■キャラクターと世界観を使って「攻める」――本作はゲームとは異なる完全オリジナルストーリーになると聞きました。ゲームとアニメの相関性についてはどのように考えていますか?大澤スマホゲーム原作のアニメを手がけるのは、『スクールガールストライカーズ』以来となりますが、やっぱり誰に向けてアニメを作るか? というのは難しいんですよね。ただ、当たり前ですけどメディアミックスの大きな目的は、原作とメディア作品のそれぞれでファンを生み出していくことが大事ですから、原作のストーリーをなぞるだけの閉じたコンテンツにするのではなく、松田さんと相談しながらオリジナルストーリーをやろう、と構成の段階で話しました。松田そうですね。キャラクターや世界観はゲームと同じですが、本筋とはほとんど関係ないです(笑)。大澤よくハピエレさんが許してくれたなあっていう。普通だったら怒られますよ(笑)。松田僕も最初から原作をやるつもりなんて一切なかったんです。極端に言えば、既存のファンは自分の好きなキャラクターと世界観がアニメになるだけで、きっと喜んでくれると思っていて。ゲームではもう第9章まで物語が進んでいるのですが、ファンはアニメで同じストーリーをなぞられても驚きや感動がどうしても薄くなってしまいます。だったらみんなが親しんでくれるキャラクターや世界観と、アニメでしか表現できない演出を使って、毎話楽しみしてくれるようなシナリオを追求しようと思っていました。この点に関しては僕と大澤さん、J.C.STAFFのプロデューサーを務める松倉(友二)さんの3人で価値観が共通していたので迷いはなかったですね。――オリジナルエピソードと言っても、その方向性は色々あると思いますが、今作ではどのような感じになりますか?松田ノリはゲームとも似ていたりします。元々ゲームについてもそこまでシビアなファンタジーではなく、メタ要素などもあったりと攻めている部分があるのですが、アニメではより強くそれが出ているかもしれません。大澤中二感もありますよね。松田そうですね。だから今回のアニメでも、台本にほとんどNGを出してないと思います。大澤むしろ松田さんに煽られますからね。「もっとやれ!」って(笑)。――そうなんですか(笑)。松田どうせだったら面白くしましょうよ、と(笑)。ラスピリチームのコンセプトがすでにそうなんですけど、今作は「攻める」をコンセプトにしているんです。だから、みんなと打ち合わせしてる時も、「これ大丈夫?」「いいじゃんやろうよ!」みたいな感じで。大澤まあネタバレになっちゃうから具体的には言えないですけど、現場のみんなの倫理観がゆるすぎるのかなって思っちゃうくらい(笑)。ものすごいギリギリのラインを攻めていると思います。――すごく内容が気になってきますね。ヒントだけでも。大澤えーっと、性的な表現や差別的な表現は一切してないですね。松田ここは嘘でも何か言っておいた方が良いんじゃないですか?大澤じゃあ『血界戦線』ぐらいの攻めっぷりということで……。――(笑)。大澤まあそれは冗談ですけど(笑)、なかなか類似作品がないくらい珍しいアニメになったと思います。メタやパロディなど、色々といじり倒していますから。松田そうですね。特徴としては、このチームだけではなく、自分が今までお世話になった方々にも協力していただいて出来上がった作品です。色々な方に許可を取りながらというか、気を遣いながらというか。――それってつまり、ゲーム内であったコラボもネタになるということですか?松田まあまあ、それぐらい攻めながら作った作品なので、ぜひ楽しみにしてもらいたいなと。大澤でも、『ハピエレ』のファンのみなさんってすごく悪ノリに対する耐性が強いですよね。ビックリしました。松田そうなんですよ。今回でいきなり攻めてるわけじゃなくて、今までもゲーム内や生放送などイベントでもけっこう無茶苦茶やってきてるので(笑)。それをユーザーさんはずっと経験しているから、受け入れてくれる土台ができているのかなと思います。大澤コール(ゲーム内のいわゆるガチャ要素)にもアニメ演出のひとつとして普通に出てきますからね。荒れないのかなって不安になります(笑)。松田普通はやっぱり原作に愛着があるので、「アニメになって絵が違う」とか「このキャラクターはこんな性格じゃない」とか、色々と怒られるケースもあると思うんですけど、僕ら自身が楽しみながら作っているのを理解してくださってるのかなって。すごくファンに恵まれている作品だと思っています。
生成AIの急激な進歩はアニメにどのような影響を与えるか?『シドニアの騎士』瀬下寛之監督×アニメチェーン設立者が描くクリエイティブの未来【対談】 2024.4.17 Wed 17:00 急速な発展が、様々な議論と話題を呼ぶ生成AI。エンターテイン…