日本と中国企業のコンテンツ関連ビジネスの代表によるパネルディスカッションが11月6日(金)に東京ミッドタウンカンファレンスにて開催された。急成長する中国企業Happy Elements主催の「HappyElements 日中デジタルエンターテイメントサミット」である。第2部では日本と中国の代表がパネルディスカッションを開催、両国のエンターテイメント業界におけるエグゼクティブの貴重な意見が交わされた。「コンテンツ制作における日本と中国の違い、日本の制作会社が中国に展開する方法」と銘打たれたパネルディスカッションでは、モデレーターをHappy Elements Asia Pacific 株式会社 代表取締役 頼嘉満氏が務めた。Ultra Super Picturesプロデューサーの平澤直氏、コルク代表取締役社長の佐渡島庸平氏、テイ・コミュニケーションズ代表取締役の松田吉史氏、絵夢動画CEOのリー・ハオリン監督、Sunflowers動画CEOのジャン・ジイ氏の計5名がパネラーとして招かれた。日本の制作会社が中国に展開する際、まず注意すべき心得は?との質問に答えたのはハオリン監督だ。日本と違い中国はまだアニメ制作のためのワークフローが業界で統一化されていないという。これに対して、日本での制作フローを広げることが可能だという。またIPを中国に適するようにローカライズすることも重要と語った。中国に展開するにあたって、コンテンツをローカライズする必要はあるのだろうか。文化に則した文脈に整える必要はあるとしながらも、一方で「努力」といった普遍的で本質的なテーマはローカライズする必要はない、との意見が多く聞かれた。例えばコンテンツが本来ターゲットとしている層にローカライズを通じて別の層も加えようとすれば、それは失敗に繋がることが多い、と松田氏は自らの体験から話す。佐渡島氏は中国のポテンシャルと評価する。マンガで言えば絵の技術は日本が高いかも知れないが、吸収力や伸びしろは中国の方が高いのではないかと述べた。新たに参入する立場だけに、新しいツールも抵抗なく導入できることなどが強みとなる、と続けた。ジイ氏は中国でヒットする日本のコンテンツは、美しいビジュアルと共感を呼ぶストーリー構成を持っていると語る。ハオリン監督は、「より中国に浸透させるためには、一人っ子政策や家族構成など、中国文化を取り入れていく必要があるのでは」と話す。佐渡島氏も、ヒットする作品作りを目指すより、生活習慣に合わせたプロモーションの仕組みを理解し、工夫していくことが大切であると述べた。登壇した日本の3名はこれまでにも日中でのビジネスの経験があり、今後の取り組みのアドバイスを最後に話した。平澤氏は「時間の感覚は日本の業界によっても違いますが、中国はとても決断が早いです。不誠実だから早いのではなく、時間の感覚が単純に早いから、ということは心得ておいた方がいいと思います」。また「経験上、歩み寄った方がメリットが多い」とも述べた。佐渡島氏と松田氏はともに「失敗」を話題に挙げ、そこから成長、成功につなげていければいいと語った。それに対し、ハオリン監督とジイ氏は「交流・協力がしたい」と強調。いい作品作りを目指したいと話した。お互いが強い興味で惹かれ合っている。その中でどういう歩み寄りが的確な着地点を生み出せるのか。粘り強いやりとりと、思い切りのいい一手。両者の思惑が結実し、制作者、企業、そしてユーザーがより多くの選択肢を得られる日が訪れることを期待したい。[細川洋平][/アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載]
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