ジョン・ラセターが明かす ピクサーからディズニーまで 3つのスタジオのクリエティブを統括する技
3つのスタジオの作品を携えて来日したジョン・ラセターが記者会見に登壇、ディズニー、ピクサーのスタジオと製作について語った。
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本作の製作総指揮を執るのは、ピクサーのCCO(チーフクリエイティブ・プロデューサー)であるジョン・ラセターである。自らも『トイ・ストーリー』など大ヒット作の監督を手がけた大物クリエイターだ。
2006年にウォルト・ディズニーがピクサーを買収して以降は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのCCOも兼任する。現在はピクサー・スタジオ、ディズニー・スタジオ、さらにディズニートゥーン・スタジオズの3つのスタジオを統括する立場だ。
そんな多忙な中でいかにハイクオリティな作品を生み出し続けるのか?『モンスターズ・ユニバーシティ』、『プレーンズ』、『アナと雪の女王』と3つのスタジオの作品を携えて来日したジョン・ラセターが記者会見に登壇、スタジオと製作について語った。
■ ピクサー作品は2年に3本、ディズニー・スタジオ、ディズニー・トゥーンは年1本
まずは誰もが気になるのは3つのスタジオの制作体制だ。ピクサーの作品制作のピッチが近年上がっているのでないかと質問に、「ピクサーの映画は1年に1本というよりも、2年3本だ」とラセターは説明する。
これは7年前にディズニーが経営に入った際に、人気シリーズの続編を作りたいとの意向があったためだという。一方で、これまでと同じペースで新たなオリジナル作品も続けたいとのことから、人を少し増やすことで、現在の体制を構築した。
「それでもほかのスタジであれば、もっと制作ペースを上げて、早くお金を回収しようと考えると思います。私たちはクオリティを保つためにこのペースとしています」、そして「絶対に品質は落とさない」とピクサーのブランドに強い自信を見せる。
さらにディズニー・スタジオは1年間1本、ディズニー・トゥーンも1年間1本のペースだという。その最新作がそれぞれ2014年3月日本公開の『アナと雪の女王』(ディズニー・スタジオ)、2013年12月21日公開の『プレーンズ』(ディズニー・トゥーン)となる。
『アナと雪の女王』はディズニーらしいプリンセスストーリー、『プレーンズ』は擬人化された飛行機が活躍する楽しい作品だ。それぞれのスタジオの特徴が活かされている。
■ ディズニーとピクサーの相違点、共通点
ディズニーとピクサーの違いについて訊かれると、ラセターは真っ先にスタジオの立地を挙げた。ピクサーはシリコンバレーに程近いサンフランスコ近郊、ディズニーはハリウッド映画の中心地バーバンクになる。こうしたスタジオのカラーの違いが、異なる特徴を生み出している。
一方で、制作現場主導のスタジオであることは、いずれも共通している。上下関係はなく、全ての人から話を聞き、最高のアイディアを出した人の意見を採用するのが、ピクサー、ディズニー両社が目指しているものというわけだ。
3つのスタジオで、2年間で7本の長編映画を世に送り出すことになるが、ラセターは「3つのスタジオから作品を送り出せるのを幸せに思っている」と、現在の体制に満足をみせる。
■ 日本アニメにも愛情たっぷり
記者会見で、もうひとつラセターが活き活きと語ったのが、日本の文化に対するリスペクトだ。ラセターは日本について、世界でも特に好きな国のひとつと笑顔で話す。日本伝統文化だけでなく、現代文化も魅力的だという。日本のアニメに対しても、愛情たっぷりだ。
そして、日本は尊敬し、親友でもある宮崎駿監督の国だとも話す。会見では、『ルパン三世 カリオストロの城』のオープニング、フィアットのカーチェイスシーンを引合いにだして説明するなど、宮崎アニメに対す思い入れの大きさも印象的だった。