2014年10月1日に経営統合をしたばかりのKADOKAWA・DWANGO が、早くも次の布石を打ってきた。11月13日、KADOKAWA・DWANGO の子会社であるドワンゴは、クリエイター教育事業の有力企業である株式会社バンタンを完全子会社化すると発表した。ドワンゴはバンタンの全株式40000株を、ジャフコ・スーパーV3共有投資事業有限責任組合と個人株主から12月25日付で取得する。これによりバンタンはKADOKAWA・DWANGO の孫会社となる。株式の譲渡価格は発表されていない。バンタンは1965年に創立、東京・恵比寿を拠点にクリエイティブ分野の教育事業に特化した学校として広く知られてきた。ファッションやデザインをスタートに、ゲーム、フード、映像、アニメ・マンガなどの教育を提供する。バンタンデザイン研究所、バンタンゲームアカデミー、バンタンデザイン研究所映画・映像学部などの学校がある。一方ドワンゴは、コンテンツ配信のプラットフォームnicinicoの運営や音楽・ゲーム配信、ゲーム事業などを手掛けることで知られている。また子会社MAGES.では、特にアニメ分野に特化して、声優やアーティスト育成のクリエイター教育事業も行なっている。バンタンの子会社化は、この教育分野をさらに強化、拡大するものとなる。しかしMAGES.での教育事業は年間売上高2億円強、対するバンタンの2014年3月期の売上高は63億5000万円になる。また、バンタンの教育分野はアニメ・映像は勿論、マンガやゲーム、ファッション、デザイン、フードやパテシエなど幅広い。ドワンゴはクリエイター教育事業を一挙に拡大することになる。ドワンゴによれば、バンタン子会社化により、教育事業での若年層への訴求を向上させるという。さらに同社が運営するniconicoとのコラボレーションを視野に入れる。niconicoは、ユーザー投稿を通じて、これまでも数多くの才能を世に送り出してきた。しかし、それらは自然発生的なものが多かった。バンタンと連動することで、教育の場からniconicoへ、niconicoで活躍する才能をさらに教育の場にといった相互の交流も期待出来るだろう。KADOKAWA・DWANGO は、出版・映画などの大手エンタテイメント企業KADOKAWAとドワンゴの経営統合で世の中を驚かせばかりだ。これにより小説やマンガの活字コンテンツ、映画やアニメの映像コンテンツ、ゲームコンテンツ、音楽コンテンツを創りだし、かつ日本有数のインターネット上のコンテンツプラットフォームを運営する巨大企業グループが登場した。今回はさらにそのコンテツを創り出すクリエイターを生み出す教育部門をグループに持つことになる。ドワンゴが、今後クリエイティブとコンテンツを自らを創り出すことを重視していることが窺われる。
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