山本寛監督、柿崎プロデューサーら立命館大学映像学部で「映像と地域活性化」を語る-前編- 2ページ目 | アニメ!アニメ!

山本寛監督、柿崎プロデューサーら立命館大学映像学部で「映像と地域活性化」を語る-前編-

山本寛監督、柿崎俊道プロデューサーら、京都、立命館大学映像学部のクリエイティブ・リーダーシップセミナーで、「映像と地域活性化」について講演。山本寛監督のアニメ制作の裏側も。

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■ 「原作準拠の原則」で現実のその世界にキャラクターが息づいているという疑似体験を提供する

この柿崎氏の言葉を受けて登壇したのが山本寛監督。13年度末の劇場映画公開から14年度の冬クールにわたりテレビアニメを展開した『Wake Up, Girls!』(以下、『WUG!』)の原案・監督だ。同作は企画段階から、仙台を中心とした東北地域の振興を意識して制作がおこなわれ、同地域を中心に東北各地域で緻密なロケがおこなわれたことで知られる。
山本監督がシリーズ演出を務めた『涼宮ハルヒの憂鬱』や第4話まで監督として携わった『らき☆すた』は昨今のアニメ作品の聖地巡礼を広く世に示した。また、その後、同氏が株式会社Ordet設立後に監督を務めた『かんなぎ』なども聖地巡礼がおこなわれた。
このように山本監督は、アニメの聖地巡礼に深く関わりのある数々の作品に携わったという意味で、制作者の目線で聖地巡礼現象を目の当たりにしてきたということになる。事実、本講演も終始、作り手の視点として聖地巡礼という現象を如何に見てきたが語られた。

まず冒頭で、アニメスタジオが実際の場所をモデルにアニメ制作に取り組み始めた背景が語られた。山本監督によれば「リアリティ」を追求してとのことだったという。
アニメは、背景をつくりあげる上で美術設定を示す必要があるが、ビル一棟、道一本の設定をつくるだけでも、非常に大変なのだという。たとえば電柱。一見簡単に見えながらも、美術設定がロケ無しに設定のみを提示すると背景担当が描いてくる電柱には、電線が抜けているという場合もあったという。また、塀の高さが異常に高くなっていたりということも多かったと山本監督。
このような現状を鑑み、当時在籍していた京都アニメーションが元請けをはじめた際、アニメをそこから変えていこうと方針を固めていったとのことだ。ロケハンで写真を集め、それをもとに背景を描いていくという流れの確立だ。これは『フルメタルパニック? ふもっふ』や『フルメタルパニック! The Second Raid』そして『Air』の時代から既にはじめていた。
つまり、この頃から、現実に即したリアルな設定をアニメ作品に反映させようとしてきたのだ。原作者にまず、どの場所を想定して作品づくりをしたか確認し、その場所を実際に作品内に取り入れていくことにした。山本監督はこれを「原作準拠の原則」と説明。原作に可能な限り忠実にしようとすることで「あたかも現実のその世界にキャラクターが息づいているという疑似体験をしてもらいたい」との考えのもとに取材を増やしていくことになったのだ。

『涼宮ハルヒの憂鬱』のときまでは、聖地巡礼を意識しながら取材することはなかったとのこと。同作の場合もSOS団が待ち合わせる場所や、朝比奈みくるがキョンに自分の正体を明かした場所などを忠実にロケハンで写真として捉え、それを背景におこしてきたのだという。
《animeanime》
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