ミュージカル「SAMURAI7」にスタンディングオベーション、7人の侍たちが歌い、踊る!連載第102回 | アニメ!アニメ!

ミュージカル「SAMURAI7」にスタンディングオベーション、7人の侍たちが歌い、踊る!連載第102回

高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義■ミュージカル『SAMURAI7』初日はスタンディングオベーション、ミュージカルの王道的なステージングで素直に感動■

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(C)2004 黒澤明/橋本忍/小国英雄/NEP・GONZO
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高浩美の
アニメ×ステージ&ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]

■”何のために戦うのか、何のために生きるのか”といった問いかけはいつの時代でも普遍的■

あの『SAMURAI7』がミュージカルになる。黒澤明監督作品『七人の侍』(1954年公開)から50周年を記念して2004年にリメイク、GONZOによるフルデジタル・アニメーション。2008年に舞台化され、2度再演されているが、ミュージカル化は初だ。
『SAMURAI7』の魅力は何と言っても個性的で魅力的な”7人”であろう。サムライ達のリーダー格であるカンベエ。どこか哲学的な雰囲気で、めっぽう強いが勝つためには卑怯な手段もいとわない。文武両道で人望も厚い。実戦経験のないカツシロウは子どもっぽさが残る若いサムライ。性格的にはどこか”甘ちゃん”だが、真っすぐな性格で、戦いの間に著しい成長を遂げる。
その他、百姓出身で機械のサムライ、豪腕で猪突猛進なキクチヨ、大道芸で生計を立てていたゴロベエ、カンベエの副官であったシチロージ、二刀流で剣の達人のキュウゾウ、手先が器用でいつも笑みを絶やさない、米に目がないヘイハチ。生まれも育ちも考え方もバラバラな7人がひとつの目標に向かって一致団結する。
この腕利き7人が”弱者”のために立ち上がる、というプロット、ここが原作『七人の侍』でも”肝”だが、これは様々な作品に影響を及ぼしている。

よく知られている作品に『荒野の七人』、そして『スター・ウォーズ』のジェダイの騎士は『七人の侍』のキャラクターをモチーフに創作されたと言われている。マンガではちょっと古いところでは『ワイルド7』(1969~1979)やアニメの『ガンバの冒険』(1975)等、枚挙にいとまがない。
時代設定は未来。中国南部の少数民族のような格好の農民たち、平安時代の貴族のようないでたちの商人、とユニークだが、これが不思議とマッチする。
音楽は和田薫と和太鼓奏者である林英哲。和太鼓の響きが物語を場面を重厚に盛り上げる。原作の『七人の侍』も世界的な傑作だが、『SAMIRAI7』もその世界観やヒューマンドラマも決して負けてはいない。戦いに巻き込まれる不条理さ、トルストイの『戦争と平和』にも通じるテーマ、”何のために戦うのか、何のために生きるのか”といった問いかけはいつの時代でも普遍的だ。   

今回のミュージカルは演出に上島雪夫、音楽は佐橋俊彦。上島はミュージカル『テニスの王子様』で知られているが、昨年の『虹のプレリュード』では、正攻法な演出で好評だった。佐橋俊彦はミュージカル『薄桜鬼』では音楽的な実験を試みており、前回の公演ではさりげなくノイズサウンドを使っていたのが印象的だった。
俳優陣もなかなか豪華な面々が揃った。カンベエに別所哲也。数々の大作ミュージカルを経験している実力派であり、カンパニーでも”カンベエ”的な役回り。初々しいカツシロウに矢崎広、侍物はミュージカル『薄桜鬼』で経験済。その他、キュウゾウに古川雄大、シチロージに野島直人、ヘイハチ・永山たかし、ゴロベエ・黒須洋壬、キクチヨに大澄賢也と多士済々。キャラメイクビジュアルを見てもなかなかのサムライぶりである。

人類は数々の大戦を経て、機械化文明と農耕文明が入り混じった混沌とした時代にあった。大戦が終了した後、コメの刈り取りの時期に現れては村を襲いコメを略奪する野伏せり(のぶせり)を撃退すべく、神無(かんな)村は密かにサムライを雇う事を計画する。村の水分り(みくまり)の巫女であるキララは自ら願い出て、サムライを探しに都の虹雅渓(こうがきょう)へ出る……。
機械の野伏せり達が所狭しと暴れ回るが、これを舞台ではどう表現するのか、あの派手なアクション、殺陣は?とビジュアル的な興味は尽きない。アニメはハイビジョン・フォーマット、5.1chドルビー・サラウンドで制作、戦闘シーンはクオリティ高く、迫力満点。特にメカ部分は動きが細かく思わず見入ってしまう。これをどうするのかクリエイター、俳優陣に期待したい。
《高浩美》
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