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フジテレビの新アニメ枠「+Ultra」が掲げる“3つのHigh”とは? 森彬俊Pが明かす世界に向けた戦略

「+Ultra」と「ノイタミナ」の作品に携わる森彬俊(もり・あきとし)プロデューサーにこれらの疑問をぶつけ、新ブランドである「+Ultra」の意義やプロデューサーとアニメ作品の関係など話を伺った。

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  • TVアニメ『INGRESS THE ANIMATION』(C)「イングレス」製作委員会
  • 『キャロル&チューズデイ』(C)ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会
  • 『revisions リヴィジョンズ』キービジュアル(C)リヴィジョンズ製作委員会
  • 境真良氏、森彬俊氏、田中宏幸氏

■初回放送と同時に、Netflixで全話配信! TV局にとって影響は?



――また角度の違う話になりますが、今回『INGRESS THE ANIMATION』はTV放送と同時にNetflixでの配信がスタートしました。しかも、全話一挙公開です。それによってアニメの視聴体験やアニメビジネスにはどういった影響があるとお考えですか?

(C)「イングレス」製作委員会


少し前であれば、「TV放送と動画配信はお客様を取り合うライバル関係だ」という考え方もありました。
でもお客様の立場で考えればどちらも選択肢に過ぎないわけで、対立するものではないんですよね。

それに、作品を多くの方に見てもらわないことにはパッケージもグッズも買ってもらえませんから、とにかくまず多くの方に見ていただくことを重視しています。
フジテレビを中心にTV局でまず日本国内をカバーし、Netflixで海外からも見ていただけるようにする。
そうやって見ていただけるウインドウを増やすことが重要だと考えています。

『INGRESS THE ANIMATION』では、毎週1話TV放送されますが、Netflixでは既に全話公開されています。こういった取り組みはキー局では初めてかもしれませんが、Netflixで全話見た方の口コミによってTV視聴の方のモチベーションが牽引される、または“保険になる”ということもあり得るのでは? と期待しています。

――保険というのはどういうことですか?


視聴者の立場で言えば、『INGRESS THE ANIMATION』のようなオリジナル作品に3カ月間付き合うのって、ひとつの賭けですよね。
「最後まで付き合って結局つまらなかったらどうしよう」「時間をかけて見る価値はあるんだろうか」という不安があると思うんです。
そこに1話の時点で「Netflixで最後まで見たけど面白かったよ!」という人がいれば、それが継続視聴するモチベーションになる。そんなシナジーが今後生まれてくるのでは、と考えています。

――とにかく最後まで見てもらうことを重視しているんですね。


今はどんな作品がヒットするか予測がつかない時代ですから、クオリティの高い作品を作り、それをとにかく多くの方に最後まで見てもらう。
作品を見てもらい評価されれば、結果的にグッズやイベント、ゲームなどの周辺ビジネスも活性化する。これを真摯にやっていくしかないと思っています。

『君の名は。』がデートムービーにまでなったことからも分かるように、アニメそのもののプレゼンスや社会的評価も上がっていて、より多くの方がアニメを見る時代になってきています。ですからコアなアニメファンだけでなく、広い層に作品を届けることが重要だと考えています。

――そういったアニメ開発部の意向は、フジテレビ全体の戦略方針を反映したものと考えていいんでしょうか。


アニメは、フジテレビとして取り組むべき試みの最先端であると考えられています。これまでTV局は外部で作られたアニメ番組に枠を用意して放送する、CMを流すといったことがメインの収益でした。
それらが減少していく中、自分たちで積極的に作品を作っていけばグッズなどの2次利用も収益になりますから、放送外収入の要になってくる。

私たちは幸い「ノイタミナ」の時から作品を作り2次利用収入を得るノウハウを積み上げてきました。そこを期待する形で、より組織的に動けるようアニメ開発部を6年前に設立しました。
その結果、「+Ultra」や「ノイタミナ」といった深夜アニメ枠だけでなく、『レイトン ミステリー探偵社~カトリーのナゾトキファイル~』を放送している朝枠や、『ペンギン・ハイウェイ』のようなファミリー向け劇場用作品といった挑戦が今できているんです。

――フジテレビという会社全体でアニメ分野に期待し、新しい挑戦をしているわけですね。


社として、アニメは放送局のビジネススキームを変える存在だと期待しています。今年のフジテレビのアニメラインナップ発表会で、大多亮(おおた・とおる 常務取締役)が発表したということからも、社としての意気込みがあらわれていると捉えていただきたいです。
《いしじまえいわ》
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