アニメの祭典「AnimeJapan」2年ぶりイベント復活への軌跡、オンライン企画の詳細を総合Pが語る【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

アニメの祭典「AnimeJapan」2年ぶりイベント復活への軌跡、オンライン企画の詳細を総合Pが語る【インタビュー】

「AnimeJapan 2021」開催へ向けての経緯とオンライン企画の詳細を、「AnimeJapan 2021」総合プロデューサーの寺田浩史氏(エイベックス・ピクチャーズ株式会社)と中嶋俊介氏(株式会社タツノコプロ)に直撃した

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世界最大級のアニメイベント「AnimeJapan」が2021年に2年ぶりに復活!オンライン開催へ!


困難の中で再スタートを切った2021年は、オンライン配信を充実させた「新しいカタチのAnimeJapan」として、日本全国へ、そして海外のアニメファンへ発信していく。

2020年11月には「リアル&オンライン」同時開催と発表するも、その後、2度目の緊急事態宣言が発令。これを受け、2021年2月にオンライン開催への完全移行を発表する。
開催決定までに様々な課題や葛藤がAnimeJapan実行委員会で続いた。
アニメファンが待ちわびる“アニメの祭典”は、今年はどのように開催されるのか――。

そこで今回、「AnimeJapan 2021」開催へ向けての経緯とオンライン企画の詳細を、「AnimeJapan 2021」総合プロデューサーの寺田浩史氏(エイベックス・ピクチャーズ株式会社)と中嶋俊介氏(株式会社タツノコプロ)に直撃した。
[取材・気賀沢昌志、撮影=小原聡太]

■断腸の思いだったAnimeJapan 2020開催中止


――まずおふたりが担当される「総合プロデューサー」がどのような役割なのか教えてください。

中嶋:AnimeJapan実行委員会における“意見のまとめ役”です。実行委員会は各アニメ会社やパッケージメーカーが集まった組織なのですが、毎年、アニメ制作会社とパッケージメーカーから1名ずつ代表して総合プロデューサーを担当しています。

――おふたりは、昨年中止になった「AnimeJapan 2020」では委員会メンバーのおひとりという立場でした。中止決定をどのように受け止めましたか?

寺田:2020年は出展数でもステージイベントの豪華さでも「AnimeJapan」史上最高のイベントになるはずだったので諦めきれず、開催1ヶ月前、最後の最後まで検討が続きました。
中止が決定した後も、なんとかステージイベントだけでも配信できないかと議論したことを今でもよく覚えています。ただこの規模のイベントは、会期まで1ヶ月の段階では準備や会場も間に合うものではありません。そちらも諦めるしかなく、本当に断腸の思いでした。


寺田浩史氏(エイベックス・ピクチャーズ)
中嶋:中止が正式決定する前から、出展を取りやめた企業さんもいらっしゃいました。我々はもちろん出展社さんにとっても苦渋の決断だったと思います。それだけ「AnimeJapan 2020」は過去最高のイベントになるはずでした。


中嶋俊介氏(タツノコプロ)

■「リアル&オンライン同時開催」から「オンライン一本化」への経緯



――しかしその後、アニメ関連をふくめ徐々にリアルイベントが開催されるようになっていきました。その状況をどのように見ていましたか?

寺田:正直羨ましいところはありましたね。この時期なら、もしかしたら「AnimeJapan」も開催できたかも……と。その一方で、様々な開催方法に思いを巡らせる「気づきの時間」にもなりました。

中嶋:僕はお客さんとして色々なオンラインイベントに参加したのですが「こうやって世の中は変わっていくのかな」と思いました。今でこそオンライン会議が当たり前になりましたが、2020年2月の段階では未踏の領域でしたから。

――その後、2020年11月に「AnimeJapan 2021」の開催が発表されました。決定までの経緯を教えてください。

中嶋:2021年開催決定までは本当に長かったですね……。

寺田:例年なら初夏に実行委員会が招集され、9月から10月にはイベントの骨子が固まり、その時期から各企業の皆様に出展の案内をお送りします。
ただ2021年はオンラインで行くのか、リアルはどうするのか、まったく見えない状況だったので、世情を踏まえすべての進行が大幅にズレ込んでいきました。

中嶋:明るい兆しが見えたのは9月頃でした。Go Toキャンペーンが盛況でしたし、なにより「京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)」が開催され、結果的にそれが開催決定の後押しとなりました。


