普段私たちが見ているアニメは、その多くが製作委員会方式で製作され、これまでBlu-rayやDVDなどのパッケージ収益によって支えられてきました。しかし近年ではその売り上げも下がり続け、代わりにネットによる有料の映像配信ビジネスが台頭しつつあります。こうした背景をもとにアニメ!アニメ!は、アニメ業界関係者向けのセミナー「ウィンドウを超える次世代アニメ界のキープレイヤーが語る~新しいビジネスモデル~」を11月27、東京・秋葉原で開きました。コーディネーターにジャーナリストの数土直志氏。パネラーに国際大学GLOCOM客員研究員の境真良氏、フジテレビジョンプロデューサー兼「ノイタミナ」編集長の森彬俊氏、サイバーエージェント「CAAnimation」ゼネラルプロデューサーの田中宏幸氏の3人が登壇しました。セミナーは、パネラー3氏による講演から始まりました。はじめに境氏が登壇し、アニメ産業の様々な歴史的変遷に触れたうえで、「昨今の映像配信ビジネスと海外市場の隆盛から、近い将来日本のアニメ産業の収益モデルに構造的変化が起こるではないか」と問題提起しました。国際大学GLOCOM客員研究員・境真良氏続いて森氏は、「アニメのビジネスモデルがテレビ局主導のスポンサー収益モデルから製作委員会主導のパッケージ収益モデルにシフトし、さらに映像配信や海外事業など二次利用収益モデルに変化している」と指摘しました。フジテレビジョンプロデューサー兼「ノイタミナ」編集長・森彬俊氏さらに田中氏は、「確かにビデオパッケージの売り上げはここ3年10%以上の減少率となり、収益化構造が変化しつつある。だが、キャラクタービジネス全体として捉えれば、市場の規模や年間作品数は過去最高を更新し続けており、明るい状況ではないか」と話しました。サイバーエージェント「CAAnimation」ゼネラルプロデューサー・田中宏幸氏その後、数土氏を交えてパネルディスカッションに移りました。そこではTVがネット配信に奪われていくのではないか、「5G」化し高速モバイル通信時代を迎えたらどうなるのか、テレビ局はなぜいまだに製作委員会方式を採っているのか、次のお金の稼ぎどころは何か、という点などが話し合われました。最後にパネラーからアニメ業界の未来図が語られ、中には銀行など業界外出資に関する具体策もありました。[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]
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