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国境を越えるコンテンツの獲得 「米州からみる日本コンテンツの魅力と挑戦」in TIFFCOM2014

日本のコンテンツを海外はどう捉えているのだろうか。ジェトロ主催『映像コンテンツセミナー「米州からみる日本コンテンツの魅力と挑戦」』ではそういった問いに応じるような場となった。

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国境を越えるコンテンツの獲得 「米州からみる日本コンテンツの魅力と挑戦」in TIFFCOM2014
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■ 配信におけるローカリゼーション

アレックス氏は、『Under the Milky Way』内で国際市場に訴える最も重要なジャンルは「長編ドキュメンタリー」であると述べた。逆にフィクション、特に日本のお笑い、コメディといったものは文化的要素の差異が大きいため、世界でのヒットは難しいとも見ている。
VOD(ビデオ・オン・デマンド)のマーケットはまだまだこれからであるとしながらも、今後有望なホームマーケットになると語った。現在、170億ドルと見られている世界のホームエンタテインメントのうち、80~90億ドルをVODが占めているのだ。家にいる時間に人々が費やすさまざまな時間の中でもVODが担う役割は今後ますます大きくなっていくだろうと語った。

また、メキシコの場合はどうだろうか。仮に日本のIP権をラタン・ピクチャーズが取得した場合は、ストーリーやキャラクターに手を加えるなどのローカライズは欠かせないだろうとミネコ氏は述べた。メキシコ国民に「特別な感情」をいただかせるためのエッセンスを入れる必要があるのだという。
ただ、先に挙げた『そして父になる』はメキシコでも評判になっており、テレビドラマ『コメットさん』(1967年)、アニメ『美少女戦士セーラームーン』(1993年)、『ウルトラマンシリーズ』は今でも繰り返し見られているコンテンツであるという。

本セミナーでは、アメリカで活躍する俳優、アメリカのエージェント、フランスのVOD配信業者、メキシコの映画配給会社と実に様々な視点を持つパネリストの意見が寄せられた。しかし、共通するのは『ローカリゼーション』ということ。それぞれの文化にはそれに適したコンテンツが好まれる。裏を返せば、国境を越えたテーマを獲得すれば多くの国で通用するコンテンツになり得るということだ。
今や国内のみではシュリンクしつつある市場をいかに世界に広げられるのか。今後の世界に対する日本市場の動向も注目していきたい。

印象深いのは、メキシコで根付いているという作品にも出てきたように、アニメ作品は言語の壁を越えるだけで世界に届けやすい。『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995年公開 監督:押井守)やオスカーを獲得した『千と千尋の神隠し』(2004年 監督:宮崎駿)といった作品だけではなく、他にも可能性はあるだろう。
日本でのテレビ放送と同時にネット上で、違法配信で楽しまれているテレビシリーズのアニメタイトルも、オフィシャルな取り組みによっては世界に訴求するだろう。メキシコでの『セーラームーン』ように長く愛されるコンテンツになるのではないだろうか。そういった示唆を与えてくれるセミナーであった。 
《細川洋平》
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