「サカサマのパテマ」英国版 豪華版リリースでKickstarter活用の新ビジネス | アニメ!アニメ!

「サカサマのパテマ」英国版 豪華版リリースでKickstarter活用の新ビジネス

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イギリスのアニメ流通会社Anime Limited(All the Anime)が、ファンから直接資金を集めるクラウドファンディングの大手Kickstarterで新たなアニメビジネスの取り組みをする。5月2日から吉浦康裕監督の『サカサマのパテマ』英国版のBlu‐ray/DVDリリースに向けた資金集めを開始した。
資金集めの目標は1万6000ポンド(約275万円)だったが、募集期間30日の最初の1日でこれを突破、4日目までですでに2万2000ポンドを超えている。商品出荷できるのがイギリス、アイルランド、フランス、オランダ、ベルギー、スイスに限定されていることを考えれば驚異的だ。All the Animeにとっては、3月の『マイマイ新子と千年の魔法』の10万ドル超の資金集めに続く成功となる。

しかし、吉浦監督の作品は2013年夏に『イヴの時間』の海外版Blu-rayリリースで、Kickstarterにおいて21万5000ドルを集めた実績がある。Kickstarterで多くのファンの支援が得られるのは予想の範囲内だろう。
実は今回のKickstarterでのプロジェクトは、資金が集まり難い作品を世に出すためといった目標とは異なるコンセプトを持っている。実際にKickstarterでのプロジェクト解説では、「(今回は)あまり知られておらず、商品化が難しい作品を世に送り出すのとは異なります。コレクターのために、これまでのかたちを超えた商品の新しい取り組みなのです」と述べている。

Anime Limitedは、『サカサマのパテマ』の英語版Blu-ray/DVD化にあたり、通常版、コレクターズエディション、さらにウルティメイトエディションを企画する。ウルティメイトエディションは、Blu-ray/DVD以外に豪華装丁の箱入り、ナンバリングの入ったアートカード、ファンブック、作中に出てくる手紙のリプリカを収納する。
Anime Limitedによれば、ウルティメイトエディションは通常の流通を利用して小売店やAmazon.comで販売した場合は、小売価格が84.99ポンド(約1万5000円)になる。しかし、Kickstarterで先行予約、直接ファンに商品を届けることで、これを大幅に価格を引き下げられるという。
Kickstarterのウルティメイトエディションが手に入る最も金額の低い支援プランは、35ポンド(約6000円)である。かなりリーズナブルな金額だ。ファンにとっては価格が下がることで、Anime Limitedにとっては中間流通を飛ばし、かつ販売数量が事前にわかることで利益が大きい。ウルティメイトエディションは限定1500部で、Kickstarterで予約部数に達しなかった分は、一般流通にて84.99ポンドで販売する予定だ。

クラウドファンディングは一般的には、資金調達困難なプロジェクトをファンから支援してもらうシステムと見られがちだ。近年は、プロジェクトを紹介することによる宣伝効果や、すでに予定されているプロジェクトをさらに広げるための手段としても知られはじめている。
Anime Limited の試みはさらに新たな仕組みづくりになっている。日本アニメは海外で、熱狂的なファンは多いけれどマス向けの流通をするには数が限定されていると指摘されることが多い。多くのアニメ作品が大手量販店で販売されず、商品価格も下げにくい理由である。ファンと作り手やメーカーを直接つなぐクラウドファンディングは、こうした日本アニメ向きのシステムでもある。Anime Limitedのような挑戦は今後もさらに現れそうだ。
[数土直志]

Patema Inverted - Ultimate Edition(Kickstarter)
https://www.kickstarter.com/projects/alltheanime/patema-inverted-ultimate-edition?ref=category
(日本向けには商品配送はされません)
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