「バトルはドラゴンボールというより鉄腕バーディー」『マン・オブ・スティール』ザック・スナイダー監督インタビュー | アニメ!アニメ!

「バトルはドラゴンボールというより鉄腕バーディー」『マン・オブ・スティール』ザック・スナイダー監督インタビュー

[インタビュー取材・構成:野口智弘]  『マン・オブ・スティール』公開を前にザック・スナイダー監督インタビューの合同取材が行われた。『マン・オブ・スティール』にその取り組み方から、日本の意外なアニメとの共通点まで貴重な証言を余すところなく掲載する。

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ザック・スナイダー監督
  • ザック・スナイダー監督
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  • インタビュー後、日本のファンに向けて行われたジャパンプレミアから
  • 同じくジャパンプレミアから。右側はプロデューサーを務めたデボラ・スナイダー夫人

『マン・オブ・スティール』
ザック・スナイダー監督インタビュー


8月30日の日本公開を控え、夏休み最後の大作映画として期待が高まる『マン・オブ・スティール』。ヒーローのなかでも特別な存在であるスーパーマンを再定義し、その誕生を描く、必見の内容となっている。

8月21日には公開を前に来日したザック・スナイダー監督への合同取材が行われた。今回のインタビュー記事では『マン・オブ・スティール』に対する取り組み方から、日本の意外なアニメとの共通点、そして先日発表された次回作『スーパーマン/バットマン』(正式タイトル未定)への意気込みまで、その貴重な証言を余すところなく掲載していく。
[インタビュー取材・構成:野口智弘]

■ ザック・スナイダー(『マン・オブ・スティール』監督)
1966年生、アメリカ出身。映画監督、脚本家、プロデューサー。2004年の『ドーン・オブ・ザ・デッド』で映画監督デビュー。ダイナミックかつ緻密な映像作りでとくに評価が高い。ほかの監督作に『300』『ウォッチメン』『ガフールの伝説』『エンジェルウォーズ』がある。


―― 製作のクリストファー・ノーラン(『ダークナイト』監督など)は映画監督でもありますが、今回仕事を一緒に進める上でやりやすかったところ、あるいはやりにくかったところは?

―― ザック・スナイダー監督(以降ザック
クリスのすごいところは「自分が監督ならこういうふうにプロデューサーに扱われたい」という通りのことを今回僕に対してくれた、ということだ。クリスは最初に「ザックのビジョンによる映画が僕は見たいから、どんなやり方であっても僕が守る」と言ってくれた。監督が自分の作品らしく作る余地をなるべく与えると最初から言ってくれたんだ。そのときに逆にこのスーパーマンの世界を想像する責任は自分にあるんだと、すごく重く感じた。
クリスは「僕が見たいのは監督の手による映画なんだ。製作委員会による映画なんて見たくない。ザックがやりたいことをやらせろよ」といつも擁護してくれたよ。だからユニークな作品にしたいというよりは、とにかく自分のやり方で作れば自分らしさが出るというつもりで取り組んだ。

―― 監督は子供時代にリチャード・ドナー版の『スーパーマン』を見ていたと聞きましたが、そのなかでお気に入りのシーンやオマージュして盛り込んだシーンはありますか?

abesan―― ザック
リチャード・ドナー版の要素は『マン・オブ・スティール』のあちこちに感じられると思う。劇中でお気に入りのシーンは子供時代のクラークと養父ジョナサンとの会話で「アメフトをやりたいのにどうしてくれないの? タッチダウンできるのに」と彼がフラストレーションを感じるシーンだ。

―― 撮影において新しい手法を使ったシーンはありましたか?

―― ザック
今回の新しい試みとしてはエンバイロ・カム(enviro-cam)というのを使った。これは『エンジェルウォーズ』でもVFXに関わった、DJ(注:視覚効果監修のジョン・デジャルダン)によるテクニックなんだが、スモールヴィルでのバトルで、目の前で倒れたキャラクターがそこから飛び去るというカットを撮る際、カメラクルーは人物が倒れているところから飛び去る方向にパン(被写体に追従)する。
それに加えてスチールカメラ(静止画カメラ)を撮影カメラの位置に置いて、360度の環境をすべて撮影する。その写真をベースにしてVFXのスタッフが合成時にカメラワークの模倣をする。
実際にパンするカメラワークの素材があり、それにさらにVFXのチームがほかの環境を入れ込んだものをミックスする、そんなアプローチを行った。

―― アニメ!アニメ!(以下A!A!)
監督は『300』『ウォッチメン』とコミック原作の実写映画を多く手がけ、成功させてきました。
日本でもコミック原作の実写映画は多いですが、必ずしもすべて成功しているとは言えません。コミック原作の映画を撮るにあたって大切なポイントは何ですか?

―― ザック
きっと日本でコミック原作の映画を映像化している人も大きな情熱を取り組んでいると思うけれど、それでもやはり簡単なことではない。コミックと映画は近いものだと多くの人はイメージしているかもしれないが、フォーマットとしては思っているよりも違うし、自分自身も毎回苦労している。
例えば日本のコミック、『AKIRA』も実写映画化の話は何度もあって、実際自分にも声をかけられたことがある。ただそのときは「想像以上に難しいんじゃないのか。もしやるとしたら必ず日本で撮影して、日本の役者を使わなきゃダメだ」「いや、ニューヨークで撮ろうと思っている」「だったら自分が監督する意味がない」という話になった。

つまり愛されている原作には変えてはいけない部分がある。だから原作から映画に作り変える場合は、それが何かを知り、変えずにおくこと。なにが要となるのかは自分にもよくわからないけれども、僕は少なくとも原作に忠実であろうとしている。秘訣があるとしたらそれかもしれない。

fd


《animeanime》
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