5月7日、東京・渋谷のプーク人形劇場にて、アニメ『風のように』の完成披露トークイベントが開催された。『風のように』は、『あしたのジョー』などを生んだマンガ家・ちばてつやが1969年に「週刊少女フレンド」に掲載した短編マンガだ。今回のアニメ化に際して、制作資金の一部をクラウドファンディングで募ると、予定額の1.5倍を越える300万円以上を集めた。完成を記念して行われたトークイベントには、クラウドファンディングでコレクターになってファンを招待。壇上にはちばのほか、村上もとか、石川サブロウ、川三番地といった、ちばとゆかりのあるマンガ家が集結し、作品に対する思いを語った。まず口を開いた石川は、アニメを見た感想として「感無量です」とコメント。石川にとって『風のように』は、高校のときに出会ったマンガで、「いつかこんなマンガを描きたい」と思ったことから、マンガ家を目指すことになったという。言葉の節々から、感慨の深さが伺えた。同じく村上もちば作品の大ファンだそうで、若いころは石川と「どちらがちばてつや作品を知っているか」で競い合ったほどだという。『風のように』のアニメについては、マンガでは実現しなかったアニメならではの表現にも言及。そのうえで「自分ならどんな演出にするか」という作家らしい話題も披露した。『風のように』では、豊かな自然と田舎の風景が描かれている点も、大きな特徴のひとつだ。そこに注目したのは、かつてちばのアシスタントとして作品に触れてきた川だ。川は「僕の地元ととても似ていました」と話すと、ヒロインのチヨについては「僕の村にはあんなかわいい子はいませんでした」と述べ、会場を笑いで包んだ。最後にちばは、クラウドファンディングで投資してくれたファンを前に「なんだか皆さんに借金している気分です」と冗談交じりに話し笑顔にさせると、「アニメが実現したのは皆さんのおかげです」と感謝の気持ちも表した。また、アニメを見た感想を聞かれると、「カラーで新しい世界をもう一度見させてもらいました」「田舎の風景からは、若いころを思い出します」など思いを巡らせていた。その後も、ちば作品への熱い思いや、マンガを描くときのこだわりなど、この4人にしか話せない話題が次々と飛び出す。するとトークは、いろいろな作品が作られる時代で、良いものが埋もれてしまう、という話題に移っていく。ここでちばは、先日の熊本地震の際、森田拳次の応援イラストが、自分のブログから日本中に拡散、応援イラストを描く動きにつながったエピソードを披露。ちばは「インターネットでの何気ない一言が、作品を広めるきっかけになるのでは」との見解を示していた。さらに会場では、エンディングテーマを担当した松本佳奈も駆けつけ歌声を披露すると、ちばらマンガ家4人のサイン色紙をかけたじゃんけん大会まで行われた。じゃんけん大会ではちば自信がじゃんけんの相手となり、さらに自らの手でサイン色紙を渡すなど、ファンとの交流も楽しんでいる様子だった。アニメ『風のように』は、2016年7月9日より下北沢トリウッドでの公開を予定している。タイムテーブル・料金などの詳細は今後発表していくとのこと。
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