―20年の時を経てBlu-ray BOXが発売となります。BOXやインナージャケットは西尾さん描き下ろし。中でも注目なのはアニメ本編では見られなかった「アニメ版干支忍」が12人勢揃いしているイラストです。
西尾
温めていたものを引っ張り出して、覆面姿なので差し障りないだろうということで載せさせていただきました。当時監督に見せただけで終わっちゃいましたから(笑)。
阿部
顔が出てるものも彼はちゃんと描いてくれてて。でも当時はどうしても出せなかったんですよ。当初の構想では干支忍が揃っていって最後に大決戦、というつもりだったんです。一応「出したい」という話はしたんですけど、結果的に出せなかった。
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―お二人のお気に入りのキャラクターは誰でしょうか。
西尾
風助ですね。描いていくうちに愛着が湧いていきました。
阿部
風助言われちゃったなあ。そうそう、里穂子が毎回のように洋服が替わるのは別に発注してないんですよ。もちろんいくつか服があればいいなと思ってはいましたけど、ファッショナブルにそれを含めて作ってくれてたのがうれしかったですね。これはやりたくてもなかなかできないことなんです。
西尾
いや、描いたら描いただけ使ってもらえてたんでうれしかったですね。それに里穂子が毎回変わる分、風助たちが全員着た切り雀っていうのも対比としておもしろい。それ自体がギャグになるなって思っていましたからね。
■ 『NINKU-忍空-』で得たもの
―監督は『忍空』を手がけたことでどのような手応えを感じられたのでしょうか。
阿部
キャラクターはあるけど話自体は少ない中から、ほぼオリジナルの物語を構築するということを1年間通して勉強できたのが『忍空』でした。このくらいやるとこうなるんだという目安が、自分の中にできあがった気がします。
―それは物語の緩急の付け方ということでしょうか。
阿部
さじ加減ですかね。各話のシナリオに物語全体の設定をどう乗せるのかという部分です。脚本をいろんなライターの方に発注するので、当然ある程度矛盾も出てくるんです。前の話数で作っていた設定がうしろの話で繋がらなかったり。そういうところをコンテで調整していきました。
―西尾さんは『忍空』をふり返られていかがでしたか。
西尾
「西尾と言えば『忍空』」と言われてしまうくらい名刺代わりの作品になりました。駆け出しの、在籍していた作画スタジオしか知らなかった人間が、『忍空』に関わることで、監督はじめいろんなセクションの人間が集まって戦いながらフィルムを作っている現場を知りました。そこで知り合った原画マンとは今でも関係が続いています。第二の出発点、かけがえのないネットワークができた作品です。
―いろいろと当時のお話をありがとうございました。最後に改めてBlu-ray BOXを楽しみにしているファンへ、メッセージをお願いします。
西尾
熱気というか若いがゆえのバカさというかをちょっとでも感じていただければと思います。一年のシリーズというボリュームのある作品なので、大河ドラマ的に見てもらえるのもいいですし。
バカ売れして『忍空2』が作れるといいなあ。こないだ『NARUTO-ナルト-』の岸本先生に会って「NINKU-忍空-vs NARUTO-ナルト-を実現させてくれ」って伝えました(笑)。
阿部
いまでも「『忍空』好きでした」と言われることがあって、やっぱりすごくうれしいです。最後はどこに向かって行くのかを探ながら、一生懸命作った作品でした。今のアニメとはまた違ったおもしろさを感じていただければ、やった甲斐もあったなと思えます。昔懐かしく見ていただいたり、何かの形で見てもらえるなら本当にうれしいです。
「NINKU-忍空-」 Blu-rayBOX 公式サイト
http://www.ninku-box.com/
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左)阿部記之監督、右)西尾鉄也氏