主人公・古代進を演じている声優の小野大輔に単独インタビュー。「第二章こそヤマトの本当の旅立ち」と、古代同様に覚悟を決めた様子だ。
[取材・構成=大曲智子]
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第二章 発進篇
http://yamato2202.net/
2017年 6月24日(土)より期間限定劇場上映
■「発進するときの古代はすごく思い悩んでいる」
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小野大輔(以下、小野)
「発進篇」というタイトル通り、ヤマトの本当の意味での出発、発進というのがこの章の大きな出来事になるんですけど。第一章は、なぜこの艦に乗らなければいけないのかというそもそもの気持ちの表明や、ヤマトのクルーたち、ガミラス、ガトランティスの顔見せだったと思うんです。なのでこの第二章が本当の旅立ちであり、過酷な状況に足を踏み入れる瞬間。これからとても大変な試練が待っているという緊張感に満ち溢れたお話にもなっていると思います
ーーしかし発進する段階からいきなり波瀾万丈。ヤマトの宿命を感じますね。
小野
『宇宙戦艦ヤマト』という作品自体を知らない人が見たら、発進にポジティブな印象を受けるかもしれないけど、発進するだけでこれほどドラマやカタルシスが生まれるなんてって思いますよね。まだ発進する段階なのにここまで重厚なストーリーだと、この先さらに大きな試練が待っているかと思うと辛いですよね。古代を演じる身としても先が思いやられるます。アンチテーゼ的に言うと、ヤマトが発進するということが理屈抜きにものすごいパワーを持っている。まさに推進力を持って作品そのものを進めてくれるエピソード。やっとこの第二章で、テレザートに行ってテレザに会いに行くんだという覚悟が僕自身もできた。ヤマトに乗る決心ができたような気がしています。
ーー古代が言う「ここがヤマトだからだ」というセリフも意味深に聞こえました。
小野
「理屈じゃないんだ」ってことですね。それをちゃんと理論立てて、先のことをちゃんとおもんばかって、「いったん立ち止まってみようよ」と言ってくれるのが島大介。そして健気にずっと古代を見守ってくれるのが森雪です。古代ひとりだったらここまでのドラマは生まれてなかったじゃないかなと思います。「ええいままよ」と行ってしまうだけだったでしょうね。
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ーー周りにおだてられて乗るわけでもない。古代ならではの、乗るための確固たる理由があるようですね。
小野
古代が見た幻は、沖田艦長でした。艦長であり家長のような存在。その沖田さんが乗れと言っているわけです。古代にとってヤマト自体がひとつの大きな家族なのかなって思いました。
ーーとはいえ、見ている方としては、古代の気持ちは簡単には理解しがたいものです。演じた小野さんは、古代の気持ちをどのように作っていきましたか?
小野
僕は、先に何が起こるかは、あまり聞きすぎないようにしていて。その時点で起こっていること、なぜこういう考えになるのかっていうのは、常に吉田(知弘)音響監督には聞きますし、深い話ならシリーズ構成の福井晴敏さんや羽原(信義)監督に「これはどういう意味ですか」とお伺いするようにしていますけど。第二章の古代って実はすごく内省的なんですよね。内に秘めているものがあって、すごく思い悩んでいる。それを見ていると、自分と重なる部分がいっぱいあるんです。すごく気持ちがわかるんですよ。
ーー古代の状況が小野さん自身と重なるのですか。
小野
ヤマトが宇宙に行くということは、地球や自分の周囲の状況が平和な日常ではなくなるということ。その決断を本当にしていいのかって古代は悩んでいるんだけど、自分の恩人である艦長から、これはお前の使命なんだと託される。古代は使命感があるからやっぱり乗らなきゃって思うんですよね。下と上に挟まれ、自分と同じ世代もたくさんいて、いろんなところから期待をかけられている。そして決断を迫られているっていう状況が、なんかすごくよくわかるんです。現代に即した『ヤマト』を作っているわけなので、今の中間管理職の方とかはわかるんじゃないかなって。僕と同じ、39歳ぐらいの世代の方々も、古代がなぜ悩むのかがわかると思うんです。でもどこかで決断しなくちゃいけないんですよね。正直、ちょっと周りはずるいなと思いますもん。決断を古代に託すんだから。
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ーーそうですね。決定を下すのは古代だけ。
小野
実は決めてくれる人ってそんなにいなくて、古代はその都度決断をする。決めたら決めたで、それを後からとやかく言われるわけですよ。あの時なんであんなこと言ったんだとか言われたら、それ俺だけのせいなの? って言いたくもなりますよね(笑)。でも古代はそんなことは言わず、全部背中に背負っちゃう。僕も仕事をしていて、いっぱいいっぱいなんだけど、どうしてもやらなきゃいけない、決断を迫られる時があるのでよくわかるなぁって(笑)。
ーー引き受けるとつらくなることも、経験上わかっているし(笑)。
小野
古代が置かれている艦長代理という立ち位置は、僕もすごく共感できるところがあるんです。古代は、自分の実体験や積み重ねてきたものをちゃんと活かせる人だなぁと思ったし、実はそれが演じていてすごく楽しい。やりがいを感じています
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