9月3日付けのアニメ!アニメ!記事でも紹介したが、Kickstarterでの『Under the Dog』支援募集期限があと数日となった時点では、まだ目標額58万ドル(日本円で約6100万円)の約70%、$410,000しか集まっていなかった。支援者(backers)の数も約6千人と、このままのペースでギリギリ達成できるのか、という重苦しい雰囲気だった。クラウドファンディングのKickstarterは、設定した期日までに支援金が目標額を越えればアメリカのアマゾン経由で企画者の手元に手数料や税金を差し引いた額が届くが、到達しない場合、企画者には一銭も入らないというシビアな仕組み。
(参照記事:日本発オリジナルアニメ「Under the Dog」Kickstarterで目標額6100万円に接近中!http://animeanime.jp/article/2014/09/03/20042.html)
Kickstarterでは企画は種類ごとに分けられており、アニメーションもFilm & Videoの一つカテゴリーとして存在する。そのアニメーション部門で、これまではニューヨーク発の企画『Bee and PuppyCat: The Series』が$872,133を集め、Most funded project(支援金最高額)としてトップの座にあった。それに対し、今回『Under the Dog』が最終的に集めた支援金は$878,028。まだ作られてもいない日本のアニメ作品がKickstarterの記録を塗替え、歴代第1位に躍り出た。まだまだアメリカ産が中心ではあるものの、世界各国のプロジェクトが集まる中での、まぎれもない世界一である。(ちなみに、同じ日本発のTRIGGER制作によるオリジナルアニメ『リトルウィッチアカデミア2』は$625,518の支援を集めて第4位。)
だが、この「世界一」への道のりも、決して楽なものではなかった。『Under the Dog』の支援募集期限まで残すところあと数分。金額は記録となる87万ドルに急速に近づいてはいたが、それでも世界一にはあと一歩で届かないかもしれない…そう誰もが思っていた時にちょっとしたドラマがあった。そもそもKickstarterの支援額には様々なレベルがあり、その金額に応じて付いてくる特典も変わってくる。一番低いレベルは5ドルからなのだが、最高レベルは1万ドル、日本円に換算して約100万円である。簡単に出せる額ではない。ところが、なんとこの最高レベル1万ドルをラスト数分内に2名が出資するということが起きたのだ。まさにイシイ氏の言うところの海外からの“カミカゼ”だったのかもしれない… 《ロミ》