二層構造になっているのも、『リトルプリンス 星の王子さまと私』の特徴だ。現代のストーリー、そしてかつて飛行士だった老人が語る私たちがよく知る『星の王子さま』のストーリーが同時進行する。現代パートは最新のCGアニメーションで描かれる。一方、物語パートは紙と人形を使ったストップモーションアニメーション(コマ撮りアニメーション)で表現された。それぞれが信じられないような美しい映像となっている。しかし、今回特に注目したいのが、ストップモーションパートである。このアイディアは、マーク・オズボーン監督とスタッフによって考えられた。原作の挿絵のイメージを活かす最善の方法として、キャラクターたちを紙の人形としてストップモーションで表現することを選んだ。ストップモーションは、暖かい映像を表現する手段として現在でも短編アニメーションなどではしばしば使われる。一方、長編アニメーション作品は必ずしも多くない。ヒトコマずつの人形の撮影は、膨大な手間と時間、費用もかかるからだ。『リトルプリンス 星の王子さまと私』は最高の映像を作るために、敢えてこれを選択した。ストップモーション・クリエイティブ監督を務めたジェイミー・カリリは、「マーク(監督)がこのストーリーを王子さま中心に構築していたから、その世界を描く媒体として紙を選びました」と話す。ストップモーションのデザインを担当したのはアレックス・ユーハス。彼は「色のグラデーションを生かしたいと考えていたので、その美しさを生かすには、和紙が最も優れていた」と振り返る。日本の和紙が映画の美しい映像に一役買った。そして「ストップモーションのパートでは、いろんな動きがあり、膝を折ったり、体の動きがあるとき、紙が破れてしまうことを懸念していました。でも、和紙は動きにも強く、簡単に破れない。しわができるのもよかった。王子様のスカーフはいつも風にたなびいているのですが、そういう細かい演出も布ではなく、紙だったから表情がつけられました」と説明する。「キャラクターはすべて手作りで、色も全部、手塗りでひとつひとつオーダーメイドで作りました。キツネに関しては、一筆で一気に塗ったような濃淡を心がけました」とも語る。さらにキャラクターごとの工夫もある。ユーハスは「ヘビはクネクネさせる必要があるのでワイヤーに紙を巻き付けて作りました。他のキャラクターは骨組みを太くしたり、補足したり、それぞれの動きを出すために工夫をしています。」と説明する。顔も表情ごとに作る。星の王子は悲しい顔、怒っている顔、怖がっている顔など、微妙な変化を工夫して違いを出していた。「顔の紙を貼るのは繊細な作業が必要で、途中で吐きそうになるほどでした(笑)」とのことだ。ちなみにストップモーション製作に費やした日数については、「もう、思い出せないし、わからないです!(笑)」と。約5秒のシーンを作るのに約1週間もの時間を必要したこともあるというから、そこは推して図るべしだ。世界最高峰のスタッフによる、見事なキャラクターたち。映画を観る時は、その映像がいかにして出来上がったのかも気にしたい。映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』11月21日(土) 2D/3D 全国ロードショー
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