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『新劇場版「頭文字 D」Legend1 -覚醒-』 クリエイティブの秘密に迫る 松浦裕暁氏に訊く

『新劇場版「頭文字D」 Legend1 -覚醒-』が2014年8月23日に全国公開となる『劇場版 頭文字D』でCGクリエイティブプロデューサーを務める松浦裕暁氏(サンジゲン代表取締役)に、作品についてお話を伺った。

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―本作の見どころのひとつに車がありますが、車体の表現はどうでしょうか?

松浦
それが今回僕たちがやろうと思ったことです。車をCGで作るとキレイな形は作れるんですよ。もちろんそれはメリットですけれど、今回の「頭文字 D」でやるときれいな形のものが動くことに違和感を覚えてしまうんです。
なのであえて歪ませたり、寸詰まりにさせたり、ひねったり、伸ばしたりを、カットごとや、そのカメラから見える印象によって変えています。手描きだと自然にクリアしていることですが、僕たちはCGからそちらに持って行き、表現します。

―CGの車であれば、そうしたモデルはすでにたくさんあるのですが、それを選択しないわけですね。

松浦
一番重要なのは画面から伝わる印象で、それがハチロクに見えなければいけないわけです。さらに「頭文字 D」の作品の中のハチロクに見えなければいけない。ただハチロクという実際にある車を寸分たがわず作ることが正解ではないんです。僕たちはそのオリジナリティ、癖みたいなものを取り入れることで、やっと「頭文字 D」のハチロクの画が成立すると思っています。

―アニメのキャラクターの絵にメリハリがあるのと同じように、車の絵にもメリハリがあるわけですね。

松浦
そうです。絶対必要です。なぜかと言うと、アニメ自体が基本的にすべてデフォルメされたものなんです。ただデフォルメされたものを1個作ったからと言って、すべてに対応できるわけじゃない。アニメーターが真っ白い紙に1枚1枚描くように、CGも同じモデルを使っても、画面によってひとつひとつデフォルメしていかなければいけないと思っています。「頭文字 D」に限らず、他の表現でも同じで、一つのモデルを作ればOKかというと、全然そうじゃないんですよ。

―車のモデルはいくつぐらいあるのですか?車に対する取材はどのくらいされましたか?

松浦
車自体はそう多くないですね。元々持っていたデータもあるので、それも組み合わせて表現しています。新規で作ったのはおそらく30台ぐらいだと思います。
取材も、それほど多くはないです。まず、重要なハチロクを取材しました。京都にハチロクにこだわって「頭文字D」のハチロクそっくりそのまま模して車を作ったかたがいらっしゃいます。漫画と同じ仕様にしているので、京都へ行って取材をし、写真をたくさん撮らせていただきました。あとは雑誌やカタログで資料を集めました。

fd

《animeanime》
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