「京まふ」はリアルに軸足を置いたイベントですが、お客さんからも出展社さんからも「開催されてよかった」という感想が多く届いたと聞きます。
「AnimeJapan」は国内最大級のアニメイベントという自負がありますから、我々も下を向いてばかりいられない。それで「我々もリアルでやるべきだ。リアルとオンラインの両軸でやろう」という決断に至りました。それが2020年9月末のことでした。

――発表時にはアニメファンから喜びの声も多くありました。しかし、その後に2度目の緊急事態宣言が出てしまいましたね……。

中嶋:「ここまで状況が悪化したら、開催をもう一度検討しなければいけないね」という話になりました。その後、2021年1月下旬にリアル開催の見送りを正式に決め、オンライン開催一本にしました。

――一方、開催が3月なので、当時は判断を先送りにすることも可能だったのではないでしょうか?

寺田:可能ではありますが、どうしても参加する企業様・一般のお客様自身に来場への不安は残ります。それに前回2020年のようにギリギリで決断すると各社さんへのダメージが大きくなってしまいます。
早く決断すればそれだけオンラインに集中でき、準備期間も十分に取れる。お客さんに楽しんでもらうためにはこのタイミングしかないと委員会での検討となりました。


「AnimeJapan」のマスコットキャラ・AJ兄弟
――そのあたりの状況はまさに昨年と重なりますね。

寺田:そうですね。ただ、今年が違うのは、オンライン会場の準備も進めていたことです。去年はリアル開催のみを予定していましたから、「やる・やらない」の2択しかありませんでした。直前でオンライン開催の話が出ても、時間的に対応できなかったんです。

中嶋:2年連続の中止を避けられたという意味ではホッとしています。ただここまで来たら、状況が落ち着いていたらリアル開催をしたかったというのが本音です。


――出展社さんの反応はいかがでしたか?

中嶋:不安を感じていた出展社さんもいらっしゃいましたから、早めに決断してくれてよかったというお声をいただきました。判断が遅れると、対応できず辞退せざるを得ない出展社さんも出ていたでしょうね。

寺田:それに、さすがに2年連続の中止は避けたかったみたいで、実行委員会でもどんなに難しい状況でも「中止に」という意見は出ませんでした。

■どんなオンライン施策を実施するのか? ステージイベントは?


――ところで配信のみとなると、各ブースは設置取りやめになるのでしょうか。

寺田:従来通りとはいきませんが、各出展社様には、配信用のブースをビッグサイト内に設置していただきます。そこから個別に番組を配信していただく予定です。

――なぜそのような形になったのですか?

寺田:確かに、それぞれが自社会議室などから配信する方法もあります。しかしながら「AnimeJapan」の醍醐味といえば豪華キャスト陣が一堂に会すること。そのメリットを活かし、キャストさんたちが短い時間で色々なステージに出演したり配信に顔を出したりできる場にしたいと思いまして、各出展社の皆さまにはこのような方法をご相談させていただきました。


――なるほど。

寺田:これだけの規模のアニメイベントはそうそうありませんし、多くの声優の皆様が集結するから成立しているAnimeJapanを大切にしたいという気持ちもありました。ただのPR場所ではないんです。大事な場所だからこそ現地からの配信にこだわりました。

中嶋:ただ残念ながら、ブースの設置はステージイベントやブースからの番組配信を予定していた出展社さんに限られます。その代わり、グッズ販売がメインの出展社さんは変わらず通販ページで対応させていただく予定です。

――イベントの詳細についてもうかがいたいのですが、まずメインステージはどのような形で配信するのですか?

寺田: Red、Green、Blueの3つのステージを、有料ではありますが、2日分すべて配信で公開する予定です。
全ステージ配信及び、当日から見られるアーカイブ配信は、例年にはない取り組みです。

中嶋: AJスタジオ チャンネルでは、各出展社さんの紹介や、コスプレの良さをお伝えする「コスプレイヤーズワールド」、アニメの制作過程を紹介する「Production Works Channel」という番組などを企画中です。さらに通販にてグッズ販売も予定しています。
見るだけではなく、なるべくリアルなものを体験してもらえるような施策を考えています。

