ジャンプ×マガジンの無料マンガサイト「少年ジャンマガ学園」はなぜ22歳以下限定なのか? | アニメ!アニメ!

ジャンプ×マガジンの無料マンガサイト「少年ジャンマガ学園」はなぜ22歳以下限定なのか?

4月8日、「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年マガジン」による期間限定Webサイト「少年ジャンマガ学園」記者発表会が行われた。本記事ではその模様に加え、なぜ本Webサイトが22歳限定なのかについてお届けする。

イベント・レポート
(C)少年ジャンマガ学園製作委員会
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4月8日、「週刊少年ジャンプ」と「週刊少年マガジン」による期間限定Webサイト「少年ジャンマガ学園」記者発表会が行われた。本記事ではその模様に加え、なぜ本Webサイトが22歳限定なのかについてお届けする。

記者発表は都内某所にある中学校を改装した施設にて行われた。会場は学校の教室そのものだったが、「少年ジャンマガ学園」らしさを感じさせる演出が所々に見られた。
この学園ではどういった授業が行われているのか想像するだけでも楽しくなってくる、記者会見だけに使うには惜しいこだわりようだった。





チャイムが鳴った後、プロジェクト責任者である「週刊少年ジャンプ」編集部細野修平氏と「週刊少年マガジン」編集部橋本脩氏によるプロジェクト説明が行われた。

「少年ジャンマガ学園」は4月8日から6月10日までの約2ヶ月間限定のWebサイトで「週刊少年ジャンプ」「週刊少年ジャンプ+」(以上集英社)「週刊少年マガジン」「別冊少年マガジン」「マガジンポケット」(以上講談社)の5媒体に掲載されている少年マンガ170冊以上を、22歳以下限定で無料で読めるようにするというもの。

年齢制限は「これまでマンガに触れてこなかった若者世代に読んでほしい」というコンセプトからで、原則的に全作品1話目から読めるようになっている(どこまで読めるかは作品によって異なる)。


ラインナップされた作品は『ワンピース』『進撃の巨人』などの看板タイトルはもちろん、近年TVアニメ化された話題作『約束のネバーランド』『五等分の花嫁』や、現在TVアニメ放送中の『鬼滅の刃』『ぼくたちは勉強ができない』『川柳少女』『ダイヤのA act II』などの作品も含まれている。

また、マンガを無料で読めるだけでなく、読んだマンガをSNS上で次の人に薦めることで無料可読範囲が拡大していく「マンガリレー」や、ツイッターを用いた「読書感想文コンクール」(賞品あり)、「イラストコンテスト」(賞金あり)など様々な“学校行事”が催され、SNSを介してマンガを総合的に楽しめる作りになっている。

プロジェクト説明の後はゲストによるトークセッションがスタートした。登壇したのは「週刊少年ジャンプ」編集長中野博之氏、「週刊少年マガジン」編集長栗田宏俊氏、芸能界でもマンガ好きで有名なケンドーコバヤシの3名。


中野博之氏
栗田宏俊氏
ケンドーコバヤシ
両編集長のあいさつによると、これまでライバルとして競い合ってきた両誌がタッグを組むのは50年以上の歴史を振り返っても初。
最初に話を聞いた時はお互い「相手に断られるんじゃない?」「マジかよ?」と思ったという。

一方で、企画自体はスタッフ同士の交流の中からどちらからともなく自然に発生し、実現までは「意外とスムーズだった」そうだ。
トークセッションに移る前に「少年ジャンマガ学園」の開校を記念して、教室内の黒板をお披露目する除幕式が行われた。





このコラボレーションイラストにケンドーコバヤシは「国宝級」、中野編集長は「どちらも少年に向けて毎週がんばって描いているという点で通じるものがあるのか、思ったより違和感がない」、栗田編集長は「圧巻。こんな雑誌の編集長だったらすぐやりたい」とコメントした。

トークセッションのテーマは各人の思い出深いマンガ、人生に影響を与えたマンガに関して明かすというもの。
栗田編集長は「母は教育ママだったがマンガは活字を読んでいるということでOKで、『エースをねらえ!』『キャプテン』を読んで影響を受けてスポーツを始めたりしていました。両方集英社さんなんですが(笑)」と笑いを誘った。
またマンガから受けた影響として「な、何っ!」「な、なんだと…?」「!?(無音)」のようにマンガみたいな喋り方をすることを挙げた。

ケンドーコバヤシは「マンガは空手道場をやっていたお寺の住職さんから教わりました。『寺の蔵には魔物がいるので絶対に入るな』と言われていたので、当然入りますよね。するとそこにはものすごい数のマンガとエロ本が……」と語った。
イチオシの作品は『キン肉マン』と『1・2の三四郎』と集英社と講談社の作品をバランスよくチョイス。「両方とも僕を作った作品と言っても過言ではない。『いざという時は気合でなんとかする』という人生訓を学びました」と明かした。


