独特の世界観、「忍殺語」という独自のジャパニーズスラングで展開する同作の見どころの作品は、そのキャラクターたちも見どころだ。今回そのデザインを担当した今石洋之さんにインタビューを実施した。後編は、様々なキャラクターについてお話を伺った。
[取材・構成=川俣綾加]
『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』
http://www.ninjaslayer-animation.com/
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――どのキャラクターも非常に個性が強いと思います。作画スタッフへの指示ではどういったことを伝えていますか。
今石洋之さん(以下、今石)
特にこだわっているわけではありませんが、キャラ表に文字では何も指示を描いてないんですよ。通常だと「ここは色トレス」とか「この部分はこうしないで」とか注意書きしますが、今回は自分の字では何も書いていません。絵だけで指示できたらいいなと思ったのと、絵のインパクトで伝えることが大切で細かいことを指示しても面白くならない、そういう世界観になるだろうと考えたんです。
――もし、担当したスタッフによってキャラクターに違いが出たら? すごく意訳されて「とんでもないものが上がってきた!」という状況になったり。
今石
確かに僕だったらすごく意訳します(笑)。第1話は作画監督も少しだけ手伝ったんですが、原画マンが自由でニヤニヤしましたね。監督もそういう方向性だと思いますが、最終的なコントロールは入れていると思います。
この作品の場合は、それがどういうキャラクターかという表現はシルエット、そして付いている武器の攻撃の方法といったアクションの個性でしか成し得ない気がするんです。だからシルエットに一番気をつかって描いていて、その絵でスタッフに伝わらなかったら僕が悪い……という気持ちでやっています(笑)。
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――気に入っているキャラクターは?
今石
見た目でいえば、ゴリラみたいな巨大なキャラクターが好き。だからアースクエイクは描いていて楽しかったですね。ラオモトもだいぶ大きく描いちゃいました。「あまりの威圧感に巨大に見えてしまう!」というイメージです。でかいキャラクターは好きです。
――忍殺語で気に入っているものはありますか?
今石
普通ですが、戦闘時の「イヤーッ!」「グワーッ!」ですかね。どんな感情も機微も、戦う時は全部これなのが面白いです。
――キャストのみなさんも、そういう意味では新感覚の作品になりそうですね。
今石
キャストのみなさんが、贅沢なことにベテランの方が多く、キャラクターを理解した上で常にプラスアルファのお芝居をしてくださっていて、つくづくすごいなと感じます。
この作品ではコンテ撮でアフレコをしていただいて、そのアフレコを元に絵コンテを調整しているんです。カットの間合いや長さを録音したセリフに合わせて再度調整し、アフレコ後に絵コンテが初めて完成する半プレスコで制作しています。アフレコに同席しているわけではありませんが、録音したものは聞いていて毎回すごく楽しいですよ。
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――アニメ版はキャラクターのカラーリングも独特だと思います。これはどなたが考えたのでしょうか。
今石
照り返しの色など監督がコントロールしているところが大きいです。アニメ本編を見続けてもらえれば何かしらの意図を感じ取ってもらえるのではないかと思います。
ダークヒーローの話なのでダークな色を使う傾向はあって、そうすると予想通りの絵にしかならないと懸念していましたが、そこは監督がだいぶ攻めてきたと思います。
――『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』の見どころは?
今石
ニンジャが次々と気持ち良く死んでいくところですね(笑)。
独特のアメコミ感、サイバーパンク、それでいてレトロなところもあり、最先端のネット小説らしいところもある。あらゆる要素が混在している感じも魅力だと思います。Web発信の小説がアニメ化されWebで公開されるのも自然な成り行きだし、同時にとても新しい。
従来のTVアニメのスタイルではないという目線で見てもらえればと思います。
――最後に、読者にメッセージをお願いします。
今石
物語としては、フジキドという男の復讐の戦いを描くシンプルな話なので、原作を読んだことがない人は話のタネに軽い気持ちでぜひ見てもらえればと思います。原作が好きな方は原作リスペクトをそこかしこに散りばめているので、期待していてください。
ぜひ驚きながら楽しんでもらえると嬉しいです。
――今石=サン、今日はありがとうございました!
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