ムーミンのおしりは手描きで、「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」ピカルド監督インタビュー 2ページ目 | アニメ!アニメ!

ムーミンのおしりは手描きで、「劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス」ピカルド監督インタビュー

ムーミンの生みの親トーベ・ヤンソンの生誕100周年を記念して製作された『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』のフランス人監督のグザヴィエ・ピカルドさんにお話を伺った。

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■ ムーミンのおしりは手描きでないと表現できない

――近年のアニメーションには珍しく、3Dではなく手描きを採用されたのはなぜでしょうか。

X.P
私にとってムーミンの世界は2Dなんです。トーベ・ヤンソンはほとんど遠近法を使わず、フラットな絵柄でキャラクターを描いていて、その輪郭が実に面白い。もちろん3Dで素晴らしい作品を創る人もいますが、原作のイラストに3Dでボリューム感を付けても上手く表現できないなと思いました。
それにトーベのコミックスはどの物語もムーミンのおしりのコマからはじまるんです。ムーミンのおしりのキュートな感じを出すにはやはり手描きの2Dでないと(笑)

――確かにポスターでもムーミンはお尻を向けていて可愛らしいですね。また空と海が同じ色に塗られていて、その色使いも実に印象的です。

X.P
はじめはコミックスと同じようにモノクロの作品にしようかとも考えました。しかし太陽の光が当たる様子や、スクリーントーンで表現された陰を、白と黒だけで表現するのは非常に難しい。それならばフラットな感じの色が出せるように単色のモノトーンにしようとひらめきました。
一つのシークエンスでメインとなるカラーを決めて、その中でグラデーションを使って表現していったんです。空と海が同じ色で塗られているのはそれが理由です。試行錯誤を重ねましたが、最終的にはコミックスの雰囲気を出せたと思います。

――90年代に放送された『楽しいムーミン一家』のキャストが再集結した日本語吹替版はいかがでしたか。

X.P
吹替版の声を聞いたとき、どのキャラクターも英語版やフランス語版の声とよく似ていて驚いたんです。同じような声の人をオーディションしたのかと思っていたのですが、20年以上前からムーミンたちを演じていた役者さんだと知って納得しました。すでにムーミンの感覚を掴んでいた人たちだったんですね。

――最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

X.P
『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』は私たちがトーベ・ヤンソンの原作を解釈してアニメーションに翻訳した作品です。彼女はムーミンという作品に、シンプルな生活や自然との調和など、さまざまなメッセージを込めました。
彼女の価値観はムーミンパパの「平和に生きて、庭を耕し、夢を見る」という言葉に集約されています。このメッセージは現代に生きる人にとっても大切なものです。本作を通じ、彼女が生み出したアーティスティックな世界観を感じてもらえれば嬉しいです。

fd


『劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス』
2月13日(金)全国ロードショー
http://www.moomins-movie.com/
《高橋克則》
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