株式会社丸井には、その名も「『好き』を応援するイベント事業本部」という部署があります。
そしてこの部署が8階フロアのトータル500坪ほぼすべてがイベント区画という「有楽町マルイ」をはじめ、全国のマルイや関連施設で、大小さまざまな「『好き』を応援するイベント」を開催。
イベント会場を提供するばかりではなく、それぞれのIPにマッチする企画作りから設備・什器の貸し出しを含む設営、小売経験豊富なスタッフによる接客・運営、撤収までサポートし、他にはないユニークなイベントでファンの熱い支持を受けています。
本稿では、株式会社丸井取締役で有楽町マルイ店長の津田 純子さんと、同社「好き」を応援するイベント事業本部 兼 「好き」を応援するユニット推進室 イベント開発課の廣津 杏菜さんを取材し、丸井グループの「好き」を応援するビジネス、その中でもイベント事業について語っていただきました。
丸井はいつも、その時代のお客様が求める「好き」を応援

――丸井グループや、「『好き」を応援する」ビジネスについて教えてください。
津田丸井グループはまもなく創業100周年を迎えますが、お客様のお役に立つため進化し続けることを経営理念としています。現在もクレジットカード事業等を中心に「すべての人が幸せを感じられる社会を作る」ということをミッションに掲げて、それを叶えるために「『好き』を応援する」ビジネスに取り組んでいるところです。
そもそも丸井はいつも、その時代のお客様が求める「好き」を応援してきました。昔であれば当時の若者が憧れた家具や楽器、DCブランドといった「好き」を応援してきましたし、推し活を楽しむ方が増えるにつれて、現在のようにアニメやキャラクターをはじめとする「好き」を応援するように……と、お客様の気持ちに寄り添いながら少しずつ変化してきたのです。
廣津当事業は2016年にスタートいたしまして、人気の高いアニメ・漫画作品とのタイアップによるコラボデザインのクレジットカードを発行したり、マルイ店舗を中心にイベントを開催したりしておりました。近年は、デジタル化の影響もあってか、お客様の好きなものが本当に多種多様になってきております。アニメや漫画に限らず、ゲームやキャラクター、アーティストなど、いわゆるIPと呼ばれるものはもちろん、「サウナ」や「ぬいぐるみ」「スイーツ」等、「特定の権利元が不在だが、多くのファンがいるようなコンテンツ」を広く応援するイベント事業を立ち上げようということになり、今の「『好き』を応援するイベント事業本部」が設立されました。人気が高く、知名度のあるコンテンツだけでなく、お客様の「好き」なものは何でも応援していきたいと思っております!
津田おかげさまで最近は客層自体が広がっているといいますか、これまでマルイでお会いできなかったような方々にも来ていただけるので、すごくありがたいですし、うれしいですね。例えば有楽町マルイは東京駅も近いので、キャリーケースを引いて「さっき新幹線で着いたところです」なんてお客様もいらっしゃって、エリアとしても広域化しているのを感じます。
小さなポップアップショップから大規模展覧会まで、そして企画から運営、撤収まで丸井がサポート

――「好き」を応援するイベント事業では、全国のマルイで大小さまざまなイベントを行えるそうですね。
津田 これが本当に大小さまざまなんです。マルイシティ横浜で開催したあるイベントは、約400坪のスペースに、延べ3万人を超えるお客様が来場されました。この“3万人”というのもグッズ売り上げから推定したもので、実際にはもっといらしたのではないかと思います。その一方で、例えば有楽町マルイですと最小20坪のイベントスペースもありますし、隣同士のスペースをまとめて使っていただくこともありまして、かなりフレキシブルに対応していますね。
――しかも、スペースを貸し出すだけでなくさまざまな形でイベントをサポートしているとか。
廣津 はい。企画から設営、運営、撤収まですべてサポートしています。もちろんイベント開催に必要な設備・什器等のご用意もしておりますが、そういった環境面でのサポートだけでなく、コンテンツの特徴や時期感、ファンの求めていることや会場の仕様等様々な要素を踏まえて企画から一緒に考えさせていただいております!そして入場受付やショップでの販売などの運営は接客のプロであるマルイのスタッフが担当します。マルイ各店舗にあるサイネージやビジョンでのプロモーションもお客様の目につく場所に掲出できるので、版権元様にも大変お喜びいただいております!
私が担当している企画の部分では、「こういう感じでやりたいけど、どうすればいいのかな」といった、まだ具体的でない状況からご一緒に「どうすればやりたいイベントを実現できるか」というところから一緒に考えておりますので、リアル会場でのイベント運営に不慣れな版権元様やアーティスト様でも安心していただけているようです。実際に「マルイさんだからイベントができた」と言ってくださる版権元様やアーティスト様もいらっしゃいます。
――確かに「運営が不慣れなせいでせっかくのイベントを楽しみ切れなかった」というような話も耳にしますから、プロであるマルイのみなさんが支えていると聞くと心強いです。
津田社内には「『好き』を応援する事業に携わりたい」と自ら手を挙げてくれるメンバーも多いですし、それでなくても小売業のDNAといいますか、みんなお客様のお役に立つことが好きですから。もちろん版権元様やアーティスト様からも、丸井グループの強みを生かしながら、一気通貫で開催できることはご評価をいただけています。
廣津それに、企画から私たちが携わり、サポートさせていただくことで、柔軟さや革新性のあるイベントができるという面もありますね。面白い例だと、会場のモニターに映し出されたVTuberとお客様が相対する形のファンミーティングを開催したこともありますし、イベント会場の中に機材を入れて、その場でラジオの公開収録をしたこともあるんですよ。オンラインでも商品の販売はできる中で、お客様に来ていただく、場所を設けてイベントをやる意味を感じていただけるところでもあるので、私たちもやりがいを感じています。
版権元様のご相談を受けクラウドファンディング実施。お客様同士で「このイベントを盛り上げよう」という雰囲気が自然と生まれるイベントに

