富野作品、そしてガンダムの魅力とは? 氷川竜介×藤津亮太特別対談-前編-『ガンダム Gのレコンギスタ』 | アニメ!アニメ!

富野作品、そしてガンダムの魅力とは? 氷川竜介×藤津亮太特別対談-前編-『ガンダム Gのレコンギスタ』

インタビュー

全てのはじまりから35年、そして最後に手がけた作品から15年。ついに富野由悠季がテレビシリーズで新たな『ガンダム』を世に送り出す。『ガンダム Gのレコンギスタ』は富野総監督の新しい挑戦でもある。全26話の脚本執筆、ED主題歌作詞(井荻麟名義)、そして総監督と、今なお大いなるバイタリティで活躍する富野総監督の新作は「特別先行版」という形で、第1話~第3話までが映画館で先行上映された。
10月2日より順次テレビ放送を開始する。テレビシリーズでの登場を間近に控え、『機動戦士ガンダム』シリーズ、そして富野作品を熟知する、アニメ特撮研究家の氷川竜介さんとアニメ評論家の藤津亮太さんのおふたりをお招きし、特別対談を行った。富野ガンダムの魅力。
[聞き手:数土直志、取材・構成:細川洋平]

■ 氷川竜介(ひかわ・りゅうすけ)
1958年生まれ。兵庫県出身。アニメ・特撮研究家。明治大学大学院客員教授。主な著書に『フィルムとしてのガンダム』。
■ 藤津亮太(ふじつ・りょうた)
1968年生まれ。静岡県出身。アニメ評論家。主な著書に『「アニメ評論家」宣言』、『チャンネルはいつもアニメ ゼロ年代アニメ時評』などがある。

『ガンダム Gのレコンギスタ』 
/ http://www.g-reco.net/
『∀ガンダム』
/http://www.turn-a-gundam.net/

■富野さんの中で言いたいことが溢れている

―『ガンダム Gのレコンギスタ』(以下、『G-レコ』)が10月から始まります。これを機会に富野監督作品に詳しいお二方に富野作品の魅力についてうかがえればと思います。

―氷川竜介氏(以下氷川)
実は昨今の状況にものすごくデジャヴを感じているところです。90年代後半にエヴァブームが起き、『もののけ姫』では宮崎駿監督の引退宣言がありました。「ほかに誰かいないのか?」 というとき、「あの富野監督がテレビシリーズを作るぞ」と取材が殺到し、自分も「週刊SPA!」のコーナー「エッジな人々」の仕事でに富野さんに十何年ぶりかでお会いできました。
思い起こせば藤津さんとの出会いも、その新作『ブレンパワード』(以下、『ブレン』)で当時「SPA!」編集部にいた藤津さんが私に電話をかけてきたのがきっかけで……。

―藤津亮太氏(以下藤津)
そうそう、そこが初対面です。『もののけ姫』が97年で、98年の春番が『ブレン』でしたね。

―氷川 
それで意気込ん大会場で冒頭話数を見終えると、なぜか期待と違う部分で呆気にとられてしまうところも『ブレン』の試写会とそっくりだと思いました(笑)。

―藤津 
でも『G-レコ』は『ブレン』の時よりはすごく分かりやすいですよね。

―氷川  
だいぶ親切設計にはなっていますね。でもある種の振り切り感、「オレはみんなと違うモノを作るんだ!」というパンクな勢いがあって、一連の流れふくめてデジャヴです。

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氷川竜介氏

―さっそく少し出ましたが、先日劇場上映されました『G-レコ』の第一印象からお願いします。

―氷川  
今回劇場上映用のパンフレットの解説を書くにあたり、先行して絵コンテや、完パケ前の映像も見ていました。ちゃんと完成した作品は、広がっている感じがしてにぎやかですね。一方で、これからどこに行くかわからない不安もある。ただ、『ブレン』の時に、しばらくして見返してみたら、印象が変わったことも思い出しました。

―藤津 
第1話で必要なものが全部入ってるわけですよね。

―氷川  
ええ。『ブレン』ではしばらくして見返したら、第1話で必要な情報は描かれていたんだと驚き、1周目と2周目で全然違う感想になったんです。途中の『∀ガンダム』や『OVERMAN キングゲイナー』(以下、『キングゲイナー』)は、第1話単体で「こういう設定で、この先はこんな感じの話を目指しますよ」と、むしろ普通に伝えようとしている。今回『ブレン』寄りということは、富野さんの中で言いたいことが溢れてきた状態かなと思いました。

―藤津 
ぼくも氷川さんと同じでパンフレットのインタビューをやるにあたって、渡されたコンテだけ読んだ段階で富野監督に話をうかがいました。そのあと絵を見た初見の感想は逆に「分かりやすいな」だったんですよ。
いろんな人が「ポカーンだった」と言う『リーンの翼』第1話を僕が見た時の感想も「わかりやすい!」だったたので、割り引いて聞いてもらったほうがいいかもしれませんが(笑)。

―氷川  
はははは(笑)。

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藤津亮太氏

―藤津 
わかりやすかったのは、「ここはこういうことを伝えようとしているブロック」というのが明確に感じられたんです。もちろん富野監督がホントにそう考えているかはわかりません。勝手な妄想です。でも、カット・シーンの役割がすっと飲み込めたので、ストレスがなかったんですよ。細部の情報はあとで見返せばいい。そこが『リーンの翼』と『G-レコ』が分かりやすいと思った共通点ですね。
監督に取材した感想も含めてですが、「ベルリはしなやかな人で、ひょうひょうとやっていく。だからヒーローなんだ」という話になるのかと思いました。もちろん、どこかで彼が葛藤せざるをえないことも起きるかも知れないけど。

―氷川 
主人公は富野作品では珍しいというか、ジュドー・アーシタとも違う明るさがあって、「初」に近いタイプですよね。

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『∀ガンダム』。『ガンダム Gのレコンギスタ』は『∀』以来、富野由悠季監督の15年ぶりの新作ガンダムのテレビシリーズだ。
《animeanime》
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