安田朗氏インタビュー後編 『∀ガンダム』で富野由悠季監督の神の御業を見た 2ページ目 | アニメ!アニメ!

安田朗氏インタビュー後編 『∀ガンダム』で富野由悠季監督の神の御業を見た

富野由悠季氏を総監督に『ガンダム Gのレコンギスタ』いよいよスタートする。新しいガンダム「G-セルフ」をデザインした安田朗氏に「G-セルフ」誕生の秘密、そして富野総監督とのもうひとつの仕事『∀ガンダム』について伺った。 

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■ 富野監督は面白がりたい人、予定調和だと駄目なんだと思います。

―先程、富野監督はあまりオーダーを出さないとお話ありましたが、『∀ガンダム』の時のキャラクターに関しても富野監督からもあんまりオーダーは出なかったんですか?

安田
オーダーが出る時は、僕が遅れている時ですね。作業が始まっている時にも出します。最初はヒントだけ言って、上がってきたものを背負投げする感じです(笑)。

―『∀ガンダム』の時の監督のヒントは何でしたか?

安田
『∀ガンダム』の時は、ヒントが全然分からず、完全に手探りでした。本当に分からなかった。主人公のロラン・セアックはどういう少年かというと「ホワイトドールという街にある巨大な像を掃除する男」と書いてある(笑)。
あ、思い出しました。ヒントはありました。初期の企画書に、これからの時代は『ゴレンジャー』でいえばグリーンみたいな人が主人公になるべきじゃないかと書いてありました。

―ピュアで少年っぽい感じですか?

安田
主人公は昔は熱血だったけど、これからはグリーンみたいな人が主人公じゃないかと。だから、どっちかというとキースのほうを主人公みたいな気持ちで描きました。

fd

―ロランは本編で女装したりと中性的なイメージがあります。それも意識されましたか?

安田
それは「男と女、どっちでも見れるようなキャラクター」と言われたんです。ロランは苦労しました。

―これも印象的なのですが、ロランは褐色の肌で白い髪というのが非常に変わっています。もうひとり、グエンも褐色の肌で金髪、これも非常に変わったビジュアルです。そうした発想はどこから生まれたんですか?

安田
世界は一回は滅んでいるということですね。要はアメリカ大陸だけど、もともとブリテン島から着たアングロ・サクソンな人も金髪かもしれないけど、日差しが強いので何人かはメラニンが増えたんじゃないの? と思ってです。そうすれば、昔のガンダム世界とは違う人間たちが住んでいる感じが、出るかと思ったんです。

―キエルとディアナが、よく似た姿のキャラクターとして登場します。当初からキャラクターの入れ替わり、同じビジュアルだけど違う人という設定は決まっていましたか?

安田
最初はなかったんです。なぜかというと、キエルは「死ぬ」とありましたから。「キエル死ななくなったんですか?」「そうなんだよ」と言っていました。そのあとに、「とりかえばや(*)を考えた」という話になりました。
*平安時代後期の文学『とりかへばや物語』。よく似た姿の姉と弟が着物を替えて入れ替わるストーリー。

―入れ替わりは物語の主軸になっていますが、割と後から出てきたのですね。

安田
富野監督自身が作品を作る時に面白がりたい人だから、予定調和だと駄目なんだと思います。だから、例えば「予告に必ず風を入れる縛りにしたんだよ」と言っていましたからね。そういう楽しみがたぶん必要なんだと思います。

fd

《animeanime》
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