庵野秀明「次が創れる気分になった」 東京国際映画祭特集上映、ついにフィナーレへ | アニメ!アニメ!

庵野秀明「次が創れる気分になった」 東京国際映画祭特集上映、ついにフィナーレへ

10月30日TOHOシネマズ日本橋にて、第27回東京国際映画祭 特集上映「庵野秀明の世界」が行われた。第5回トークセッションは短編作品で特集上映のフィナーレを締めくくった。

イベント・レポート
注目記事
「庵野秀明の世界」
  • 「庵野秀明の世界」
  • 『シュガシュガルーン』のポーズを披露する庵野秀明監督
  • (C)2014 TIFF
10月30日(木)TOHOシネマズ日本橋にて、第27回東京国際映画祭 特集上映「庵野秀明の世界」が行われた。今回は短編作品集となり、テレビCM、プロモーションビデオ、特報映像などアニメ・実写を問わずバラエティ豊かな作品が上映された。
その後の第5回トークセッションでは庵野秀明監督とアニメ・特撮研究家の氷川竜介さんが登壇。作品を解説するとともに、特集上映のフィナーレを締めくくった。

「こうやって見るとバラバラですね」と自らの多彩な活動を振り返った庵野監督。「とは言いつつ島本(和彦)のマンガを2回もやってる」と大学時代の友人であるマンガ家・島本和彦さんに触れると、会場から笑いが漏れた。
庵野さんは島本さん原作の『炎の転校生』の特報と『アニメ店長』のPVに携わっている。その際「僕が恥をかくのだったら、お前も恥をかけ」と島本さんにナレーションを担当させたことを明かし「上手い下手は関係ない。島本がやるということが大事」とポイントを挙げた。その一方、島本さんのマンガ『アオイホノオ』では庵野監督が実名で登場しており、二人の仲の良さが窺えるエピソードとなった。

短編作品集のラインナップには、プライベートでも交遊のある人々との作品が多く見られた。妻である安野モヨコさん原作のテレビアニメ『シュガシュガルーン』もその一つだ。オープニング・エンディング・新エンディングを手がけた庵野監督は「できるだけ嫁さんのマンガの世界を画面に出したかった」と演出意図を語った。
それゆえにエンディングは主人公の服装をピンク色ではなく、原作と同じ黒服で表現。線画を使用した新EDではコンテに絵を描かず、原作のイラストをコラージュしながら制作していった。モヨコさんに原画を直接頼むという庵野監督だからできる”特権”も利用したとのこと。

三鷹の森ジブリ美術館の短編『空想の機械達の中の破壊の発明』は宮崎駿監督から直接依頼された作品である。
庵野監督は仕事を受ける条件として「結婚式の披露宴で主賓としてスピーチしてくれるならやります」と提示したそうだ。だが披露宴では恥ずかしい話を次々と暴露されてしまい後悔していると、事の顛末を冗談交じりに話した。
上映では本編に加え、宮崎さんからは没にされたと言う初稿コンテを使ったコンテ撮も流された。実際に二つを比べて見たかったという庵野監督は「宮崎さんの方がちょっと大人でよかったですね。宮さんの方が大人って悔しいですけど」と感想を語った。

イベントでは庵野監督が敬愛する特撮についてのトークも展開された。その流れで上映のトリを飾った『巨神兵東京に現わる 劇場版』の話題になると、巨神兵が十字の光線を出す最後の場面は『風の谷のナウシカ』の宮崎監督のレイアウトをトレスしているなど、さまざまな制作秘話が披露された。

高校時代から54歳の今に至るまで、上映可能なほぼすべての庵野作品を網羅した「庵野秀明の世界」。庵野監督は「できるだけ同じことをしたくない」と常に思っていたため、作品を見直し「基本は一緒でも何か新しいことを入れている」と気付けたことが良かったと語った。続けて「改めて次が創れる気分になったのは本当に嬉しいです」と感謝の言葉を送った。
最後は「とにかく面白いものを創りたい。そして、僕も50を過ぎたので、アニメーションや特撮、映画に関して、恩返しみたいなことをしたい」と今後の活動に意欲を見せた。会場の大きな拍手に見送られる中、庵野監督はもう一度「どうもありがとうございました」とファン向けて挨拶し、1週間にわたる特集上映は幕を閉じた。
[高橋克則]

「庵野秀明の世界」
http://2014.tiff-jp.net/news/ja/?p=25603

短編作品ラインナップ
http://2014.tiff-jp.net/news/ja/?p=27013

第27回東京国際映画祭
http://www.tiff-jp.net/ja/
開催期間: 2014年10月23日(木)~10月31日(金)
《高橋克則》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集