アレックス氏は、『Under the Milky Way』内で国際市場に訴える最も重要なジャンルは「長編ドキュメンタリー」であると述べた。逆にフィクション、特に日本のお笑い、コメディといったものは文化的要素の差異が大きいため、世界でのヒットは難しいとも見ている。 VOD(ビデオ・オン・デマンド)のマーケットはまだまだこれからであるとしながらも、今後有望なホームマーケットになると語った。現在、170億ドルと見られている世界のホームエンタテインメントのうち、80~90億ドルをVODが占めているのだ。家にいる時間に人々が費やすさまざまな時間の中でもVODが担う役割は今後ますます大きくなっていくだろうと語った。
印象深いのは、メキシコで根付いているという作品にも出てきたように、アニメ作品は言語の壁を越えるだけで世界に届けやすい。『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995年公開 監督:押井守)やオスカーを獲得した『千と千尋の神隠し』(2004年 監督:宮崎駿)といった作品だけではなく、他にも可能性はあるだろう。 日本でのテレビ放送と同時にネット上で、違法配信で楽しまれているテレビシリーズのアニメタイトルも、オフィシャルな取り組みによっては世界に訴求するだろう。メキシコでの『セーラームーン』ように長く愛されるコンテンツになるのではないだろうか。そういった示唆を与えてくれるセミナーであった。
《細川洋平》