第12回中国国際動漫節のトピックス ~杭州アニメフェスティバルを訪ねて~第4回 | アニメ!アニメ!

第12回中国国際動漫節のトピックス ~杭州アニメフェスティバルを訪ねて~第4回

連載・コラム 海外事情

IPブームに沸く中国で劇的変化を遂げつつある中国のアニメーション産業
~2016杭州アニメフェスティバルを訪ねて~ 

[増田弘道]

第12回中国国際動漫節(China International Cartoon &Animation Festival)トピック

■ 全体会場入り口

アニメフェア会場となっているのは杭州市南部にある郊外リゾート地「白馬湖」。そこは浙江省最大の不動産グループである中南集団(グループ)がデベロップしている地区で、2012年からアニメフェアをこの地に移転し、ホテルや展示場を開発してきた。
建築中の巨大な建物、ユニークなデザインの建国ホテル、赤い表示看板が見える展示場、一番右側に建築中のマンションである。最近中国で不動産バブルがはじけているといった記事を目にすることが多いが、杭州のような大都市はまだまだ不動産需要が多く建築ラッシュが続いているようである。

■ 世界最大?~動漫博物館

会場入り口左手の巨大な建築物は何だろうと思って近づくと、それは「動漫博物館」であった。2010年に一度起工式が行われたと聞くが、ようやく着工の目処が立ったのであろうか。実は中国にはこの種の博物館が幾つかあるのだが、おそらくその中でも最大級のものになるであろう。かつて話題になった「国立メディア芸術総合センター」(アニメの殿堂)を想起させるものの、こちらは民間の中南集団が建設、運営をする観光名所となるのであろう(省や市政府の関与については未調査)。
ただ気になるのは展示物。上海浦東にある「動漫博物館」がそうなのだが、権利者の許諾を得ないままの展示物が設置される可能性が高いと思われる。いずれにせよ、来年のアニメフェアまでには完成しているので楽しみがひとつ増えたのは確かである。

■ アニメツーリズムデベロッパー~中南集団

動画で見たアニメフェア会場のホテル(建国飯店)や展示場、上記動漫博物館をはじめ白馬湖のこの周辺を開発しているのが、浙江省最大の不動産企業である中南集団(グループ)。ある種アニメを軸としたツーリズム・デベロッパーと言えるかも知れないが、バブルが弾けたと言われる中国の不動産事業も大都市においてはまだまだ元気なようである。なおアニメフェア常連の中南カートゥーンは中南集団の系列会社とのこと。聞けばオーナーのご令嬢が経営しているとか。

■ 中国初イケメンキャラクター~玄機科技信息技術有限公司(STAR Q)〉

アニメーションは子どものものであるという中国においていち早く青年層に向けた『秦時名月』(2007年~)を制作したのが地元杭州の玄機科技信息技術STAR Qである。イケメンが登場するCGアニメーションであるが、大人になってもアニメーションを見続ける世代が登場した中国において支持を勝ち得て現在まで続く人気テレビシリーズとなっている。
以前本作の監督の沈楽平氏にお会いした際に、「劇場版を製作してみては」と勧めてみたことがあるが、2014年にはそれも実現し10億円ほどの興行収入を上げるヒットとなったようである。

■ 集英社作品を出版~翻翻動漫集団

翻翻動漫集団は集英社から正式なライセンスを受け(写真9)、『ワンピース』『ハイキュー!!』『黒子のバスケ』などを「漫画行」という自社雑誌で連載している杭州の出版社である。代表の沈浩氏は地元の浙江大学を卒業して九州大学に留学、その後日本の編集プロダクションに長らく勤めていたという人物。そうしたキャリアもあってか日本のマンガをライセンスするだけではなく中国人の漫画家も育てており、集英社の雑誌に時々掲載しているとのこと。
この日はちょうど中国人漫画家のサイン会をやっていたが、近々日本での活動を本格化させるとのことであった。日本のマンガを公式に広めるだけではなく、中国発のマンガにも意欲を燃やすこの会社の動きは注目に値するであろう。

■ 中国アニメ興隆の主役~ネット系出展者

中国において嵐の目となっているのがネットでの映像コンテンツ配信。4年前にはなかったネット系企業が今回多数出展していた。中国ネット最大手の一つ「優酷土豆/Youku Tudou」(アリババグループ)が展開する「土豆動漫」。中国最大級の動画投稿サイトだが、最近は写真にあるように日本のアニメを盛んに配信している。

「中国移動/China Mobile」ブース。日本で言えばNTTドコモである。日本同様モバイルでの動画視聴が急速に進んでおり、近いうちにそれが一般化するものと思われる。
最近勢いを付けてきた動画投稿サイトの「bilibili動画」。日本にも進出しコンテンツ獲得や製作出資を行っている。ロゴマークを見ても分かるように当面はニコニコ動画をキャッチアップする方策を取るのであろう。

「網易漫画/manhua.163.com」大手漫画サイトである。日本のようなマンガ分化がない中国では、逆に紙よりネットで読まれることが主流になるのではないかと思われる。
今回ネット用のドラマやアニメの買い付け、製作を積極的に行っている「騰訊視頻/テンセント」や「愛奇芸/iQIYI」など投資家の側面が強い企業の出展はなかったが、総じて動画サイトを巡る出資やM&Aの動きは活発である。
昨年8月アニメ共有サイトのAcFunは優酷土豆/Youku Tudouから5,000万ドル(約55億円)の出資を受けたが、翌9月には深セン証券上場のAlpha Animationは中国の漫画サイト有妖気を1億3,700万ドル(約150億円)で買収、11月には騰訊視頻/テンセントがbilibili動画の株式15パーセント(3050万ドル/約34億円)を取得した。*1

例によっていつ政府から規制の通達が発せられるか分からないものの、これらの企業が当分の間中国の映像コンテンツを牽引していくのは間違いないであろう。さらに言うならば、ネット系動画配信サイトのその先にはネットゲームという存在がある。ここから流れ出てくる豊富な資金が当面中国の映像制作をリードしていくことになりそうだ。

■ 日本のライセンス販売~DANDELION

こちらの会社は日本の版権元からライセンスを受けたIPを中国でセールスするエージェントである。日本のアニメ制作会社での勤務経験がある周妍氏が代表を務める日本と中国との合弁企業だが、IP時代の幕開け状況にある中国に対し、どのような成果を上げられるのか注目される。
近頃話題になりつつある東京ハイジなど子ども向けIPから栃木県のゆるキャラ「まろにえーる」といった青年層向け「萌え」作品まで幅広いキャラクターを取り扱っていた。

*1〈Forbes JAPAN「オタク人口2億人 中国で始まった「国産アニメ」制作バブル」6/1付け
http://forbesjapan.com/articles/detail/12324/1/1/1
《animeanime》
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