中野編集長は小学生の頃から叔父さんの『火の鳥』を読破していたマンガ好き。続いて『ドラえもん』『キン肉マン』『キャプテン翼』『ドラゴンボール』と時代に沿って名作タイトルを挙げた。
講談社の作品としては『ミスター味っ子』『オフサイド』『名門!第三野球部』『疾風伝説 特攻の拓』『金田一少年の事件簿』を挙げつつ、『ビバ!柔道愚連隊』というマニアックな作品を猛プッシュしていた。
奇しくも3人全員が最初期にハマった作品として『ドラえもん』(小学館)を挙げており、レーベル縦割りでない本当のマンガ好き同士によるトークを披露してくれた。



なぜ22歳以下限定なのか?


本Webサイトは22歳以下限定公開となっており23歳以上は「入学」できない仕組みになっている。本記事記者もサイトにアクセスしてみたが、トップページに誕生年を入力するフォームがあり、それに答えると以下のように表示され「入学拒否」されてしまった。あくまで22歳以下の若者が対象であり、それ以上は全て対象外・使用不可ということのようだ。



「少年ジャンマガ学園」公式サイトより
その理由については上述の通り「これまでマンガに触れてこなかった若者世代に読んでほしい」と説明があった他、会見の所々で以下のように触れられていた。

・「ゲームやSNSや動画メディアなど様々なプラットフォームでコンテンツが楽しめる中、どうやって若者の皆様にマンガの魅力や読み方、楽しみ方を伝えるべきかを考えた結果」(細野氏)
・「マガジンもジャンプも長期連載が多く1話目をリアルタイムで読めていなかった若い方も多いと思う。そんな方に1話目から読んでもらえる」(中野編集長)
・「今若者を取り巻く環境は決して易しいものではないと思っています。マガジンやジャンプの主人公たちはいつも前を向いて戦い続けているような奴ら。そんな彼らの姿は若い人たちが苦しいとき、辛いとき、必ず励ましてくれると信じています」(中野編集長)

これらの説明から読み取れるのは「今の若者のマンガをめぐる環境はかつてのそれとは事情が異なると両編集部は考えている」ということだ。

一例だが、一般社団法人日本雑誌協会が公表しているデータによると2018年10月~12月のジャンプの印刷証明付き発行部数は170万部強。
これは10年前の同期間の280万部弱から約3割減、最盛期(1995年、635万部)からは7割以上減となっている。

この事自体はコンテンツのデジタル化やモバイルデバイスおよび高速通信環境の普及に伴う必然的なものであり、だからといって「マンガの人気がなくなった」と言えるようなことではない。
事実、この数字には現在では当たり前となったデジタルでの売上は勘定されていない。

しかし紙で印刷されて物理的に出回る部数が減ったことによって、子どもがマンガ雑誌を友だちから借りて読ませてもらう機会が減ったことは想像に難くない。
また10年以上前であれば読み終わった家族から譲ってもらったり電車の網棚などに置き去りにされた雑誌を読んだりした経験のある方もいると思うがそういった機会も減っているはずだ。
さらに、それと同等のことをネット上でしようとすると「違法コピー」「海賊版利用」になってしまうという事情もある。

つまり「少年ジャンマガ学園」は22歳以下限定の優遇ではなく、かつてのマンガファンが当然のこととして享受していた「人の手を介して合法的に無料でマンガを読むというマンガ入門体験」が失われつつある今、それを補うための試みだと考えられるのではないだろうか。
単に無料なだけでなくリレーやSNS上での感想文のシェアなどのイベントは、まさにマンガを介したコミュニケーションをデジタル上で再現しようとしているもののように見受けられる。

以上は記者の所感だが、もし「なぜ23歳以上は入学できないんだ! 不公平だ!」と感じていた方がいたとしたら、上記のように理解されてはいかがだろうか。

とはいえ「それでもジャンマガ学園に入学したかった! みんなでマンガを読みあいっこしたかった!」という23歳以上の熱烈なマンガファンもいらっしゃるだろう。
そんなファンに両誌編集部は今回の制限についてどう弁明するのだろうか? プロジェクト責任者である細野氏と橋本氏に聞いてみたところ、両氏から下記のようにご回答いただいた。


「今回は便宜的に22歳というところで線引させていただきましたが、もしそういった声を多くいただければ次はその方々向けのサービスを考えることができます。反発でもいいので反応をいただけたらいいなと考えています」

今回悔しい思いをされた方は、ぜひ前向きな意見や希望という形で声を上げていただきたい。

(C)少年ジャンマガ学園製作委員会

[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]
《いしじまえいわ》
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