「ヴァンパイア騎士」舞台版 男装女性陣、AKIRA始め、流石のビジュアル | アニメ!アニメ!

「ヴァンパイア騎士」舞台版 男装女性陣、AKIRA始め、流石のビジュアル

高浩美のアニメ×ステージ&ミュージカル談義■ あり得ない関係でありながらの恋愛、許されないから盛り上がる。逆らえない運命に翻弄される物語

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『ヴァンパイア騎士』(C)樋野まつり/白泉社(LaLa)
  • 『ヴァンパイア騎士』(C)樋野まつり/白泉社(LaLa)
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高浩美の
アニメ×ステージ&ミュージカル談義
[取材・構成: 高浩美]

■ あり得ない関係でありながらの恋愛、許されないから盛り上がる。
逆らえない運命に翻弄される物語

『ヴァンパイア騎士』は樋野まつり原作。『LaLa』(白泉社)で2005年~2013年まで連載、単行本は全19巻が刊行されている。
2008年の4月~6月までテレビアニメ第1期が、同年10月~12月まで第2期が放送された。主人公の黒主優姫を堀江由衣、錐生零を宮野守、玖蘭柩に岸尾だいすけが演じた。

物語の舞台は全寮制の私立『黒主学園』ここには一般生徒が通う普通科(デイ・クラス)とエリートで美形揃いの吸血鬼(ヴァンパイア)が通う夜間部(ないと・クラス)がある。しかし、夜間部に通う生徒が全員吸血鬼であることは普通科の生徒は知らない。
主人公の黒主優姫は5歳以前の記憶がない。優姫は夜間部のクラス長を務める玖蘭柩に命の恩人として憧れている。実は5歳の頃に玖蘭柩に助けられた過去がある故に、柩に想いを寄せているのである。
彼女は幼なじみの錐生零と共に学園の秘密を守るために風紀委員として守護係(ガーディアン)を務めている人間と吸血鬼が共存する学園。しかし、零は吸血鬼を激しく憎んでいた。彼は幼い頃に家族を吸血鬼によって奪われていた。そして零には誰にも言えない秘密があった……。

吸血鬼モノの物語は数多く存在する。漫画では知られている作品では『ときめきトゥナイト』、『ポーの一族』あたりではないだろうか。映画では古いところでは『吸血鬼ノスフェラトゥ』(1922)、ドラキュラを扱った最古のホラー映画として知られている。
比較的記憶に新しいところでは2012年のジョニー・デップとティム・バートン監督の映画『ダーク・シャドウ』また同年の『リンカーン 秘密の書』は原作は『ヴァンパイアハンター・リンカーン』である。
吸血鬼と人間の恋愛、いわゆる”禁断の愛”。基本的に吸血鬼にとって人間は”餌”である。そういった関係性の吸血鬼と人間。この許されない、あり得ない関係でありながらの恋愛、だからこそ読者(視聴者)は涙する。許されないから盛り上がる。さらに逆らえない運命や人間関係等もあり、そういった要素が絡み合ってのストーリー展開、だからこそ惹き付けられるのである。

この『ヴァンパイア騎士』もこの”法則”があてはまる。ヒロインの黒主優姫は恋愛が成就しないと知りながらも玖蘭柩に惹かれる。錐生零は己のさだめに抗いながらも自己を保っていこうとする。それを取り巻く人間(吸血鬼)達もまた、己の立場やさだめに傷つき悩む。それが絡み合った物語、哀しみと憎しみと愛情が幾重にも重なっている。そして作画だが、出て来るキャラクターが美しく描かれており、そこがファン心をくすぐる。

舞台版は主人公の黒主優姫役に女性アイドルグループ・乃木坂46の1期オーディションに合格後、中心メンバーとして活躍する若月佑美。『第97回二科展』ではデザイン部A部門に芸能人として初めて入選する等、幅広い分野で活躍中である。
その相手役にあたる玖蘭柩にファッション誌『KERA』でモデルを務めるAKIRAがキャスティングされている。表紙登場回数は歴代1位。また、ヴィジュアル系ロックバンド『DISACODE』でボーカルを務め、さらにソロ活動も行っている。近年は『戦国BASARA3』宴式-凶王誕生×深淵の宴-の上杉謙信役で活躍する。
錐生零には同じく男装モデルのルウト。今回のキャストは全員女性。特に男性役は”男装女子”が務める。彼女立ちはそのビジュアルだけでなく、仕草や立ち振る舞いも男性らしい。そういった研究に余念なく、スタイルも完璧。「男の子よりもかっこ良くて可愛い」と若い女性を中心に人気を博している。そういったカリスマ男装モデルたち、ヴァンパイア物はそもそもファンタジー、それにさらに虚構性を加えることになる。

キャストが全員女性で虚構性を強める、という手法は古くは宝塚歌劇団が行っているが、一昨年からミュージカル『美少女戦士セーラームーン』も全てのキャストが女性である。元宝塚トップスターがタキシード仮面、マントさばきが様になっている。
その”逆バージョン”としては古くは歌舞伎、女性を演じる専門の役者・女形が本当の女性よりも妖艶であったりする。また、劇団であるスタジオライフは演出家以外、全てが男性、こちらも本当の女性より可愛かったりするのである。そういった手法を取り入れた『ヴァンパイア騎士』、さぞかし、”麗しい”ことだろう。
《高浩美》
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