「ダンまち×キノの旅」原作者が互いの創作論を交わし合う! 大森藤ノ先生&時雨沢恵先生インタビュー【後編】 3ページ目 | アニメ!アニメ!

「ダンまち×キノの旅」原作者が互いの創作論を交わし合う! 大森藤ノ先生&時雨沢恵先生インタビュー【後編】

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ~メモリア・フレーゼ~』と『キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series』によるコラボイベントを記念し、大森藤ノさんと時雨沢恵一さんによる原作者対談。インタビュー後編。

インタビュー

■小説、ゲーム、アニメ。三位一体となって生まれたコラボ企画



――今回のコラボの中で、おふたりのお気に入りシーンはありますか。

大森
実は今回のシナリオには、『キノの旅』第1巻に収録されている『コロシアム』でエルメスが言った「世界は、美しいかどうかは知らないけれど、広いね」というセリフをアレンジした、エルメスとヘルメスによる掛け合いが入ってます。
やっぱり事の発端が斉藤壮馬さんのヘルメスとエルメスにあったので、シナリオもそこに重きを置いて、「お互いのキャラクターが言いそうなセリフを何とか入れたい!」と考えていました。原作を読みながらひたすらセリフを探して、いくつもの素敵な候補の中から選ばせていただきましたが、時雨沢先生の寛容な心もあって実現できたワンシーンでもあります。ぜひユーザーのみなさんにはプレイしてニヤリとしていただきたいですね。

時雨沢
個人的には、シズ一行がタケミカヅチ・ファミリアという和風テイストのメンバーの中にポンと入って、すっかり仲良くなっちゃうくだりがすごく好きです。フォトはフォトでヘスティアとしっかり仲良くなっていますし。
あと、今回のシナリオには『ダンまち』のストーリーに隠されていた真実にもちゃんと触れたりもしていてストーリー構成がすごく上手だなと思いました。そこは純粋に読んでて感心しましたね。

大森
あと、シナリオの終盤でキノとベルが握手をするシーンもすごく嬉しかったです。時雨沢先生がコメントで「握手したらいいなあ」と言ってくれたおかげで実現したシーンなんです。異なる原作の主人公が手をつなぐという、この絵自体が夢のコラボみたいで涙が出るほど嬉しかったです。
あとはそうだった、章のタイトルにつづく英語の表記も時雨沢先生が全部考えてくださって。

時雨沢
そういえばそうでした。『キノの旅』っぽさを出すんだったらあったほうが良いかなと思いまして。

大森
本当にありがとうございます! 時雨沢先生には感謝しかないです。

時雨沢
あと、ビジュアル面については『キノの旅』と『ダンまち』に関わられたEGG FIRMさんが重要な役割を果たしましたよね。プロデューサーの大澤信博さんに協力していただいて、アニメ側が持っていたエルメスの3DCGデザインをそのまま提供してくださって。キノたちの服装といったデザインもそう。我々はぶっちゃけ実現のこととか考えずにヒャッハーでしたけど、みなさんが奔走してくださって。

大森
最後は大澤さんも悪ノリしていらっしゃいましたよね。「両方のイラストレーターさんに何か描いてもらえないかな~」みたいなことをボソッと。

時雨沢
そうそう(笑)。「エルメスにまたがっているヘルメス」は大澤さんと一緒にたくらんだアイデアだったりしましたね。もう偶然に偶然が重なりました。

――ヘルメスがエルメスに乗って敵と戦うという演出も面白かったです。

大森
そこはWFSさんと綿密にお話させていただいた部分でもありました。『ダンメモ』は冒険者とアシストという役割にキャラクターが分かれていますが、ヘルメスは神様だから本当は戦っちゃいけない。だから今回もアシスト側かなって思っていたんですよ。
そしたらディレクターさんが「エルメスとセットにして冒険者で出しますよ」って(笑)。神様では初の冒険者デビューになりました。

――ふと気になっていたのですが、『キノの旅』の師匠が出るというプランもあったのですか?

時雨沢
師匠はわりと序盤から「出さない」という話で一致してましたね。 老師匠は無理だし、若師匠を時を超えて出すというのもちょっと難しいかなと。何よりシズやフォト一行が出てきているので、十分だろうという感覚はありました。

■「またコラボができるなら3000年後のオラリオでも」(大森)



――今回やり切れなかったところや、本来入れたかったけど実現できなかったところはありますか。

大森
これは完全に自分だけの考えですが、やっぱり『キノの旅』の持っているビターな世界観を『ダンメモ』の中でも見せたいなと思う部分はありました。『ダンまち』は基本的に勧善懲悪で優しい世界ではあるのですが、『キノの旅』らしい良い意味でのエグみをどうやったら表現できるのか、今回すごく悩んだ部分でもあったので。時雨沢先生とプロットの打ち合わせをしている時も、ご迷惑かなって思われるくらい、しつこく「どうしたらキノらしさが出ますかね?」というお話をさせていただいていて。

時雨沢
そうですね。オラリオを出てから『キノの旅』らしくちょっとビターというか、不思議なオチをつけようと思いまして。国を出てからのお話も見どころになってます。

――大森先生は『キノの旅』のどんなところが好きですか?

大森
今回、コラボさせていただくにあたって原作をひと通り読ませていただいて、自分には絶対に書けないオンリーワンの世界観にとにかく惹かれました。
あと、あとがきも本当に大好きです。本当によくこんなあとがきを書けるなあって。

時雨沢
あれ考えるの大変なんですよ(笑)

大森
絶対にそうだと思いました。でも本当に『キノの旅』は自分にとって今までにない読後感だったので、やっぱりすごく憧れてしまいます。だからもし再びコラボしていただけるんだったら、そんなビターな世界観が描けたらいいなあって。

時雨沢
ありがとうございます。すごく見てみたいのですが、 基本的にキノって同じ国に2度と行かないのでどうなんだろうなあ。

大森
あー、そうでした。じゃあオラリオが荒廃して別の街が……というのはいかがでしょう?

――原作者としてそこはOKなんですか(笑)。

時雨沢
『ダンまち』のメンバーがみんな旅に出ちゃって、みたいなパターンだったら可能性はなくもないですね。ただ、背景など全部描き直しになっちゃいますけど大丈夫ですか?

プロデューサー
その時は何枚でも描きます!

大森
そこは本当に自分のエゴみたいなところなので忘れてください(笑)。今回のシナリオはライトユーザーだけでなく、両作品の原作を読んでいる人たちにも喜んでくださる内容になったと思います。両作品の入り口にもなれる、すごく良いコラボになりました。

時雨沢
そうですね。個人的にはゲームであることをあまり意識しないで、共同でアニメもしくは映画を1本作ったらどうなるんだろう、ぐらいの感覚で進めていたんですよ。 昔あった東映まんがまつりのコラボ映画みたいな。
でも、実際に映画だったら相当大変だったと思います。まさにソシャゲの良さが活きた企画だと思いました。

大森
こんなにフットワーク軽くはできなかったと思います。

時雨沢
WFSさんも本当に大変だったと思うのでありがとうございました。

プロデューサー
実は今回キャストのみなさんに収録していただいたデータを全部つなげると、1時間10分くらいのボイスドラマになりました。まさに映画1本分に相当するボリュームに。

時雨沢
なんと。じゃあ劇場版にしたら面白そうですね!と、言うだけは言っておきます(笑)。思いついたことは言っていくスタイル。

大森
今回みたいに言霊ってありますから。そういうのが大事だと思います(笑)。
《小松良介》
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