そのバットマンシリーズの映画最新作が”戦国タイムスリップ・アクション・エンターテイメント”のアニメ映画『ニンジャバットマン』という驚愕のスタイルで誕生した。海外では既に数々の国で上映されいずれの国でも高い評価を受け、日本でもついに6月15日(金)より公開となった。
『ニンジャバットマン』
2018年6月15日(金) 劇場公開
この全く新しいバットマンを手掛けたのは、TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのオープニング映像や『ポプテピピック』などの作品で都度話題をさらってきた鬼才ディレクター集団・神風動画とその代表である水崎淳平氏だ。加えて脚本に『天元突破グレンラガン』『キルラキル』の中島かずき、キャラクターデザインは『アフロサムライ』の岡崎能士という強力な布陣となっている。
今回、アニメ!アニメ!では『ニンジャバットマン』で監督を務めた水崎氏に直撃し、本作の見どころとなる豪華クリエイター陣についてはもちろん、日本のアニメ業界で本作を作った意義やアニメーターの労働環境問題など、神風動画が目指すものについて広く深くお話を伺った。
[取材・構成=いしじまえいわ]
※インタビュー内にて、『ニンジャバットマン』の重要な部分に触れています。予めご了承下さい。
――まず、どういった経緯で本作の制作を受けることになったのですか?
水崎淳平監督(以下、水崎)
バーナムスタジオの里見哲朗プロデューサーに、ワーナー・ブラザースさんから「日本を舞台にしたバットマンを作りたい」という相談があったそうで、そこからオファーをいただきました。里見さんの中では最初から映像は神風動画、脚本は中島かずきさん、キャラクターデザインは岡崎能士さんというメインスタッフ構成はイメージしていたそうで、その中から最初に神風動画にお話をしてくれました。
また自社が手がけた『ジョジョの奇妙な冒険』のオープニング映像が、そのパッケージを担当していたワーナーさんから好評だったようで、それも後押ししたのかもしれません。
――里見プロデューサーから直接ご指名を受け、それを快諾したのですね。
水崎
いいえ、最初は快諾とはならず、珍しく慎重に検討しました。
――え、何故ですか?
水崎
神風動画はオープニング映像やPVなどの短編映像でこそ実力を発揮するスタジオだと思っていましたし、その分野で高いクオリティを出すことが業界内で神風動画が果たすべき役割だと考えていたからです。
それに長編作品はほぼ未経験でしたので「長編ならもっといいスタジオありますよ」などと言って断ったのですが、里見さんは神風動画に長編を作らせようと決めていたようで、かなり根気強く何度もオファーを受けました。
普通、断られたら他を当たりますよね? でも里見さんは「ほら、中島さんが脚本やるって言ってるよ?」「まずは5分のパイロットフィルムでいいから作ってみない?」といった感じであの手この手で何度もオファーをしてくださり、根負けして本作に取り掛かる決心をしました。
――プロデューサーの熱意あってのスタッフィングだったんですね。一方、バットマンという歴史ある作品を手掛けるということについては、どう思われました?
水崎
ティム・バートン版の映画『バットマン』は好きでしたし、何よりバットモービルが好きでしたので、そこは抵抗なかったです。バットモービルにフォルムがちょっと似ているという理由でRX-7に乗っていたくらいですし、近所のアメリカントイ屋さんに参考展示されていた1/6スケールのティム・バートン版バットモービルをいつも欲しいなあと指をくわえて見ていましたからね。決まった時は「これであのバットモービルが堂々と買える!」と思いました(笑)。

――メカがお好きなんですね。
水崎
バットマンに限らず、ガンダムシリーズではモビルスーツ、『戦闘メカザブングル』ならウォーカーマシン、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ならデロリアンといった感じで、メカやガジェットが好きなんです。
メカデザインやフィギュアなどの立体物が好きだからそれが登場する作品を見るということもよくあります。最近はフィギュアの出来がものすごくよかったので『テクノポリス21C』(82年公開のアニメ映画)を見ました。