「世界が注目するアニメ制作スタジオが切り開く未来」
Vol.15 クラフタースタジオ
世界からの注目が今まで以上に高まっている日本アニメ。実際に制作しているアニメスタジオに、制作へ懸ける思いやアニメ制作の裏話を含めたインタビューを敢行しました。アニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」、Facebook2,000万人登録「Tokyo Otaku Mode」、中国語圏大手の「Bahamut」など、世界中のアニメニュースサイトが連携した大型企画になります。
全インタビューはこちらからご覧ください。
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クラフタースタジオ代表作:『あした世界が終わるとしても』『INGRESS THE ANIMATION』『おそ松さんVR』『牙狼〈GARO〉-VANISHING LINE-』 『DRIFTERS』
AIやリアルタイムエンジンなどの最新IT技術を投入した独自の「スマートCGアニメーション」を活用し、進化を続けているクラフタースタジオ。2013年の設立以降、ポケモンGOの開発・運営元として知られるNiantic社のゲームをベースにした『INGRESS THE ANIMATION』やオリジナル長編映画『あした世界が終わるとしても』を手がけるなどフルデジタルのアニメーション世界を拡大している。
クラフタースタジオはどんなスタジオなのか? 目指す未来は?
アニメーション監督の櫻木優平さんと川島英憲常務取締役に話を聞いた。
[取材・構成=高木真矢子]
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――クラフタースタジオの歴史について教えてください。
川島:もともとアニメの企画制作やCMの実績がある「クラフター」とアニメの下請け専門の「ラッキーピクチャーズ」という会社がありました。クラフターの古田社長と僕の方で「本格的に世界に対して日本のクリエイティブを作っていこう」と意気投合し、かつ同時期に櫻木監督と石井朋彦プロデューサーが入る作品のスタッフィングとして参加していた流れもあり、M&Aに発展。情報メディアや映画の終着点でもあるこの新宿に「クラフタースタジオ」ができました。

――クラフタースタジオの強みはどんな部分でしょうか?
川島:やはり、強みは「人」。櫻木監督を筆頭に社内企画のオリジナルタイトルができる体制があります。クラフタースタジオには、優秀なデザイナーが多く所属していて、昔からの絵を描くスタッフはもちろん、専門性と多様性を持ち合わせたジェネラリストと言われるようなタイプが多いのも特徴です。
例えばエンジニア系の人と僕らとでは、求める「クオリティー」の意味が違う。だから、プログラム的な知識からデザイナー的な知識まで幅広い知識を持った人が間に入らないと、なかなか同じゴールを目指せない。作品制作の1~2年という短いスケジュールの中で、それをまとめ上げて結果を出すというところまではなかなか行けないんです。
でも、うちの場合はその間を見ることができる人間がそろっているので、そういった意味で専門性・多様性・営業力とバランスがいいスタジオです。
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――社内体制や教育はどのようにされていますか?
櫻木:実働40人くらいで、大型作品を作るとしてはスタジオの人数が少ないほうなので、全員にディレクタークラスのスキルを付けたいと考えています。基本的には、社内全員が頭から最後までの工程を知っていて、それぞれが作品全体の指揮を取れるようになる教育を意識しています。
ワンフロアにみんないるというのもその1つで、できるだけディレクターが何をやっているか見てもらったり、一緒の場所で打ち合わせしたりしています。スタッフみんなが1作品持てるようにしたいです。
川島:よりモノを作ることが楽しいと思えるようなメンタリティーを維持できる環境を構築していく必要性を感じています。
自社で言えばVRの映像やCM作品など、他業種と連携してアニメ以外のコンテンツを作ることで、業界外のノウハウに触れる機会や、社会の優秀なクリエイターと積極的に通じる機会などが生まれます。そういったアクションの継続が個人としても組織としても技術力向上につながると思っています。
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――クラフタースタジオの理念でもある「作り方から、作る」「すべてをみんなで作る」というのは?
川島:作品自体をどう作っていくかというところから掘り下げて、全ての作り方を一度疑うというアプローチです。とはいえ、闇雲に奇抜な事をしようとしているわけではなく、今のクオリティーラインを維持しつつ、時間をかけ徐々に変えていくアプローチと、AIや新しい技術を積極的に取り入れ革新的にチャレンジしていくアプローチを並行して進めています。既存のワークフローに囚われず、あらゆるテクノロジーの進歩に対して「常にアグリー(agree)である」といった制作スタンスを維持することが大切です。
テクノロジーにコミットし続けると、自分たちだけでは起こらない掛け算がどんどん起こっていくという良さがあります。僕たちはアニメを作るプロですけど、それ以外は当然プロではない。
従来のアニメ業界になかった新しいテクノロジーを使ってアニメ制作にチャレンジするという点においては、他の産業や自分たちの業界にいない人たちと積極的に絡むことで、より先進的なアニメを作るチャンスがでてくる。
親会社のクラフター側の立ち位置をはじめ、アニメ会社が本来持ち得なかったようなパイプラインが存在しているので、「Unity」や「Preferred Networks」などの異業種と積極的に絡んでいくというのはクラフタースタジオの特色と強みになっていると思いますね。
――外国人スタッフはいらっしゃいますか? また受け入れの予定やこんな人が来てくれたらいいな、などはありますか?
櫻木:今はいないですね。でも、基本ソフトは一緒なので、腕があればやっていることは変わらないのでOKです。日本語をしゃべれない人が来てくれると、こちらが英語を覚える機会になるから良いっていうのはありますね(笑)。
川島:英語の先生が欲しい(笑)。確かにスタジオ内で英語が公用語になれば、それこそグローバルに仕事できますしね。