――今年はビジネスデイも完全オンライン化されました。

中嶋:世の中的にもオンライン商談が一般的になってきたので、最初から決定していました。具体的には、まずウェブ上にブースを設置し、気になった方が個々で商談の申請をします。検索からマッチングまで一本でできるようなイメージですね。
気軽にアクセスできるので、これまで参加をためらっていた地方の企業さんも参加しやすくなるのかなと。このイベントがアニメビジネスのきっかけを生むチャンスになればいいですね。

寺田:結果論ですが、これまで我々は、オンラインへの対応が多くはできておりませんでした。2020年はそのことに気づかされた年であり、まずはその「やって当然」の部分ができるようになろうと考えました。

中嶋:第一段階ですね。今回は色々なことにチャレンジして、今後リアルとオンラインの両軸でやっていく「AnimeJapan」の土台を作りたいと思っています。まだ手探りの状況で何が正解か分かりませんが、できるところから始めます。

■リアルイベントの“熱気”をオンラインでも再現



――そして2月10日に西川貴教さんがアンバサダーに就任しました。どのような経緯で決まったのですか?


西川貴教さん

寺田:去年、一度中止したイベントですから、今年はより注目度を上げる必要があります。そこで何人か候補が上がった中で、過去に声優を経験されていて、ゲームを含めてアニメの業界にも精通している西川さんにアンバサダーをお願いすることになりました。

中嶋:西川さんは2017年に、アニメの海賊版撲滅キャンペーンの大使として間接的にAnimeJapanに関わっていただきまして、その経緯もありお願いしました。

【関連記事】海賊版対策協議会のMAGPカウンシラーに西川貴教が就任、1年間海賊版撲滅の啓発を行う

――アニメファンから「安定の西川アニキだ」という声も多かったです。

中嶋:ご本人もアニメ好きでいらっしゃいますし我々としても安心しています。

――それでは最後に、開催を待ちわびているみなさんへメッセージをお願いします。

中嶋:今回の「AnimeJapan 2021」は手探りの部分が多く、チャレンジの年になると思います。その中で力を入れているのは、2年前のリアルイベントの熱気をオンライン上でも再現すること。「AnimeJapanが帰ってきた」と感じていただければすごく嬉しいです。

最大規模のアニメイベントですし、待ちわびているファンの皆さんも多くいらっしゃると思います。ぜひ一緒に作り上げる気持ちで遊びに来てください。

寺田:今回の「AnimeJapan 2021」は「繋ぐ=∞」がテーマです。「8」を横にした「∞」の記号にも「繋ぐ」という意味を込めています。
「これからのAnimeJapan」を存続させるためにも、2021年の開催は未来へつなぐバトンになって欲しい。そんな想いを込めました。

ですから皆さんにはまず参加してみて欲しいと思います。ファンの皆さんはもちろんのこと、各出展社の皆様、声優及び所属する事務所の皆様、本当に色々な方のお力添えでこのイベントが存続できています。
まずは気軽に参加していただき、それが2022年、2023年と続いて「AnimeJapan」の理想形に繋がっていけばと思います。

<AnimeJapan 2021 開催概要>
○会期
パブリックデイ 2021年3月27日(土)・28日(日)
ビジネスデイ 2021年3月29日(月)・30日(火)

○展開内容
パブリック:AJステージ/AJスタジオ/出展社ステージ/グッズ販売 など
ビジネス:商談/セミナー など

○入場券
3月27日(土)チケット 3,800円(税込)
※視聴可能時間:日本時間3月27日(土)9:00~3月28日(日)23:59まで
3月28日(日)チケット 3,800円(税込)
※視聴可能時間:日本時間3月28日(日)9:00~3月29日(月)23:59まで
2日通しチケット 7,300円(税込)
※視聴可能時間:3月27日(土)分 日本時間3月27日(土)9:00~3月28日(日)23:59まで
3月28日(日)分 日本時間3月28日(日)9:00~3月29日(月)23:59まで
ビジネス登録 11,000円(税込)
○SNS Twitter @animejapan_aj
○主催 一般社団法人アニメジャパン
○協賛 Fate/Grand Order / TOHO animation / 株式会社 SANKYO / Stagecrowd / 異世界みゅーじあむ / dアニメストア
○後援 経済産業省 / 一般社団法人 日本動画協会 / コミック出版社の会
○事務局 AnimeJapan運営事務局 [株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ]
《気賀沢昌志》
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