本作の放送開始に先がけて、アニメ!アニメ!では、マーベル・エンターテイメント社のバイスプレジデント、C.B.セブルスキー氏にメールインタビューを敢行。本作の見どころからマーベルならではのヒーロー観、さらにご本人も大好きだという“日本のアニメ”の魅力など幅広く話をうかがった。
『マーベル フューチャー・アベンジャーズ』
10/27(金)15:00よりディズニーXDにて放送開始
毎週金曜 15:00~
>>公式サイト
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――2014年の『マーベル ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』以来、3年ぶりの日本オリジナルアニメという事ですが、どういった流れで企画が立ち上がったのでしょうか?
C.B.セブルスキー
プロセス自体は自然な流れでした。『マーベル ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』は日本で成功を収めて、多くの視聴者の皆さまに楽しんでいただけました。メインのターゲット層となる子どもたちだけではなく、マーベルのコアファンにも受け入れてもらえたので、とても嬉しく思っています。どのような結果になるのかは誰にも分からなくて、事前にいろんな予想をしていましたが、放送開始後にファンの反応を見て、とても安心しました。また、作品作りにおいて脚本家やアニメーターといったクリエイターの皆さんが素晴らしい情熱とマーベル作品への愛情を注入されていたのが分かりました。だから、新しいシリーズの制作を決定したのです。
――前作から3年がたち、日本市場を見て大きくかわったと思うところはどこでしょうか?
C.B.セブルスキー
もっとも大きな変化はマーベルファン層の拡大です。子どもたちはもちろんのこと、男性と女性のマーベルファンも増えて、特にたくさんの女性ファン、「マーベル女子」が増えましたね。来日した際に街に出ると、キャプテン・アメリカのシールドやアイアンマンのリアクターがデザインされたグッズの数々をよく目にするので、マーベルの認知度が上がったことを実感でき、本当に喜ばしい事だと思います。
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――今回は、マッドハウスさんの制作です。彼らをパートナーとして選んだ理由を教えてください。
C.B.セブルスキー
理由は、とても簡単です。マッドハウス社は評価の高いアニメ制作会社ですし、私個人も『獣兵衛忍風帖』の時からファンだったので、プロデューサーたちから「制作会社はマッドハウスに決まった」と言われた時、とても驚きました。過去に、お仕事をしたことがあったのですが、毎週オンエアされる作品をまた一緒に作れるのは本当に光栄でした。
――日米でマーベルのアニメを制作するにあたり、一番の違い、というのはどこなのでしょうか?
C.B.セブルスキー
日本とアメリカの一番の違いは、日本では制作プロセスが早いことです。ストーリーの要である脚本は初稿からレビューをしながら何稿も重ね、絵コンテや作画、仕上げの作業など、日本はアメリカの2倍以上のスピードです。それはすばらしい事ですね。
――今回のキー・キャラクターは、悪の遺伝子操作によって創り出された超人的能力を持つ少年たちです。少年たちがパワーを持つことが、前作との大きな違いと感じていますが、その理由を教えてください。
C.B.セブルスキーマーベルならではのことです。『マーベル ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』の時に、視聴者から“なぜ子供たちにパワーがないのか”“いつなら子供たちがヒーローになるのか”といった質問が多かったので、前作にあったディスクのような武器からパワーをもらうのではなく、完全なマーベルスタイルで、子供たちにスーパーパワーを与えました。
――キャプテン・アメリカやアイアンマンなど、お馴染みのヒーローが登場します。彼らは本作ではどのような活躍を見せますか?
C.B.セブルスキー
タイトルの通り、アベンジャーズのヒーローたちが登場します。役割としては、アベンジャーズに弟子入りした少年たちの師匠になる。ネタバレしたくないのですが、ある時点で子供たちはとても脆弱になり、正しいことと間違ったこと、良いことと悪いことを見分けなくてはなりません。そこで、ヒーローたちは少年たちの案内役となり、スーパーパワーを持つ責任を理解してもらい、正しい使い方を指導する。そして、新しいヒーローの一人としてどれほど全世界に影響を与えるのかを知ることになるのです。
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――マーベルがこの番組を通して、日本の子供たちに伝えていきたいことは何なのでしょうか。
C.B.セブルスキー
マーベルは当初から、スーパーヒーローそのものではなく、“ヒーロー”という概念について重点を置いてきました。例えば、スパイダーマンでは、主人公のピーター・パーカーのことを描きますし、アイアンマンでは、主人公のトニー・スタークについて描きます。スーパーパワーとコスチュームはあくまでもヒーローになる時に身に着ける物だけであって、ストーリーのキーになるのは人間の心です。コミックとアニメで子供たちに教えたいのは、“アメリカ、日本、南米どこに住んでいても構わない、誰の中にもヒーローが存在するし、スーパーパワーやコスチュームを持っていなくても、毎日小さな良いことをしてもヒーローになれる”ということ。それが読者や視聴者に伝えたいメッセージです。
――子供のころ日本のアニメをよくご覧になっていたそうですが、とくにお好きだった作品は? また日本のアニメのどんなところに魅力を感じますか?
C.B.セブルスキー
私は、アニメと一緒に育ちました。『ジャングル大帝』や『マッハGoGoGo』が好きでしたね。“オタク”レベルまで熱中したのは『マクロス』で、そこからエンターテインメント業界で働きたいと思って、今日に至りました。コミックと同様、アニメの中のキャラクターの人間性に惹かれました。アニメの中で、主人公はロボットに乗り込んで操縦するけど、それよりも主人公の物語、家族がいたり、ラブストーリーがあったり、ちょうどいいバランスを作り出せるのがアニメだと思います。アメリカのアニメは大体30分ぐらいで子供向けですが、日本のアニメは主人公にストーリー性があり、すごく洗練されたものだと私はいつも感じています。
――ご自身が手がけられる作品において、日本のアニメからインスパイアされたものはありますか?
C.B.セブルスキー
コミックの編集者時代には日本のアニメの影響を受けて、ストーリー、世界観作りをしました。例えば『AKIRA』や『エヴァンゲリオン』。本当に日本のライターやアーティストと一緒に働きたかったです。マーベルに入社した時の一つの仕事は、日本の漫画とアニメのライターやアーティストをマーベル作品のクリエイターとして採用することでした。
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――世界的には3Dアニメが主流となりつつありますが、マーベルヒーローを3Dではなく2Dで描くこだわりは?
C.B.セブルスキー
マーベルにとって、2Dでアニメを制作するという歴史があり、一番得意な分野でもあります。ディズニーの傘下に入り、ピクサーが作る3D作品の素晴らしさももちろん感じていますが、私たちは、2Dの作品に専念しています。
――最後に、あらためて本作の注目ポイントを教えてください。
C.B.セブルスキー
スーパーパワーを持った少年たちがアベンジャーズと力を合わせて凶悪ヴィランの企てる最大の危機から世界を救うストーリーです。それから、ゲストとして続々登場するマーベルヒーローと悪役キャラクターにもワクワクしてください!
『マーベル フューチャー・アベンジャーズ』
(C)2017 MARVEL