宮崎吾朗監督が“3DCG”の可能性を語る セミナー「山賊の娘ローニャ」@AnimeJapan 2015 | アニメ!アニメ!

宮崎吾朗監督が“3DCG”の可能性を語る セミナー「山賊の娘ローニャ」@AnimeJapan 2015

AnimeJapan 2015のセミナーステージにて「『山賊の娘ローニャ』と3DCGTVアニメーションシリーズの可能性」が行われた。宮崎吾朗監督とポリゴン・ピクチュアズから守屋秀樹氏が登壇した。

イベント・レポート
3月21日、AnimeJapan 2015のセミナーステージにて「『山賊の娘ローニャ』と3DCGTVアニメーションシリーズの可能性」という講演が行われた。2014年10月からNHK BSプレミアムにて放送中のTVアニメ『山賊の娘ローニャ』を題材にしたものだ。
3DCGのTVシリーズを初めて手がけた宮崎吾朗監督とアニメーション制作を担当したポリゴン・ピクチュアズから守屋秀樹エグゼクティブプロデューサーが登壇。司会進行はアニメ特撮研究家の氷川竜介さんが務めた。 

まずはじめに企画時の話題があがった。宮崎監督が本作を手がけたきっかけは、スタジオジブリ・プロデューサーの鈴木敏夫さんの言葉が影響しているという。鈴木さんは宮崎監督に対し、若手が育っておらず前途多難な2Dアニメーションではなく、技術発展が著しい3Dアニメーションを宮崎監督に薦めた。そして「吾朗くん、次やるなら3Dじゃない?」と言ったそうだ。
その後宮崎監督はかつて映画化を断念した『山賊のむすめローニャ』をTVシリーズの企画としてNHKに持ちこんだ。

本作は『長くつ下のピッピ』で知られるアストリッド・リンドグレーンによる児童文学を原作としている。児童文学を3DCGアニメーションで描くことについて、守屋さんは、これまでSF作品を中心に手がけてきたポリゴン・ピクチュアズのテイストにマッチするか懸念があったという。そこでまずはじめに約30秒のショートフィルムから制作をはじめた。

3DCGでTVシリーズに挑戦する宮崎監督は、ポリゴン・ピクチュアズの現場にて「これだけ動かす意思があるなら大丈夫だろう」と手応えを感じたという。
一方、宮崎さんについて守屋さんは、「我々は最初に設計したスケジュールどおりに作業を進めていくので、スタジオジブリのスタイルとはずいぶん違いますが、吾朗さんが建築出身のため工程の理解があってやりやすかったです」と語った。

また氷川さんは、キャラクターのほかに動物や水などの表現が素晴らしかったとコメント。宮崎監督によると、3Dで“水”の表現は難しく、初期と終盤では描き方に変化があったそうだ。
とくに苦労したのは“食事”のシーンとのこと。宮崎監督は守屋さんに「食事は大変だから避けてほしい」と言われていた。だが、演出の工夫や3D技術の向上によって、徐々にシーンを増やしていった。

また2Dと3DCGの違いについて、宮崎さんは「3DCGでは絵を止められないのが最大の違い」と語った。2Dアニメーションでは、絵が持つ力で静止に耐えられるが、3Dでは時間が止まったように見えてしまう。本作の主人公ローニャは好奇心旺盛でずっと動き回っているので、そこは助かったという。

本作を通じて宮崎監督は、3DCGに大きな可能性を感じたという。TVシリーズの厳しい制作体制に言及したうえで、3DCGはその突破口になるのではと期待を口にした。
守屋さんは、2Dアニメーションと比較して3Dのメリットを「キャラ崩れる心配がなく、シーンの演出に集中できて表現の底上げになる」と語った。

一方で3Dアニメーションの課題も多い。守屋さんは3Dアニメーターの人材不足、および経験不足を挙げた。宮崎さんは、2Dの演出をそのまま移すのではなく、3Dならではの演出が求められると語った。そのうえで3Dを演出する人は、アニメのほかにも実写で活躍した人が向いているのではないか、と語った。

当日は最終話の納品直後ということで、シリーズを振り返って感想が述べられた。守屋さんは、「スタジオジブリの宮崎吾朗さん初のTVシリーズということでプレッシャーはあったが、現場のクリエイティビティがあがってよかった。今後もファミリー向け作品は続けていきたい」と意欲を見せた。
最後、宮崎監督から予想外な話が飛び出した。父・宮崎駿監督が鈴木敏夫さんに「これからは3DCGの時代だよ」と言われて、「じゃあちょっと勉強してみようかな」と答えたというエピソードを披露。そのうえで「3Dを知らない人、型にはまらない人が新たな表現を生み出してくれるのではないか」と締めくくった。

『山賊の娘ローニャ』
http://www9.nhk.or.jp/anime/ronja/
《沖本茂義》
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