「ヒックとドラゴン3」求愛行動シーンの元ネタとなった動物とは? ディーン・デュボア監督【インタビュー】 | アニメ!アニメ!

「ヒックとドラゴン3」求愛行動シーンの元ネタとなった動物とは? ディーン・デュボア監督【インタビュー】

ドリームワークス・アニメーションの最新映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』が12月20日より公開される。

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映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
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ドリームワークス・アニメーションの最新映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』が12月20日より公開される。

2010年の『ヒックとドラゴン』が世界中で大ヒットし、アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネート、続く2014年の続編『ヒックとドラゴン2』も世界的ヒットを記録し同賞に2作連続ノミネートの快挙を達成。
待望のシリーズ最新作である本作も、アカデミー賞ノミネートの期待が高まっている。1作目は、日本のアニメファンの間でも高い評価を獲得したものの、2作目は残念ながら劇場公開が見送られた。その分、本作に期待を高めている人も多いだろう。

人間とドラゴン、種族の異なる者同士が心を通い合わせ、共存していくことの素晴らしさを描き続けた本シリーズをどんな想いで作り続けてきたのか、シリーズを通して監督を務めたディーン・デュボア氏に話を聞いた。

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

ほろ苦い成長譚を描く理由


『ヒックとドラゴン』は落ちこぼれのバイキング、ヒックが伝説のドラゴン「フューリー」のトゥースと出会い、敵対関係にあった人間とドラゴンが心を通わせることができると証明し、成長していく物語だ。
やがて、ヒックは様々な困難に直面しながらも成長し、バイキングの長となる。王道の少年の成長物語だが、前作も前々作も、勝利を勝ち得ながらも、ヒックは何かを失い、ほろ苦さの残る結末になっている。

大筋ではハッピーエンドであるものの、少年が経験することとしては、なかなかにシビアなものだ。デュボア監督はなぜ、このようなほろ苦さを残す物語を作ろうとしたのだろうか。

「シンプルなハッピーエンドも気持ちがいいものですが、私にとっての魅力的な物語とは、人が何かを決意し、行動し、成長しながら、その代償を支払わなければならないようなタイプのものです。私たちの人生ってそういうものだと思いませんか? そういうリアルな人生を感じさせる物語の方が観客の心に響くと思っているんです」

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
1作目では落ちこぼれだったヒックは、今作では立派なバイキングのリーダーとして振る舞い、頼もしさを感じさせる。
3作一貫して、少年ヒックが成長していく過程と「人間とドラゴンの共存」というテーマを描き続けた本シリーズも、完結編にあたる本作でそれらのテーマもひとつの決着を迎える。

「この3部作を通じて、物語の中心となったのは、主人公ヒックと相棒のドラゴン、トゥースとの関係性です。最初は自分に自信が持てず、価値を見いだせなかったヒックが、トゥースとの出会いを通じて自分らしさを発見していきました。今回は、改めてヒックとトゥースの関係性をさらに前に進めるために、避けて通れないことを描いています」

本作ではヒックだけでなく、トゥースにも成長の跡が感じられる。

「トゥースも一緒に成長して、個性も出てくるし、賢くなって意見もするようになります。スクリーンに登場する時間も過去2作よりも多くなっています。今回は、野生の本能とヒックとの友情とで揺れ動くトゥースの物語でもあります」

デュボア監督は、トゥースの成長を描くためにはアニメーターの成長も欠かせなかったという。1作目の製作時よりもアニメーターたちがトゥースのキャラクターをより深く理解しているため、キャラクターの動きにもそれが反映されてる。

「アニメーターもずっとトゥースを動かし続けてきましたから、2010年の時よりもキャラクターへの理解が深くなって、その分、トゥースも多彩な動きをするようになった。技術的な向上も大切ですが、トゥースの様々な感情をより表現できるようになったのは、アニメーターの能力の向上とキャラクターへの理解の深まりによるところが大きいです」

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

未知の生物ドラゴンの求愛行動をどう作り上げた?


