『NARUTO -ナルト-』のその後の物語を描いた同作は、ナルトの息子ボルトが主人公となる、NARUTO新時代開幕プロジェクトの集大成ともいえる映画だ。作中で七代目火影であり父であるナルトを演じる竹内順子さん、同じく父となったサスケ役の杉山紀彰さんに現在の心境や作品への思いをうかがった。
[取材・構成=川俣綾加]
『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
http://boruto-movie.com/
ー前作の『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』では恋愛を描いていましたが、今作ではそこからさらに進んでナルトもサスケも父親になっていますね。
竹内順子さん(以下、竹内)
この映画で初めて、そして一気に父親になったので、新米の父親ですね、心持ち。男性からすると、父親になるとやっぱり気持ちが変化するの?
杉山紀彰さん(以下、杉山)
うーん、どうでしょうね、竹内さんはもちろんですが僕も父親になったことがないので(笑)。サスケ的には、大人になり父になることで、若い世代や子どもたちを見る目や接し方が優しくなっているのではないかなと思います。これまでのサスケだと仲間に優しくしているシーンってあまり無かったですよね。だからそういったシーンはとても印象深く、感慨深い。
竹内
ナルトは……目の下のクマが気になった!(笑)
杉山
火影だから激務なんですよ(笑)
竹内
火影の役割も父親としての役割も背負っていて、彼はとにかくギリギリまで頑張っているんだなと思いました。
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ー仕事は激務だし、ボルトはあんな感じだし、なんだか苦労人だなと。
竹内
人って面白い成長をするんですね。彼を見ているとそんな気がします。
ー杉山さんのおっしゃる通り、サスケは優しさが伝わってくるシーンが多かったです。
杉山
そうなんですよね。ナルトの幼い頃の状況や、抱えていた葛藤を見ていた上で今のナルトを知っていて、かつボルトとの確執も見ている。「火影は忙しいよな」「若い頃ってそういうこともあったよな」とナルトとボルト、どちらの気持ちもわかるし年を経たからこそ口に出せる言葉や差し伸べられる手がある。それによって状況を打開できればとサスケは考えているのかなと感じました。
ー今作のテーマを、おふたりはどのように受け止めましたか?
竹内
TVシリーズからずっとですが、絆だと思いました。横の絆、縦の絆、里との絆、この世界との絆。色んな絆が縦横無尽につながっていて切れることが無い、そういう物語。
杉山
竹内さんがおっしゃるように、絆というものがこの映画だけでなく作品そのものにあって。世代間の意識の違い、物語やキャラクター達のお互いの関わり方に、作品としての歴史が色濃く出ている気がします。
竹内
歴史のワンシーンなんだと感じさせる作品ですよね。
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ーTVシリーズの開始が2002年、他の劇場作品も含めて現在まで10年以上キャラクターを演じていると思いますが、長く一緒にいるキャラクターに対してどう感じていますか?
杉山
1人のキャラクターを長い間演じることは、単に出来事や物語の流れにのるだけではなく精神的な変化も演じるということなので、サスケがすごくいい意味で成長したと思っています。キャラクターとしての成長がすごく頼もしい。
竹内
ナルトという男性のキャラクターを女である私が演じているので、思い返せば異性に対して真摯に、誠意をもって接しているのはナルトが一番なんじゃないかな。「私はこう思う」よりも「ナルトだったらこう思う」のほうをずっと考えていて……こんなに男性のことを一途に考えたことないですよ!(笑)
杉山
この発言、太字で書かれちゃいますよ、見出しとかに使われちゃうやつですよ!(笑)
竹内
ほんともう、それくらいですから! そういう意味で、ナルトに対して男性というか人間としての感覚を強くもっています。人間として生きているという気がしていて、自分が演じているけれど別の人間であり、存在しているような感覚がどんどん強くなります。
ー客観的に1人の人生を見ているような?
竹内
客観的ではないんですよね。客観的だったら「ふーん」で終わっちゃうので。そうはいかないところで、他の1人の人間の生き様を垣間みさせてもらってます。
ー女性の声優が、少年のナルトだけでなく成人してからも演じ続けることはすごく大変なのではと思いましたが、そのあたりはどうでしたか。
竹内
言葉を選ばずに言ってしまうと……ありえないっす!(笑) 大人になったナルトを演じるに当たって、あまり父親だとか年齢が上がったとか、そこからくる声色の違いはあまり気にしないでいこうと思いました。かっこよく締めるところは杉山君に全部まかせればいいんです!
杉山
そんな、ナルトも十分かっこいいですから(笑)
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