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違法サイトのブロッキング要請は「法治国家原理が危機にさらされる恐れがある」JILISが提言

漫画の海賊版サイト「漫画村」による違法アップロード問題に注目が集まるなか、情報法制研究所(JILIS)は、4月11日、政府において検討されているプロバイダに対する著作権侵害サイトのブロッキング要請について反対声明を提出。

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漫画の海賊版サイト「漫画村」による違法アップロード問題に注目が集まるなか、情報法制研究所(JILIS)は、4月11日、政府において検討されているプロバイダに対する著作権侵害サイトのブロッキング要請について反対声明を提出。ブロッキングという措置自体の是非も含めて改めて冷静な議論を行うよう提言している。

JILISは、日本国憲法 21 条2項後段にて「通信の秘密は、これを侵してはならない」と定められていることを踏まえ、このブロッキングが電気通信事業法が禁止する通信の秘密の侵害にあたるのではないかと疑問視。

政府としては、緊急避難(刑法 37 条)として違法性が阻却されるため法的には問題がないと整理するという方向だと伝えられているが、「緊急避難が認められるためには現在の危難、補充性、法益権衡といった要件が必要であるところ、本件要請の想定するブロッキングがこれらを充たすかどうかには疑問が多い」と指摘した。

現在、児童ポルノに関するブロッキングが同様の法的構成で行われているが、「そもそも児童ポルノの流通自体が児童の人格に対する重大かつ回復不可能な侵害であること」、「ブロッキング基準を定めて一定以上の悪質な児童ポルノサイトのみ対象とする」といった慎重な考慮がされている傍ら、著作権侵害サイトのブロッキングについては「政府が3つのサイトの具体名を挙げて削除を要請する予定といわれており、憲法の禁止する政府による検閲に該当するおそれがある」と反発。「法治国家原理からの深刻な逸脱と理解せざるを得ない」と主張。

また、現在児童ポルノブロッキングにおいて使用されている手法について、「これまでもユーザーに知識があれば回避可能であるとされていたことに加え、最近では回避のための技術的な手段が開発されているため、仮にブロッキングを実施したとしても十分な効果は期待できない」と指摘。
更にはブロッキングによるプロバイダに生じる運用面のコストのみならず、訴訟提起、刑事告訴、刑事訴追といった不合理な負担を課すことにより、プロバイダの活動に悪影響を及ぼすのではないかと危惧している。

その上で政府に対し、「このような要請を行うことは差し控え、ブロッキングという措置自体の是非も含めて改めて冷静な議論を行うよう」提言。
本件要請が容認されると、今後様々な違法サイトに対するブロッキング要請を否定することが困難となり、通信の秘密・自由や検閲からの自由、法治国家原理が危機にさらされる恐れがあると指摘した。

[アニメ!アニメ!ビズ/animeanime.bizより転載記事]
《室園あ子》
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