――快適にお買い物ができる、展示を楽しめる……といったことに留まらず、ここならではの“体験の場を作る”ことまで考えられているんですね。
廣津そうなんです。会場へ来たことが忘れられない思い出になったり、お客様同士がそこでつながりを作れたりするような場作りが出来たらいいな、と常に思っています。あるイベントでは、お客様に付箋を貼って参加していただけるメッセージボードを企画したところ、「イベントを開催してくれてありがとう!」「本当につらいことがあったけれど、推しのおかげでがんばれているよ、いつもありがとう」、「北海道から沖縄まで(巡回イベントの)全部に行きました!」といったコメントが何度もボードからあふれるほど集まりまして、版権元様と私とで一緒になってうるうると涙を浮かべたこともあります・・・!こんな風に、お客様の思いを制作側へ届けていただく場にもなっていることで、お客様の想いが版権元様や我々に届くということが、とっても素敵なことだなと思います。そんな想いを目の当たりにして、改めて、こういうお客様のために日々頑張っているんだな、と再認識できました。
津田ほかにも、弊社にとあるインディーズゲームが大好きな社員がいまして、版権元様とイベントの企画を進めていたのですが、展示制作の予算が限られているということでクラウドファンディングを実施したんです。そうしたところ、ファンの皆様から当初目標の十倍以上の資金が集まりまして、素晴らしいクオリティの展示を実現することができました。会場の壁に、クラウドファンディングに参加してくださった方のお名前がズラッと並んでいて、みなさん感慨深げに写真を撮っていらして……お客様の熱量の高さがとても印象に残っています。
廣津クラウドファンディングで「自分たちも参加した」という実感があるからこそ、現場にも何度も足を運んでくださいますし、お客様同士の「このイベントを盛り上げよう」という雰囲気も自然と生まれていて。こういった、お客様参加型のイベントも今後どんどんやっていきたいと考えているところです。
「好き」に喜びや誇り、楽しさを見出している人たちの助けになりたいし、一緒に楽しみたい

――マルイならではの体験の場といえば、膨大なラインナップのコラボカードから選んで入会できる「エポスサービスカウンター」もありますね。
津田一般的なクレジットカードは便利なツールということで、カードそのものに愛着を持つということはあまりないかと思うのですが、エポスカードは100種類以上のコラボレーション券面がありますし、お気に入りの1枚をお財布に入れて、ずっとお付き合いしていただけるものと考えています。アニメ・ゲームをはじめ、アーティストのカードなどもありまして、入会特典もコラボにちなんだものをご用意しているので、実はイベントでマルイへ来ていただいたのをきっかけに、推しのコラボカードを作っていただくところまで一気通貫というわけなんです。
廣津他にも、お買い物のたびに、ポイントの一部を美術館や博物館へ寄付できるミュージアムとのコラボカードなどは、「推しの力になれる」ということで、楽しくお買い物していただけているようです。それにご自身のペットのお気に入りの写真を券面にして愛でられる「エポスペットカード」などもありまして、本当にさまざまな「好き」をエポスカードで応援したり、楽しんだりしていただけるようになっています。
――私たちの「好き」を応援してくれる心強い味方として、最後にメッセージをいただけますか?
津田ずっと成長軌道を望めるわけではない社会で、閉塞感を覚えるようなこともある……その中で「好き」なものをお持ちのお客様は、「好き」に喜びや誇り、楽しさを見出して前向きに進んでいらっしゃるのではないかと思っています。私たちがそれをお手伝いできれば本当に光栄ですし、これからも版権元様やアーティスト様と共に創り、お客様と一緒に楽しんでいきたいですね。
廣津サブカルチャーのメインカルチャー化といったことも言われますが、まだまだ陽の目を浴びていないカルチャーもたくさんあるのではないでしょうか。お客様が求めている「好き」であれば、どんなものでも形にしてみる、そのために企業として助力していくことに意味があるのではと考えています。こんなに素敵なコンテンツをたくさん生み出せる日本を応援していく立場として、どんどん新しいことにも取り組んで、お客様に喜んでいただくことを続けていきたいですね。
【インタビュイーのプロフィール】

株式会社丸井 取締役 有楽町マルイ店長 津田 純子さん

株式会社丸井 「好き」を応援するイベント事業本部
「好き」を応援するユニット推進室 イベント開発課 廣津 杏菜さん








