-アニメ!アニメ!(以下AA)
監督の今までの作品は、少女を描くことが多かったと思います。今回は少年ですが、撮るときの心構えの違いなどはありましたか。
-吉田恵輔監督(以下吉田)
あまりないですね。少女を撮っても、僕はあまり女の子と思ってないんです。ヒロインは女の子ですが、主人公は自分を描いているつもりです。それが男の子じゃなくて、キャラクターを女の子にしただけです。
ヒロインは女だと思ってるんです。だから撮っているときに好きになっちゃうんだけど(笑)
前作の『麦子さんと』は、堀北真希さんに僕をやってもらっている気持ちなのでヒロインじゃない。今回は中島健人さんの八軒を撮ろうと思っていました。僕はジャニーズやアイドルが好きなんですよ。男も女も。だから、テンションの高さは変わらないんです。
-AA
その中島健人さんですが、メガネ外さないですね。贅沢だなと思いました。どこかでメガネを外して格好よく見せるのかなと思っていました。
-吉田
回想シーンでは、ちょっとだけ外したりはあります。ただアイドル映画にしようという意識があまりなかったんです。すでにいろいろやられているので、アイドルじゃない中島健人、「役者としても良いんだぜ」というところを引っ張り出したいなと思っていました。
-AA
恰好いいシーンを撮っておいたほうがいいとは、思わずにですか?
-吉田
普通は思うのかもしれないけど、でもそれをやるとイカンなと思う。
中島健人さんのファンが、それを観に来る作品じゃないだろうと。格好いいというよりも、こんなに芝居ができるだという見せ方で、ファンたちに納得して貰いたいというのがありました。
(C)2014 映画「銀の匙 Silver Spoon」製作委員会 (C)荒川弘/小学館
■ 見ためとロケーションはとにかくマンガに近づけました。
-AA
逆に言うと、広瀬アリスさんは可愛く撮っています。
-吉田
そうですね。広瀬さんは今回はヒロイン。だから好きな対象として見ていたけど、結構難しかったです。
可愛いんだけど、広瀬さんは都会的な匂いがするじゃないですか。
-AA
ちょっと現実離れしたような感じですね。
-吉田
うんうん。北海道の酪農家の娘は真逆な設定です。そう見えるように華を消すのが難しいですよね。
-AA
原作はマンガではありつつ、リアルな話ではあるわけです。ところが今回すごく印象に残ったのが、タマコとあやめです。非常にマンガ的なキャラクターです。それをリアルの中に落とし込む方法は、どう考えられたのですか。
-吉田
映画ぽくなり過ぎると嫌だなと思いました。だから見ためとロケーションはとにかくマンガに近づけました。
タマコはキャラがはっきりしすぎているので、そこだけはマンガから飛び出てきたみたいにする。そうすると他でちょっとマンガと違うことやっても少し緩和されるかなと(笑)
-吉田
あやめは、あまりアニメっぽくやり過ぎると寒くなります。そこでお芝居は抑えています。その辺りはさじ加減ですよね。吹石さんもマンガと同じようにしています。