「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー | アニメ!アニメ!

「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー

声優・俳優養成機関「ヤオヨロズボイスラボ」より長崎行男所長と福原慶匤氏にインタビュー。アニメ業界の最先端で活躍しているふたりに、声優という仕事の本質とは何か? 何を押さえていれば”プロの声優”と呼べるのか?。

インタビュー
「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー
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“声優”といえば、ひと昔前は単にアニメや外画、ナレーションなどを声で演じる職業を意味していた。しかし現在声優の仕事は、歌手活動やライブ、ダンスパフォーマンス、タレント的なものなども含む非常に幅の広いものになっている。声優の仕事が多様化していくなか、今後声優に求められる資質やスキルは一体何なのだろうか。
そこで今回、声優・俳優養成機関「ヤオヨロズボイスラボ」より講師として彼らを育成・輩出する立場にある長崎行男氏と福原慶匤氏にインタビューを行った。

長崎氏は、音響監督として近年では『ラブライブ!』シリーズや『KING OF PRISM』シリーズに参加。近年の歌や声優が魅力のアニメ作品には欠かせない人物である。2018年2月からはヤオヨロズボイスラボの所長として声優の教育に注力している。
一方福原氏はアニメ『けものフレンズ』や『ラブ米』を生み出したアニメ制作スタジオ・ヤオヨロズのプロデューサーであり、声優俳優養成機関・ヤオヨロズ ボイスラボを運営する企業・S-TAR7(エスターセブン)の代表取締役社長でもある。アニメと声優の最前線で指揮を執る気鋭のプロデューサーだ。

アニメ業界の最先端で活躍しているふたりに、声優という仕事の本質とは何か? 何を押さえていれば”プロの声優”と呼べるのか? ヤオヨロズボイスラボで重視する声優の資質について、忌憚なく語ってもらった。
[取材・構成=いしじまえいわ]

■アイドルも憧れるようになった「声優」という仕事

――現在の声優というお仕事について、お感じになっていることをそれぞれ教えてください。

長崎行男所長(以下、長崎所長)
自分の携わる作品を含めて、イベントに出て歌を披露する、踊りを踊るなど、声を使って演じるだけでなく、声優さん自身が顔を出して行う活動が非常に増えています。それに伴って、声優を志す人にとってもそちらの方がメインになりつつあるように感じます。

福原慶匤プロデューサー(以下、福原P)
私の場合、アニメ業界に入ってきたのがちょうど声優の活動が幅広いものに変わりつつある頃でした。ですのであまり「声優とはこういうものだ」ととらわれず、自分の作品では役者さんの個性を前に出すようにしていました。
ただ、当時はまだ声優事務所の方に「それは声優の仕事ではないのでは?」と言われ説明に苦慮することも多く、そこで「ああ、業界には声優とは声でのみ演じるものだという確たる概念があるのだな」と感じました。

――声優という仕事を変化する前から知っている長崎所長と、変化した頃にアニメ業界に参入した福原プロデューサー、それぞれの見え方の違いが興味深いですね。

長崎所長
そういった変化って、実はアニメ雑誌から起こったものなんですよ。

――それはどういうことですか?

長崎所長
アニメ雑誌で人気だった声優特集をスピンオフする形で、1990年代半ばから2000年代初期にかけて声優さんを表紙に据えた別冊を出したところ、これが売れたんですね。そういった声優誌・グラビア誌の人気にアニメの企画側が追従した結果起こったのが、声優の仕事の拡大だと思います。


――ある意味、アニメファンの期待に沿った形で変化してきた、ということでしょうか。

長崎所長
はい。声優志望者も最近は声の演技だけでなくライブ活動などもやりたい、むしろそっちの方がやりたいと変わってきていますが、彼らも元はアニメファンだったわけですから、現在の声優の志向の変化もアニメファンの好みの変化に伴って生じたものだと思います。
アニメーターの育成をしていたアニメ専門学校も、今は声優科を併設しているところが多いようです。

――そういった変遷の中で、音響監督やプロデューサーという声優さんと仕事を共にする立場として、声優さんに求めるものに変化はありますか?

長崎所長
元々声優という仕事は、舞台役者の仕事のひとつとして派生したものでした。そのため昔の声優の修業の場は舞台の稽古でしたし、”役を演じる”ということが根本にありました。

――声優の根本は“役を演じる”ということですが、そういった意識は現在の声優さんはいかがですか?

長崎所長
昔と現在で大きく変わったことのひとつですが、今の声優は役を演じているわけではなく、自分の顔を出して活動しているという意識が強い。演技という重要な要素が抜け落ちているように思います。
15年くらい前までは「演技や芝居に携わりたい役者志望だけど容姿に自信がない」という人が声優を志すケースが多かったのですが、今は歌って踊って綺麗な服を着て……つまりアイドル活動がしたいから声優になりたい、という人がほとんどです。

――アイドル活動をしたい人が、何故アイドルではなく声優を目指すのでしょう?

福原P
今、1人で武道館をいっぱいにできる仕事って、むしろアイドルではなく声優なんです。アイドルは5人から10人のグループの場合が多いですが、アイドルになった上でそこからソロデビューするより、声優として人気が出て歌手活動、という流れの方が、歌手としての特急券を掴んでる感じはありますよね。

長崎所長
実際、現在トップクラスの人気を誇るアイドルグループの中にも、「声優になりたい!」と言っている人はいますからね。

■あらゆるものが求められる、今一番大変なのが「声優」

――アイドルと声優という観点で、両者に技術力の違いはありますか?

長崎所長
声優には声の演技という独特な技術が必要ですが、アイドルには通常それがありません。一方、アイドルには本人が持っている存在感というかオーラがあり、これはやはりすごい。もしアイドルが現場で声優の技術を獲得したとしたら、今の声優が顔出しを求められていることを加味して考えると、多くの声優は太刀打ちできなくなるでしょう。
ではアイドルはそのオーラをどうやって培っているかというと、芸能プロダクションのマネージャーの存在が大きいんですね。アイドルひとりひとりにマネージャーがついて、日頃からアイドルの見え方、立ち居振る舞い、これを学んだ方がいい、こうした方がいいなど事細かくプロデュースし、それがオーラの基礎になっているんです。
一方声優事務所では、マネージャーひとりが複数の声優を担当するケースがほとんどですので、マンツーマンでの指導はできないんです。
学校教育も同じで、声優の専門学校や養成所も多くの場合マスなんです。1クラス30人や40人になると、平均的な能力を求め突出した人や変な人を排除する、いわゆる普通の学校教育と同じ指導しかできません。でも、芸能活動ってそうではないんですよね。変な人で良いんです。個性を伸ばさないとダメなんです。
ただ、今はYouTuberやSHOWROOMなどで自分の個性を発揮している人はいますし、どちらも如実に数字が出ますから、何をどうすればいいんだろう? と試行錯誤して自分で自分をプロデュースできる人にとってはいい時代だと思います。


福原P
声の演技ができるだけでなく、歌って踊れてルックスも良くて個性があって、さらにセルフプロデュースもできないといけないと考えると、今芸能界で一番大変なのは声優なんじゃないかと思います。
《いしじまえいわ》
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