スライムはどうして「最弱キャラ」になったのか? イメージを定着させた“戦犯”が告白【「転スラ」特集】 2ページ目 | アニメ!アニメ!

スライムはどうして「最弱キャラ」になったのか? イメージを定着させた“戦犯”が告白【「転スラ」特集】

「なんだ、スライムか」。RPGを遊んだ際、冒険の始まりで遭遇したモンスターが、まんまるくて弾力がある小さなスライムだと安心する人は多いのではないだろうか。 何と言ってもスライムは、“雑魚モンスター”の代名詞として定着している。

インタビュー
スライムはどうして「最弱キャラ」になったのか? イメージを定着させた“戦犯”が告白【「転スラ」特集】
  • スライムはどうして「最弱キャラ」になったのか? イメージを定着させた“戦犯”が告白【「転スラ」特集】
  • 『転生したらスライムだった件』第1話場面写真 (C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
  • 『転生したらスライムだった件』キービジュアル第2弾 (C)川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

■日本で弱いスライムが定着したのは「キャラクター性」が重視されたから



――日本におけるスライムをよりポピュラーにした存在として『ドラゴンクエスト』があり、作中では実に様々なタイプのスライムが登場します。それについてどう思っていますか?

遠藤
その辺は工数を減らしたかったのもあると思います。たとえば、オリジナルの「スライム」から、色を変えるだけで「スライムベス」、「メタルスライム」になります。
さらに形を変えると「バブルスライム」となり、色を変えると「はぐれメタル」になる。派生させてどんどんキャラを登場させることができるんです。

それに、同じ色だと同じ属性に見えますし、属性が世界観を広げる要素にもなるんですよ。例えば、メタル系は「逃げる」とか「経験値が多くもらえる」とか。作り手はパラメーターを設定するだけなのですが、そういったイメージすらも定着させることもできます。

――「スライム=弱い」というイメージを定着させてしまったことについて、率直にどう思われていますか?

遠藤
正直、「すまなかった」と思っていますよ(笑)。
ただ、スライム人気は圧倒的に『ドラゴンクエスト』のほうが上なので、キャラクターとしての弱いスライムを広く定着させたのはあちらでしょう。スライムに「面白い」とか「可愛い」といったキャラクター要素を加えたことは、まさに日本ならではのキャラクターづくりです。

日本のコンテンツでは「キャラクター」が重視されます。海外のドロドロっとしたイメージでスライムを表現したいクリエイターは少ないでしょうし、あのぷにぷにっとしたキャラクター性のあるスライムだからこそ、より人気が拡がったと感じています。

■日本におけるスライム第一人者として、今後のスライムに託すものは?



――そんな「スライム=最弱」というイメージを逆手に取った作品が『転生したらスライムだった件』です。捕食した相手の能力を手に入れる、人型に変形できるなど、“最強”のスライムが描かれていますが、日本におけるスライム第一人者としてどう見ました?

遠藤
私の印象としては、スライムのイメージを逆手に取ったというより、作者独自の世界観だと感じました。捕食したキャラクターの能力を手に入れるというのもファンタジーとしてはすごく分かりやすい。

――特徴的な点として、高い知能を持っていることもあげられますが、これまで様々なゲームに登場してきたスライムには知能があるのでしょうか?

遠藤
それはもう作り手の解釈次第ですね。『ドラゴンクエスト』だと仲間に出来ますから、スライムは高い知能を持っていると思います。

そういったクリエイターの想像力の豊かさによって、同じ題材でもいくらでも解釈できるし、受け取られ方も変わっていく。まさに日本文化の最大の特徴である多様性の表れですよね。

――日本のスライム像は、海外ではどう受け取られているのでしょうか?

遠藤
日本のスライムは、日本独自のものです。擬人化や女性化に見られるように、日本人は物をキャラクター化すること得意としていて、日本のスライムはかなりキャラクター化された存在です。

海外でも日本版スライムは「日本らしい多様性だよね」と受け入れられはしますが、やはりあちらのスライムのイメージはドロドロして毒があって剣で斬れない、中に取り込まれて窒息する……なんですよ。しっかり棲み分けされています。

――素朴な疑問ですが、数あるスライムキャラクターのなかでとくにお気に入りは何ですか?

遠藤
「メタルキング」です。『ドラゴンクエスト9』の隠しダンジョン「“まさゆきの地図”(正式名称:見えざる魔神の地図Lv87)」でいっぱい倒しました。
多くのプレイヤーがすれ違い通信でその地図を入手したくて当時の秋葉原のヨドバシカメラ前に集まったため、「ルイーダの酒場」と呼ばれた出来事も印象的でしたね。

――ありがとうございます。最後に、今後スライムという存在がキャラや文化としてどのように発展していってほしいと思いますか?

遠藤
私はスライムを自分のものだとは思っていませんし、他のクリエイターが今後どのように使っていくか気になるぐらいです。
使いやすい存在だけに、好きに料理してもらって、新しいスライム像をどんどん生み出してもらえると嬉しいです。
《乃木章》
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