■初日はスタンディングオベーション、ミュージカルの王道的なステージングで素直に感動■スクリーンに文字が映し出される。毛筆の書体で”侍がいた”など、『SAMURAI7』の設定を力強い文字で淡々と映す。それから、カンベエとシチロージの”回想”。2人は共に戦場で戦ったもの同士である。戦いの現場は、つべこべ言っていられない。互いの武運を祈ることしか出来ない、ということを端的に表現。スクリーンに燃え盛る炎が映る。それから場面は変わり、一人の少女、巫女のキララが浮かび上がる。農民たちは歌い踊る。五穀豊穣を祈る。古今東西、農業に携わる人々は、願いを込めて歌い、舞うのである。原作の印象的なエピソードをつなげつつ、物語をテンポよく、時にはコミカルに進める。原作が長いので、どこをはしょるか、どこをクローズアップするかは脚本の腕の見せ所だ。登場人物もある程度整理されてすっきりとさせて芯の部分をきっちり見せるようにしている。映像で背景を見せる。この映像、動きが細かく、場面を盛り上げる。楽曲も厚みがある。二重唱等を多用し、登場人物の心情や心の機微を提示。俳優の歌唱力が問われるところだ。ここは別所哲也始め、皆、きっちり歌い上げる。別所哲也演じるカンベエは、辛酸をなめ尽くし、戦いに明け暮れ、運良く生き残った中年の侍、といった風情がカンベエそのもの。矢崎広のカツシロウは、真っすぐで初々しく、侍に憧れ、カンベエにまとわりつく。若い、というより少年といった青臭さのあるキャラクターで好演。別所とのデュエットは、健闘。古川雄大のキュウゾウは口数少なくクールなナイスガイ。二刀流のアクションは型が美しく、ビジュアル的にもはまり役となっている。カンベエの戦友シチロージの野島直人のどこか悟った風情、笑みを絶やさないヘイハチ、永山たかしが飄々と演じる。ゴロベエ役の黒須洋壬、1幕のダンスシーンはかなりノリノリ。大澄賢也のキクチヨは期待通りに暴れてくれる。この7人のバランスがよく、キャスティングの勝利。1幕は7人が集まったところまで。2幕は、村を守るための戦いの場面となる。野伏せりはアニメでは機械であるが、舞台に機械を出す訳にはいかない。アンサンブルの面々が演じるのだが、全身黒ずくめで、アクロバット的なアクションで村を襲う。たたみかけるように侍たちに農民たちに襲いかかるのだが、機械の野伏せりに負けず劣らず不気味だ。ゴロベエ、ヘイハチ、キュウゾウ、キクチヨが次々と命を落とす。あっと言う間に撃たれたり、自ら挑んでいったりと状況は様々であるが、アニメですでにわかっているのに、何故かドキドキ。キララ役の入来 茉里、伸びやかな歌声を披露。ウキョウ役の根本正勝、ヒョーゴ役の市瀬秀和、リキチ役の杉崎真宏、いずれも芸達者でしっかりと脇を固める。全体としてはよい仕上がり、ミュージカルの王道的なステージング、率直に感動出来る。初日はスタンディングオベーション、あと、初日のみだったが”出演者がお客様お見送り”。幕間の売店では7人のキャラクターのイメージにあったカクテルが販売、なかなか憎いサービスもあり、休憩中も気分が盛り上がる仕掛けは嬉しい。全てのキャラクターにそれぞれの生き様や人生がある。言葉の端々に感じられるのだが、多くは語られていない。それでもなんとはなしに透けて見える。原作は『七人の侍』。リメイクであるが、原作の面白さ、奥行きは充分に感じられる『SAMURAI7』。これをミュージカルにする、上演時間もあまりにも長くは出来ない。舞台化には、様々な困難がつきまとう。初のミュージカル化、スタッフ・キャストの苦労は並大抵ではない。さらに磨きをかけて再演し、もっと高みを目指して欲しい。ミュージカル『SAMURAI 7』1月17日(土)~25日(日)天王洲 銀河劇場http://www.nelke.co.jp/stage/mu_samurai7/ミュージカル『SAMURAI 7』(C)2004 黒澤明/橋本忍/小国英雄/NEP・GONZO
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