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ABEMAがアニメを推す理由とは? AJ中止を受けての「48時間生放送」舞台裏までアニメジャンルプロデューサーに聞く

アニメ業界においても存在感を増しているテレビ&ビデオエンターテインメント・ABEMA。ABEMAアニメジャンルを担当する山崎健詞プロデューサーとイード メディア事業にてビジネス統括を担当する森との対談インタビューを実施した。

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山崎健詞プロデューサー、森元行
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  • 森元行
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■48時間テレビ決定の経緯


:今年2020年3月には、新型コロナウイルスの影響で中止になってしまった「AnimeJapan 2020」 に代わり、「AbemaTV アニメ最新情報大公開SP」とアニプレックスとの共同企画「アニメもゲームも大集合!アニプレックス48時間テレビ」を放送しました。

さまざまな作品が「AnimeJapan 2020」で新情報の解禁を予定していたため、この番組は制作陣の助け舟になったと思います。どのような経緯で実施することになったのでしょうか。

山崎:「AnimeJapan 2020」中止の可能性が浮上した時点で、「特番をやりたい」と相談してくれた会社がありました。
そのときに「もし中止になったら同じように特番を申し出てくれる作品が増えそうだ」と思ったので、いつでも対応できるようにスタジオだけは抑えていたたんです。
実際に中止が決まってから、「特番を放送しないか」と各作品の宣伝担当者とお話をさせていただきました。

宣伝は業界内で横のつながりが強いので、「AnimeJapan 2020が中止になったらABEMAで何かをやってくれるらしい」という話が広まっていって、声をかけてくださった作品も多くありました。
これまでも新作の宣伝などでご一緒する機会のあった担当者は多かったので、番組に対するイメージをつかみやすかったのも一因だったと思います。


:特番制作現場の負担はかなり大きかったと想像できますが、それでも放送を決めたABEMA側の狙いはなんだったのでしょうか。

山崎:「作品を広めるならABEMA」というイメージを作りたいと思っていました。
社会全体がひっ迫していて楽しめるようなムードではなかったかもしれませんが、そんなときにこそABEMAが力を発揮してコンテンツを届ける存在になりたいなと。
「AnimeJapan 2020」などのアニメイベントを楽しみにしていたお客さんに作品の魅力を届けるために、全力で取り組みました。

:放送を終えて、手ごたえはいかがでしたか。

山崎:視聴者の反響はかなりありましたし、記事もたくさん出していただけてよかったです。
通常ABEMAは年末年始やGW、お盆時期などに視聴者数のピークが来るのですが、48時間特番は年末年始特番に匹敵するほど多くのユーザーに見ていただけました。

普段は独占配信をしにくい作品も一手に引き受けることができたおかげで、これまでABEMAを見ていなかった方も来てくれたんです。

また、アニメ制作陣からも「ABEMAと組むとこんな番組を作れる」とイメージを持ってもらえたかと思います。
今はメーカー独自にYouTubeなどで簡単に番組配信ができる時代ではありますが、ABEMAを利用することでより可能性が広がる、踏み込んだ内容にできる、という利点を少しばかりではありますが、実感してもらえたと思います。
今後もコロナウイルスの影響が長引きそうなので、その時々でABEMAにできることを柔軟にやっていきたいです。

:これからも大規模なアニメ特集があると期待してもいいでしょうか?

山崎:機会があればぜひ挑戦したいです。もともとABEMAではイベント中継なども行っていたので、無観客ライブの中継などでも力になれると思います。
投げ銭のような応援機能を付けることで主催者に収益を還元する取り組み備わっています。
イベントの開催について悩んでいる主催者も多いと思うので、ぜひ相談していただければと思っています。

:もし応援したいアニメに対して投げ銭ができるようになったら楽しそうです。

山崎:我々は「応援機能」と呼んでいるのですが、アニメ業界はまだそれほど投げ銭文化が普及していないので、場面に応じて利用できるといいと考えています。
さまざまな作品が放送延期になったり苦しい状況になったりしていく中で、投げ銭は応援する手段のひとつになるかもしれません。ABEMAの機能と作品の意向がうまく結びつけばほかにも新たな取り組みができると思っていますし、準備も進めています

:アニメ!アニメ!でも以前イベント会場を借りて声優さんを招いたゆるい雰囲気のイベントを開催したことがありました。

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「私にビールをおごってくれる人!」と声優さんが尋ねると、ファンがみんな手を挙げるんです。いわゆるリアル投げ銭。ファンの熱量が直に感じられて、すごいと思いました。

■ABEMA発の作品を生み出したい


:日本のアニメ市場はどんどん拡大しており、コアなファン層だけでなくライトな層も増えてきました。ABEMAとしては、多様化するファンに対してどうアプローチをしていきたいと考えていますか?


山崎:ABEAMとしては、オリジナルヒットIPの創出と、商品化などのアニメ周辺事業に取り組みたいです。ABEMAが作品を生み出し、広め、収益化するまでの全方位を担えるようになりたいと構想しています。
もちろん『鬼滅の刃』に匹敵するような大ヒット作は簡単に生まれるわけではないですが、メディアを運営する者としては成し遂げたい目標です。

いつかコアなファンだけでなくライトなファンの心もつかみ社会現象になるほどの作品をABEMAから生み出せるよう、周辺事業も含め盤石の体制を作りたいと思います。
キャスティングやマーケティングなど、社内グループのリソースをうまく集結させられれば、できることの幅は広がるはずです。とくにゲーム展開はCAグループの得意分野だと思います。

もちろんABEMAはアニメの市場をもっと広めるためのでもあるので、引き続きほかの作品との取引は大切にしていくつもりです。
アニメのよさをもっと多くの人に知ってもらうために、挑戦できることにはどんどん取り組んでいきたいと思います。

:アニメに限らず、日本のエンタメ産業全体が変容の時期を迎えているので、多角的なアプローチは重要です。
ところで山崎さんから見て、今後日本のエンタメはどうなっていくと予想していますか?

山崎:YouTubeなどでのユーザー発のコンテンツは増え続ける一方、プロ運営のプラットフォームは絞られていくと思います。
今はとにかくおもしろいものがある場所に人が集まっている状態です。こうした時代が続いた後は、乱立していたプラットフォームが厳選されていくと思います。

ABEMAでは今後もプロのコンテンツ、とくに「シンプルでおもしろいもの」をどんどん作って勝負していくつもりです。
時代が変わってもお客さんに選ばれるプラットフォームであり続けたいと思います。

:今は日本国内で展開していますが、今後海外進出は見据えていますか?

山崎:ABEMA自体は一部を除いて世界中から視聴できるようになっていますが、海外在住の日本人向けコンテンツがほとんどです。
ゆくゆくは外国語の番組なども作りたいと思っているのですが、とくにアニメは権利周りの手続きが難しい。

まずは国内で実績を上げて、それから海外にも展開できればと考えています。

:ABEMAの今後がますます楽しみになりました。最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。


山崎:4周年を迎えることができ、今後も全方位に向けてこれまで以上に番組を発信していく予定です。
アニメ最速配信はもちろん、「なんとなくABEMAを見たらおもしろい作品を知れた」という出会いの場としても成長していきます。
「最近ABEMAを見ていない」という方も、ぜひ一度ABEMAの画面を開いていただけたら嬉しいです。

また、『声優と夜あそび』のようなオリジナル番組も、イベントを開催するなど多角的に楽しんでいただけるように取り組んでいくつもりですので、ABEMAアニメチャンネルの今後にご期待ください。

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[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]
《ハシビロコ》
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