後編では映画のキャラクター、ストーリーに加えて、CGアニメーション、キャストについて、など部分についてお話を伺った。
そして今回の話は、果たして黒いのか、白いのか?この二人がタッグを組んだ作品だからこその内容を探る。
『楽園追放 - Expelled from Paradise -』
2014年11月15日(土)劇場上映
http://rakuen-tsuiho.com/
■ フルCGアニメとして作りあげる方法
―水島監督は『機動戦士ガンダム00』などでも、普通にCGは使われていたと思いますが、一方で今回の様に全てCGになったことで大変だったこと、良かったことはどんな点でしょうか?
水島精二監督(以下水島)
実は今回はワークフローをまるっきり変えています。絵コンテ以降は、一切手描きの絵はないんですよ。
―レイアウトもですか?
水島
レイアウトから3Dの空間、パソコン上で背景に近いモデルを用意して、その上にキャラクターを置いて、カメラを全部決めこんでいく作業をしています。アニメーターにゆだねるものは、最初から3Dのアニメーターにやってもらっているので。その間、必要になるのは、紙の上でのやりとりではなく、口頭でイメージを伝えることです。いかにアニメーターたちに自分の持っているものを伝えるのか。コミュニケーション能力は高くないと厳しい現場になりました。
共通項を探り出して、いろいろな映像を見てもらったり、話をしながら具体的に「こうカメラでとらえることにこういう意味合いが持たせられるから」って、演出的なハウツーを伝えていく作業がものすごく多かったんです。逆にこれまで自分でなんとなくやっていたことを全部説明しなければいけなくて、とにかく論理的に伝えていく作業です。それは大変だったし面白かったですね。
―それは1カット1カットですか。
水島
そうです。ただ最初は、レイアウトだけを決めるやり方をしたんです。そうすると逆にアニメーターが決めたカメラの移動幅とか、アングルの中でお芝居を撮ろうとするから、縮こまったお芝居になるのが最初の段階で分かったんです。そこでフローを変えました。どんなカットもアニマティックの要領で、ラフモーションと必要なカメラワークをつけてもらって、その状態でチェツクをしたんです。それは刺激的でしたね。
水島
自分の言葉一つで、その後の作業の効率が変わってしまうから、すごく考えましたし、どう伝えたら自分の意図がアニメーターに伝わるのかって。アニメーターひとりひとりの理解度が違うので、「この人と話しをするときはこういうアプローチの仕方」みたいなことを自分なりに実験してみたり。逆にあらためて2Dのアニメーターは、いかに演出家の意図を読む力を構築してきたのかと思いました。長い年月かけてつくられたフローは偉大だなって。
