■ 「少女ファイト」:日本橋ヨヲコ先生一つ目とは対照的な漫画の紹介です。「少女ファイト」は、とある高校の女子バレーボール部を舞台にした、言ってしまえばスポーツ漫画です。ですが、これもただのスポーツ漫画じゃない。漫画で描かれる大部分は、華やかな試合のシーンではなく、ひたすら地味な日々の練習。そして、キャラクター達の精神的な成長です。見た目ではっきりと分かる新必殺技の誕生とかはありません。あるのはジメジメとした青臭さや、ドロドロとした泥臭さ。そう形容したくなるようなとにかく濃く疲れる話の連続。その理由は、キャラクターそれぞれに初めから重大なトラウマが存在しており、物語はそのトラウマを眼前に突き出され、それをどう乗り越えるかを主軸にして進んでいくから。第一巻の帯にも書かれているように、登場するキャラは「生き方が雑」な人物がほとんど。そんな少女たちが、互いに傷つけ合いながら、自身で葛藤し、他人に気付かされ、徐々に徐々に成長していくというもの。日本橋先生の漫画は「説教臭さ」というか、作者の訴えかけたいことが作品の中に強烈に現れる。これまでの作品ではそれがあって、好き嫌いがはっきりと分かれる人が多かった。しかし、この「少女ファイト」ではそれが全体的にマイルドになっていて、作者の漫画をまだ読んだことのない人にもチャレンジをオススメしやすいものになっています。この漫画を読んで作者の他の漫画に興味が出てきた方は、「G戦場ヘブンズドア」や「プラスチック解体高校」にも手を出してみて欲しいです。これらの作品はクロスオーバーしており、他の作品を見ているかどうかでも楽しみ方が変わります。最後に、これらの漫画も「魔法少女プリティ☆ベル」とは違った意味で人を選ぶ漫画です。一般的な作品のように、他人と共感できる楽しみをこの作品に求めるのは難しいでしょう。ですが、好きだろうと嫌いだろうと、これだけ挑戦的で実験的な漫画を読めば、何かしらの意見が生まれると思います。だからこそ、私が胸を張って「読まないと損をする」と言える漫画です。
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