「進撃の巨人」マンガ単行本が米国進撃中、NYタイムズのマンガランキングで初の1位 | アニメ!アニメ!

「進撃の巨人」マンガ単行本が米国進撃中、NYタイムズのマンガランキングで初の1位

国内でも大人気を誇る『進撃の巨人』が、北米のアニメ・マンガファンの間で大旋風を巻き起こしている。人気の主役はこの秋に、諫山創さんの原作マンガの米国版に移っている。

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2012年サンディエゴ・コミコンでの『進撃の巨人』英語版の発刊の発表の時の様子。
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国内でもマンガ、アニメが大人気を誇る『進撃の巨人』が、北米のアニメ・マンガファンの間で大旋風を巻き起こしている。2013年4月からのテレビアニメシリーズスタート(米国ではネット配信)が人気に火をつけたとされているが、9月の番組終了後もその勢いは衰える気配をみせない。
人気の主役はこの秋に、諫山創さんの原作マンガの米国版単行本(グラフィックノベル)に移っている。単行本の売上げが急伸しているからだ。

ニューヨークタイムズ(NYタイムズ)のベストセラーコーナーに掲載される週間マンガランキング(日本マンガタイトルが中心)の最新版(10月第2週)で、『進撃の巨人』第1巻が第1位になった。NYタイムズのランキングでは、近年は『NARUTO』や『美少女戦士セーラームーン』などが少年・少女向け作品が1位になることが多かった。青年マンガである『進撃の巨人』が、トップになったのは今回が初である。さらに驚かせるのは、本作の第2巻が2位に、4位は7巻、5位は3巻とベスト5のうち4冊を占めたことだ。
一方、ポップカルチャー情報のICv2が10月4日に発表した2013年9月のグラフィックノベルのトップ20(BookScan)でも『進撃の巨人』が躍進している。NYタイムズとは異なりアメコミ作品も含むこのランキングでは、『進撃の巨人』第1巻は、『美少女戦士セーラームーン』第1巻、『ウォーキングデッド』第9巻、『NARUTO』第62巻に続く4位につけている。4位ではあるが、ここでも2巻が7位、6巻が9位、3巻が16位、7巻が18位とベスト20のうち5冊を占めている。ICv2は8月のトップ20の解説に続き2ヵ月連続で『進撃の巨人』に言及、本作は新しい局面に入ったと解説する。

『進撃の巨人』の売上げの特徴は、新刊だけでなくシリーズ全巻が万遍なく売れていることだ。実際に発売元の講談社USAは、10月の段階で既刊全てに重版がかかっていると明らかにする。
また、10月11日にニューヨークコミコンで開催された講談社USAのパネルでは、既に北米で『進撃の巨人』の英語版は50万部以上が売れたと話した。米国のコミック・マンガ市場は日本のマンガ市場の1/7の大きさ、そして単行本(グラフィックノベル)の価格は日本よりも高い。50万部は、すでにかなりの大ヒットである。

ヒットの理由ひとつは、7月から始まった単行本の新刊を毎月発売する戦略にもありそうだ。『進撃の巨人』の翻訳出版は2012年にスタートしている。日本から約2年遅れとなった。
このためブームの火付け役となったアニメシリーズスタートの時点で、日本に比べて6巻分が遅れていた。しかし、火がついた人気に対する購買意欲を逃さないと、講談社が毎月1冊の新刊を決断した。6月に5巻、7月に6巻、8月に7巻、10月現在で8巻までが発売となった。今後、11月(9巻)、12月(10巻)、1月(11巻)には日本の最新刊に追いつく。巻数が増えたことでいっき読みが増え、売上げが伸びていると見られる。

しかし、別の理由もありそうだ。ランキングのトップがほとんど常に単行本第1巻であることだ。最新刊の6巻、7巻も上位に喰い込んでいるが、2巻、3巻も売れている。これは本作の売れ行きが、毎月刊行で点数の増加だけでなく、新規の読者の流入が続いているためだと判る。
とりわけ8月以降から勢いを増していることは、7月から10月にかけて米国のアニメ、マンガ、コミックの数々の大型イベントが開催される時期とも重なったことも関係しているかもしれない。こうしたイベントは時には10万人クラスの人が集まるが、2013年はいずれも『進撃の巨人』に大きな存在感あった。すでに人気のあった本作の盛り上がりに、他のファンが関心を持ち、さらにムーブメントが広がっている雰囲気も感じられる。

2014年1月に第11巻が発売されるため、2014年の米国版の新刊ペースは日本並みに落ち着きそうだ。しかし、現地のファンの楽しみは、まだまだ十分ある。
講談社USAはこのほど、新たに4タイトルの翻訳出版を発表した。2014年春にスピンオフマンガ『進撃!巨人中学校』と小説『進撃の巨人 Before the fall』のコミカライズを、2014年夏には公式ガイドブック『進撃の巨人 INSIDE 抗』と外伝『進撃の巨人 悔いなき選択』を発売する。さらに講談社が出資する現地出版社ヴァーティカルからは2014年夏に小説『進撃の巨人 Before the fall』もリリースされる。
海外ではマンガやアニメ、関連商品の展開がばらばらでビジネスチャンスを逃すことが多いと指摘されている。しかし、今回は、アニメに合わせた刊行スピードのアップ、さらに通常は翻訳出版されることが少ない関連書籍の発売と力をいれる。まさに『進撃の巨人』の大進撃の様相だ。
[数土直志]
《animeanime》
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