「ファンタジスタドール」とクリエイティブプロデューサー 谷口悟朗氏 インタビュー 第1回 | アニメ!アニメ!

「ファンタジスタドール」とクリエイティブプロデューサー 谷口悟朗氏 インタビュー 第1回

『スクライド』、『コードギアス 反逆のルルーシュ』の監督だった谷口悟朗さんが、原作に参加、クリエイティブプロデューサーを務める『ファンタジスタドール』が話題だ。谷口悟朗さんに作品のきっかけ、魅力、クリエイティブプロデューサーの仕事についてお話いただいた。

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「ファンタジスタドール」とクリエイティブプロデューサー 谷口悟朗氏
  • 「ファンタジスタドール」とクリエイティブプロデューサー 谷口悟朗氏
  • 『ファンタジスタドール』 (C) 2013 ファンタジスタドールプロジェクト/FD製作委員会
  • ヒロイン:うずめ (C) 2013 ファンタジスタドールプロジェクト/FD製作委員会
  • カードからファンタジスタドールが実体化する。 (C) 2013 ファンタジスタドールプロジェクト/FD製作委員会
テレビアニメ『ファンタジスタドール』が、7月6日から順次放送を開始する。ひょんなことからカードマスターになった女子中学生うずめが、カードから飛び出す華麗な“ファンタジスタドール”たちと知恵と工夫でバトルに挑むというものだ。可愛らしいキャラクターたちが大活躍する。
クリエイティブプロデューサーに谷口悟朗さん、監督に『そらのおとしもの』の斎藤久さんを起用するオリジナルアニメである。強力スタッフが注目されている。

なかでも『スクライド』、『プラネテス』、『コードギアス 反逆のルルーシュ』の監督だった谷口悟朗さんが、原作に参加、クリエイティブプロデューサーを務めるのが話題だ。これまでの谷口作品と異なる題材、その挑戦が話題だ。
谷口悟朗さんに、『ファンタジスタドール』の作品のきっかけ、魅力、クリエイティブプロデューサーの仕事についてお話いただいた。
[インタビュー取材・構成:数土直志]

TVアニメ『ファンタジスタドール』
公式サイト /http://www.fantasistadoll.com/
「ファンタジスタドール先行上映会」

abesan■ クリエイティブプロデューサーの役割とは?

―― 今回『ファンタジスタドール』は、谷口悟朗さんが監督でなく、クリエイティブプロデューサー、そして原作となっています。クリエイティブプロデューサーという仕事を知らない方も多いと思いますが、どういった仕事なのでしょうか?

―― 谷口悟朗さん(以下谷口)
クリエイティブプロデューサーは、テレビの『新世紀エヴァンゲリオン』以降、アニメーションの作り方が、大きく変質したことで必要になった役割です。
あの時、ソフトメーカーやテレビ局は、作品そのもの、つまりソフトが商品になるという認識も持ったんですね。そうなると、作品によっては監督に要求される資質が変わります。単純に現場を統括して、作品を作っていくだけでなく、営業的なところも理解することが要求されます。

例として製作委員会というシステムで話しましょうか。それまではオモチャだけを売っていればよかった、もしくは放送さえしていればよかった物が、委員会を構成する法人の数だけ対応が分かれてしまったんですね。そして、監督が製作……つまり資金回収なども視野に入れないといけなくなったケースがでてきているんです。

しかし、法人は複数の人を用意できても監督は一人。それに、作品だけつくっていた人だって多い。そうなると分担するしかない。
ここ数年、助監督ですとか、副監督、監督補佐が増えてきたじゃないですか。理由の一つはこれです。結局、ひとりだけでは回せきれないんです。

―― その時にクリエイティブプロデユーサーが必要とされてきたわけですか?

―― 谷口
人によってやり方は違うでしょうが、必要とされた事情はそういう事です。私がやっているのは、プロデューサーを中心とする企画とか営業ですとか製作チームの人たちと監督を中心とする現場の人たちをつなぐことです。
営業のかたからすると「こんなことアニメーターさんに言うと怒らないだろうか」とかあります。これに対して「いえいえそれは大丈夫ですよ」とか。一方で監督から「ここはどうしても貫きたい」と相談されて理解したら「じゃあ私がプロデューサー側に話しますよ」とか。クリエイティブプロデューサーは、通訳でもあるんですね。

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―― これまで他の作品でも、クリエイティブプロデューサーとクレジットされたこともあります。

―― 谷口
そうですね。最初にクレジットされたのは『舞-HiME』の時。当時、小原(正和)監督が監督デビュー1本目だったんです。その補佐というか相談相手も兼ねて、ですかね。
実は監督業は、演出家さんが学ぶ機会がなかなかないんですよ。私の場合は幸か不幸か、テレビシリーズの1話の演出を多くやったから、その監督とびったりくっついていることが多かったんです。おかげで学ぶことが出来ました。
あと、あの作品は代理店を通さなかったからプロデューサーがすごく忙しくて、そのフォローもありました。ゲームはプロデューサー。マンガは私とかね。ムック本の付録アイデア会議とかも出ました。企画案はボツになったけど。

『鉄のラインバレル』は、ベテランの日高(政光)監督でしたから、現場については脚本打ち合わせを中心に立ちあったら、あとは私がやることはあまりありませんでした。
ただあの時は制作会社、原作出版社、ソフトメーカーの3社の組み合わせが初めてだったんです。この3社が知っている共通のスタッフが私だったんですね。文化の違う会社の調整をするのが私です。つまり、これ、隙間商売なんですよ(笑)

各社のプロデューサーさんや監督と相談が出来るニュートラルな人がいたほうがうまく回る時があるんですよ。出資とかマーチャンダイジングなどの製作も制作現場も知っていたほうが、なお良い。
とはいえ、基本は現場寄りですよ。クリエイティブプロデューサーで仕事を始める時は、まず監督の意向を聞きます。「監督はどうしたいんですか」、「それが実現するように私が動きますよ」と。だから、クリエイティブディレクターではなく、クリエイティブプロデューサーなんです。
人によってやり方や関与の仕方が違う、という意味ではアニメーションディレクターというポジションと同じなのかもしれませんが。

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