今作のアニメーションとしての大きな見せ場の一つは、トゥースがメスの「ライトフューリー」と愛を伝え合うシーンだ。ドラゴン同士による、セリフを用いずアニメーションによる動きだけで感情を見事に伝えている非常に美しいシーンとなっている。

しかし、ドラゴンという未知の生物の求愛行動をどう作り上げたのか気になるところだ。デュボア監督は、複数の動物の「ユニークな求愛行動を織り交ぜた」と語る。

「まず、1作目のヒックとトゥースが初めて出会うシーンと似たようなシーンを今作に盛り込みたいと考えていました。かつてヒックは野生の存在だったトゥースと出会ったわけですが、今回はトゥースが野生のライトフューリーと出会うわけです。このシーンのために野生動物をたくさん研究しました。鳥類、トカゲなどの爬虫類、蜘蛛など、いろいろな生物の求愛行動を調べて、一番笑えるものを厳選して参照しました。トゥースがピョンピョン跳ねたりしているのは蜘蛛の動きを参考にしています。それから頭を出したり引っ込めたりしているのは、鳥でそういう行動をする種がいたので、それを参考にしています」

ファーストコンタクトのやり方に悩むトゥースは、ぎこちなくも一生懸命でとても可愛らしい。アニメーションの創造力がいかんなく発揮されているシーンなので、劇場で是非隅々まで見てもらいたい。動きの元ネタになった動物たちを調べてみるのも、楽しみ方の一つになりそうだ。

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

実写の撮影監督がもたらしたもの


3DCGで制作された本シリーズは、リアルな背景と真に迫ったライティングによって、まるで現実かと見紛うほどのリアリティで没入感を高めてくれる。揺らめく炎がまるで本物のように思えるが、これは何十億という照射角を計算して、現実世界で光がたどる道に基づきライティングを計算して作っているそうだ。デュボア監督は、「この世界にかつて本当にドラゴンがいたのではないかと信じてもらいたい」ためにリアリティには徹底してこだわっている。

「たんに写実的というだけでなく、物理法則も現実同様であるべきだと考えています。飛行中にドラゴンの背中から落ちたら死ぬし、建物が火で燃えれば消失してしまう世界として、この世界を作り上げています。そういう世界でこそ、ヒックのヒロイズムも輝くと思うんです。そのために、私達はロジャー・ディーキンスという実写映画の名撮影監督に参加してもらっているんです」

ロジャー・ディーキンスは、アカデミー撮影賞に14度ノミネートされている、ハリウッドを代表する撮影監督だ。彼が本シリーズに「自然光や洗練されたカメラワークを持ち込んでくれた」とデュボア監督は言う。そんなディーキンスの一番の助言は「抑制」することだったそうだ。

「アニメーションはありとあらゆることが可能な世界です。現実にはありえないカメラワークもダイナミックな構図も作ろうと思えばなんだって作れます。もちろん、アニメーションならではの自由を活かした素晴らしい作品もたくさんありますが、私たちは、もっと地に足のついた、物理的にも正確な世界を作りたかったので、そのためには彼の感性が必要でした。ロジャーは、絵コンテを見て『このカットは誰の視点を反映しているのか』とか『このカットは物語にとって必要か、それともただ見せびらかせたいだけなのか』など的確な助言を常に与えてくれました。この映画は、まるで実写のカメラマンが撮影したかのような作品に仕上がっているはずです。1作目の製作中に、スティーブン・スピルバーグがスタジオに遊びにきて『まるで実写映画のようなカメラだね』と褒められたこともあるんですよ」

キャラクターの動きも、カメラワークも光も物理法則にのっとり、あらゆる手を尽くしてドラゴンのいるファンタジーな世界にリアリティを与えている。
映像も、ほろ苦い物語も、まるで現実の人生のようだと感じられ、だからこそ本作は日本でも多くの観客の心を打つだろう。
《杉本穂高》

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