「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー 2ページ目 | アニメ!アニメ!

「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー

声優・俳優養成機関「ヤオヨロズボイスラボ」より長崎行男所長と福原慶匤氏にインタビュー。アニメ業界の最先端で活躍しているふたりに、声優という仕事の本質とは何か? 何を押さえていれば”プロの声優”と呼べるのか?。

インタビュー
PR
注目記事
「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー
  • 「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー
  • 「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー
  • 「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー
  • 「声優の多様化、そこで求められるのは“研究”の資質」ヤオヨロズボイスラボ長崎所長×福原Pインタビュー
■「ラボ」である意味

――芸能プロダクションと声優専門学校の特徴の違いについてうかがいましたが、ヤオヨロズボイスラボはどっちなんでしょう?

福原P
大きく言うと両方ですね。具体的には、1クラスの人数は15人までにしています。それ以上になると極端な話1人1分ずつ喋ったら授業が終わってしまうので、十分なレッスンができません。
あと、僕は声優も役者の表現のひとつと考えていて、ミュージカルもやる、落語もやる、狂言もやる、その中に声優もあるという考え方です。ですので入所の際の面接でもそういった隣接する表現にも興味がある人かどうかを見ています。
たとえば絵を描く人であれば、アナログ絵にもデジタル絵にもCGにも興味を持ちますし、それらを通じて表現の歴史を振り返ったり「原点って何だろう?」と考えたりしますよね。それと同じで、これだけ声優の仕事が広がり応用力が求められているのに隣接する他の表現に好奇心が向かない人は、おいおい厳しいことになると僕は思います。


――ヤオヨロズボイスラボの特色についてもう少し教えてください。

福原P
現場のプロの空気を感じてもらうことを大事にしています。ラボの子には全員僕の連絡先を教えていて、頑張っている子はアフレコ現場や業界交流会など誘える機会があれば積極的に声をかけるようにしています。プロの仕事や立ち居振る舞いを見て同じ空気を吸って、そこからも学んでほしいからです。

長崎所長
ラボとは研究所という意味ですから、勉強ではなく研究したい人に来てもらいたいんです。
声優に求められる演技は時代とともに変化しているので、人気と技術がある声優は、常に新しい表現を探求して一緒に作品を作るという意思のある人なんです。
私は音響監督として「こう演技してください」と声優さんに指示しますが、20代前半くらいの若い方でも「私はこの台本をこう解釈して演じたんです」と自分の考えをガンガンぶつけてくるんですね。それで私も毎日考えさせられています。
それがプロだという事なので、そういう意識を育てないといけないと思っています。裏を返すと、学校なんだから教えてくれよ、というスタンスの人はプロにはなれないと思います。

福原P
勉強と研究の違いは大きいですね。既にあるものを学ぶのが勉強で今ないものを探求するのが研究だとすると、エンターテインメントの最前線にいる人には答えが用意されているわけではないので、研究するしかないんですよね。

長崎所長
発声や活舌って日々鍛錬しないといけないんですよ。プロになった後も、それを怠ると喉がつぶれてしまいます。ゲームの収録では1日で1000ワードくらい録る必要があるんですが、素人だと100ワードも喋れないはずです。
それを可能にするためには日々試行錯誤して、自分に合った理論や呼吸法を見つけていくしかないんです。これもつまり研究ですよね。

福原P
僕や長崎さんが言っていることって、ハードルが高いように感じられるかもしれませんが、プロなら普通にやっていることなんです。

■下手でも結構、執念に勝る才能なし。

――それでは最後に声優を目指す人、そして学ぶ場所としてヤオヨロズボイスラボを視野に入れている方へ向けてメッセージをお願いします。

長崎所長
役者やアイドルには見た目の良さや雰囲気といった目に見えるオーラがありますが、声優の場合は声にオーラが必要です。単に声が澄んでいるとか美しいとかではありません。しゃがれた声でも個性的であればいいんです。
ではその個性とは何かというと、朗読でも演技でも、自分の声で喋るのが好きな人に宿るものだと思います。なので、自分の声を愛し、喋るのが好きな人に向いていると言えます。
役を演じるための技術については後から学ぶことができるので、下手でも結構です。ヤオヨロズボイスラボの先生方は全員プロで層は厚いですし、声優としての基礎的な技術はもちろん全部レクチャーします。
ただその先、養成所でだけトレーニングするのか家に帰ってもトレーニングするのかは本人次第ですし、そこを分けるのは喋ることや自分の声が本当に好きかどうか? だと思います。

福原P
ヤオヨロズボイスラボにはジャストプロやクロコダイル、BloomZなど関連する事務所があり、ラボからすぐに仕事につなげることができます。「養成所だから仕事にはまだ早い!」といったような枠はありません。入所した直後でもオーディション情報はどんどん流し、能力があるのにチャンスがないということが無いようにしていますので、実力がある人にはすごく向いていると思います。実際に養成所に通いながら仕事でお金を得ている人もいます。
一方で、『不器用の一心に勝る名人なし』、『執念は才能に勝る』とも思っているので、技術はなくても本当に声優になりたいと強く思っている方、執念をもって地道な研究とトレーニングができる方もぜひ来てください。そういう方であれば、僕から見捨てることはありません。

――ありがとうございました。

《いしじまえいわ》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集